子どもの「もめごと」解決スキル
はじめに
親・教師の立場から、子どものもめごとを解決に導くスキルを学びたい方にピッタリの本があります。
もめごと解決のタイプ
もめごとの解決にはタイプがあります。自分の欲求を満たそうとすると「支配」的になり、他人の欲求を満たそうとすると「服従」的になるというタイプです。今回は、自他共に欲求を満たす方法を探す「統合」の立場から解決スキルをご紹介します。
もめごと解決のプロセス
「統合」的な立場に立つ親や教師は、①当事者が互いの言い分を聞き合う。②当事者が聞き合うなかで互いに「理解された」、「尊重された」と感じることができるようにする。③当事者同士で統合的な解決策を考える、というプロセスをアタマに入れて関わります。
子ども同士で解決できるように
特に注目したいのは、最初のうちは大人が仲介するけれども、次第に子ども達同士で解決できるように導こうとすることです。これが、本書をお薦めする理由です。
まず、仲介者(親や教師)が間に入って当事者(子ども)のもめごとを解決するスキルを身につけます。どのようにすれば、もめごとを解決に導くことができるかを学びます。
次に、当事者(子ども)が解決スキルを身につけて、自分達で解決できるように教えて導くスキルを身につけます。
このようにして段階を追って、仲介者の解決スキルと当事者同士で解決に導けるように教えるスキルを身につけておけば、もうもめごとは怖くないですよね。
デメリットは? そして、それでも・・・。
もめごと解決スキルの欠点は何でしょうか。それは「時間とエネルギーが掛かること」です。
紹介している「統合」アプローチは、他の方法(支配と服従など)に比べて対話が必要になるために、時間とエネルギーがかかります。
その意味で、「いつでもベストな解決方法ではない」ので、緊急性が高いときや当事者が急いでいる時には向きません。
それでも、じっくりともめごとに向き合いたいときや、火種を消したいときには、有効な方法です。
出典:『教師のための子どものもめごと解決テクニック』
著 者:益子洋人
発 行:金子書房、2018年