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[Amazon]再配達の有償化は現実的ではない

再配達問題点を解消するためには、再配達を有償化すべきだ。

…本当に?

そもそも、再配達を減らしても「配達員の」負担減にはならない

配送業務における改善点としては「再配達」が主にクローズアップされますが、再配達によって負担を被るのはまず「企業側」です。対価を得ていない再配達によって荷物が増えた分、企業は賃金を支払わなければいけない配達員を多く手配する必要が生じます。

荷物が増えても送料を取っていないわけですから、配達員を増やせば企業の利益が減る。それを防ぐために、できるだけ少ない配達員(台数)で増えた荷量を回そうとする。結果として、しわ寄せを受けるのが「配達員」です。

ヤマトや佐川は「個建て」といって、「配達員は荷物 1つを配ると◯円」という運賃です。一方、Amazon の配達員は「車建て」といって「車1台に乗っている荷物をすべて運んで◯円」という運賃です。当日の荷物は日ごとにバラバラですが、10個配ろうが100個配ろうが運賃は変わりません。となると、企業側としては一度により多くの荷物を渡したいですよね、、、?

再配達を減らそう、という試みは間違ってはいません。再配達が減ることで配達員が現状の人数のまま、一人当たりの荷物が減るのであれば。

企業側、特に Amazon のような外資企業が考えることは、再配達が減ったところで全体の荷物が減ったら、今度は配達員自体を減らそうと考えるんじゃないかと思います。結果として、ひとりの配達員にかかる負担は変わらないんじゃないかと推測されます。

実際は、再配達の一歩手前に「配達員の負担」がある

Amazon の配達員が現場でリアルに受けている負担は、再配達になる前の「不在対応」とそれによる時間、体力の消費です。

「不在」だった場合は、お客様へ電話連絡したり、不在票を書いたり、荷物をまた車へ戻したり、、エレベーターがない団地やマンションで、上層階まで重量物運んだのちに不在だった、、なんてことがあるとココロもカラダも疲弊します。。

それ以上に配達員へ負担になるのが「時間の消費」です。これが重なり続けると、その日に配達できるはずの他の荷物まで時間内に配達できず、倉庫へ持ち戻らなければいけない事態が発生します。

普通の仕事であれば、その日にどうしても終わらせなければいけない仕事があった場合は「残業」をすることもあるでしょう。しかし、Amazon の場合は基本、残業はできません。

午前の配達であれば、午後にまた配る予定の荷物があるので、配達員は決められた時間までに再度倉庫に戻らなければなりません。

次の配達予定がなくとも、持ち戻りの荷物は再配達のために次の便へ乗せる必要があるので、決まった時間までに持ち戻らなければならないからです。

車建てなので、「未配(渡された数を配りきれない)」があったとしても配達員へは同じ賃金が支払われます。一方、この未配によって Amazon 配達員の評価は下げられ、繰り返し行われていると契約破棄(垢バン)される、つまり明日からの仕事がなくなるという恐怖とも配達員は戦っています。

結果、配達員に時間が足りなくなると、どうなるか?

  • 配達予定日に荷物が届かない

  • 荷物が雑に扱われる

  • 交通事故が増える

  • 誤配が増える   etc…

なにも利用者側にいいことがないですよね、、、?

再配達の有償化はおそらく荒れる

再配達を有償にすることで、再配達自体は多少減るでしょうし、企業としても収益が増えるので、多少は増えた分の収益が配達員に還元されるかもしれません。でも、これを現実に移すと利用者側からのクレームが多く起きると思います。

利用者側としては、余計な再配達送料を払いたくないでしょうから、置き配や宅配ボックスを活用しようとすると思いますが、「本人が対処しても解決できない」問題によって追加の送料を取られるとしたら、、当然クレームの嵐が起きると思っています。

  • オートロック問題
    置き配指定していても、オートロックが突破できないと結果、再配達になる

  • 宅配ボックス問題
    宅配ボックス指定しても空きがない、またはサイズ的に入らないと結果、再配達になる

  • 配達員が配達しきれなくて再配達になっている
    時間がなくて配達できない ⇛ 未配と扱われたくない ⇛ 実際には配達していないのに「配達したけど不在だった」と処理している配達員がいる
    (「なんで置き配なのに初回で配れなかった?」というような荷物が再配達として渡されることがあるので、おそらくこういうケースがある)

これらを踏まえると、再配達問題の対策として効果が得られるのはこういう対処じゃないのかなと思います。

  • 「置き配不可」の注文に対して有償化(送料を上乗せ)する

  • 「置き配不可」の注文は日時指定を必須にする

これだったら、再配達になるのはほぼ「自責(不在によるもの)」になるでしょうから、クレームもそこまで大きくならないのではないでしょうか。

ただ、配達員側にも時間内に確実に運べるような工夫は必要になると思いますが、、上乗せされた運賃で、荷物が少ないけど置き配専門の配達員、なんていうのを準備してもいいんじゃないかと思います。

オートロック問題は解決策がある、、、が、浸透していない

オートロックでも、万が一住人が鍵を持ち忘れたときのために、エントランスの部屋番号を押すところに秘密の番号を入れることで、開けることができるようになっている建物もあります。

不在の際にかけた電話で、その場でこちらの番号をお伺いし置き配ができる場合もあるのですが、なんせ電話に出ていただけるケースが少ないので確認すらできず、というのがほとんどです。

Amazon Key  という仕組みをご存知の方はどれくらいいますでしょうか?(ヤマトや佐川でも同様のサービスを少しずつ展開しているようですね)

配達員が荷物を運ぶときのみ、アプリからオートロックを開けることができる仕組みです。これがもう少し一般化すれば、オートロック問題は解消できると思うんですが、、オートロック有りの住居の皆さん、こちらを管理会社に積極的に相談していただけませんでしょうか?


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