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3か月の育休が終わる今、父が思うこと。

私は夏が嫌いだ。
何もしていないのに汗をダラダラかくことが嫌だし、目を開けられないほどの眩しさで迫ってくる日の光を浴びていると、白内障にならないかいつも不安になるからだ。本当は毎日サングラスをして過ごしたいが、そんなことが許されるのはこの世でタモリとATSUSHIと内田裕也だけだし、著名人でもないのにそんなことをしていたら氷のような冷たい視線を向けられ死にたくなるから、毎日我慢して生きているのだ。
私にとっては汗と共に苛立ちが身体中から溢れ出てくるような季節だが、今年の夏、そんなことをすっかり忘れてしまうほどの大きな出来事があった。

我が子が生まれたことだ。
7月に我が子が誕生し、8月から3か月の育休を取ることになった。
このブログを書き始めたのも、育休をきっかけに父の記録を綴ろうと思い立ったことがきっかけである。もうすぐ育休が終わるということで、改めてこの3か月を振り返ってみたい。

まず思うのは、やはり出産に立ち会うことができたのは本当によかった。
出産当日、妻からの連絡により押っ取り刀で分娩室へ駆けつけたことを鮮明に覚えている。分娩室に入ったところで夫に出来ることはあまりなく、必死でできることを探した結果、左手にうちわ、右手にハンカチというスタイルに辿り着いた。
私は終始心臓がバクバクして手が震えていたのだが、お前が緊張してどうすんねん!と、結果発表よりも張りのある声の脳内浜ちゃんで自らにツッコミを入れながら、何とかその場に立ち続け、妻を励まし続けた。
妻の頑張りを間近で見ていたからこそ、生まれた瞬間の感動もひとしおであった。
妻に、我が子に、本当にありがとう。

そして、育児が始まった。
当たり前だが、起こること全てが未知であり、初体験であった。
ネットや友人から情報を集めてみたものの、育児において発生する様々な現象は結局のところ、子の特性に依るところが大きいということがわかった。
他の子の常識は、我が子の常識とは限らないのだ。そこからは、「仮説と検証」が私の育児のテーマとなった。
抱っこの仕方にしても、ミルクの量や間隔にしても、寝かしつけにしても、とにかく試してみるよう心掛けた。我が子にとってのベストは何なのか。それを一つひとつ見つけていく壮大な冒険の旅が、育児なのである。

1か月、2か月、3か月と月日が経ち、我が子は本当に驚くほど成長した。成長してしまった、という方が表現として正しいかもしれない。子は、親が余韻に浸る余裕も与えてくれないスピードで成長していってしまうのだ。
3か月という短い育休だが、育児だけに向き合える日々を過ごせたことで、子との時間をより尊いものとして感じることができるようになったと思う。

最近は、外へ出かけることも多くなった。
我が子を連れて友人たちのいる場へ行ったり、逆に我が家へ友人と子を招くこともあった。そういった機会が増えるにつれ、自然と他の家族の話も聞くことが多くなり、色んなことを知った。
例えば、大企業であっても育休を取れない会社が意外と多いことや、育児に積極的な人もいれば我関せずな人もいたりして、家庭によって子との向き合い方が思っているよりも全然違うこともわかった。
男性の育休取得や育児への関わりは、昔に比べかなり進んでいるイメージがあったが、こうした話を聞くと、実態としてはおそらくまだまだ過渡期なんだろうと思う。
育休を取得した父の明るい体験談が増えれば、子どもに優しい社会に少しずつ変わっていくのかもしれない。よし、若い後輩と酒を飲む時には、面倒臭い上司とやる気のない同僚と気が触れた客からの電話への憤りを話すほかに、ちょっとだけ我が子との楽しい話題を追加してみよう。これで未来は安泰である。

さて、ここまでいかにも子ども好きのような口ぶりで書き綴ってきた私だが、実は、昔から子どもが苦手だった。天性の口下手と感情表現の乏しさを有していた私は、幼い頃から人と会話することが上手ではなく、人前ですぐに泣き出してしまう根暗な人間であった。もしドラゴンボールを七つ集めることができたら、私の幼少期を知るすべての人間の記憶を葬り去ってくれと神龍に願いたい。
そんな私も、年を取り人生経験を重ねる中で、コミュニケーション能力の高い人間の会話や処世術をトレースすることで何とか人間関係を構築し、やってこれた。
しかし、大人の話が理解できない子どもにその手法は通用しない。だから私は子どもが苦手だった。そんな自分を痛いほど自覚していたため、我が子が生まれる前は、子と対面したときに自分がどんな感情になるのか、正直に言って少し不安があったのだ。しかし、結果的には杞憂に終わった。

我が子が生まれたいまも、子どもが苦手という気持ちがなくなったわけではない。ただ、やはり「我が子」というのは、私の中で他の子と全然違う感情がある。生きているだけで、愛せるのだ。

我が子と向き合ったこの3か月の育休は、私に色んなことを発見・経験させてくれた。貴重な育休もあと少しで終わり、数日後には仕事に復帰することになる。
3か月も休んだ職場に戻るとなると、もうメールの打ち方から復習せねばというくらい不安が一杯である。(お世話になっております、から始めるんだったな確か。)
しかしながら、仕事では得られないものをたくさん得ることができた私は、きっと育休前よりも胸板の厚いパワフルな男になっているに違いない。自信を持って職場に復帰しようと思う。

今回noteを始めてみて、思いを言語化する楽しみや、それを見て反応してくれる方々に元気を貰えることを知ることができた。
これで育休は終わるが、せっかく始めたnoteは、出来ればゆるく継続していきたいと思う。育児に限らず、色んなテーマで書いてみるのも面白そうだ。
ということで、これからもnoteでの発信を継続できることを願い、この言葉で締めようと思う。

ではまた次回!

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