創作童話 けんたはわすれんぼう6/7
「4番のくじはわたしよ。けんた、宿題終わらせないとね!」
ハチマキはそう言うと歌い出した。
しわくちゃハチマキ ピンとはれ!
ピンとはったら もんだいスラリ!
まきつけまきつけ あたまもキリリ!
「わたしにまかせて!」
ハチマキはそう言うと、けんたのあたまにキリリッとまきついた。そこへえんぴやけしゴムも算数ドリルといっしょにかけつけた。
けんたは算数ドリルを広げて言った。
「雲の上で宿題やるなんて思わなかったよ」
けんたは、あたまにうかんでくるこたえをどんどん書いていった。
「やったー!こんなに早く終わったの初めてだ」
けんたは、算数ドリルを持ち上げてバンザイをした。
その時だった。手からスルリッとぬけた算数ドリルは、フリスビーのように飛んで行った。
「あっ!こら、まてー」
けんたは雲から下を見下ろした!
「あー算数ドリルが落ちて行くー」
その時、黄色い鳥のようなものが飛んできた。つばさを丸く広げたりとじたりしながら、けんたのあたまの上まで来るとフワフワリーと降りてきた。
けんたが見上げると、それはおりたたみのかさだった。
「5番のくじはぼくだよ。けんた、早く算数ドリルをおいかけないと!」
けんたはかさをギュッとつかんだ。かさはどんどん大きく広がってパラシュートのようになった。けんたはさけんだ。
「がけのむこうに落ちていったよ!」
「それじゃあ行くよ!」
パラシュートになったおりたたみのかさは、風にのりながら歌い出した。
風をすいこめ パラシュート
パラララ シュプーン パララララ
雲をかわして シュプーン シュプーン
けんたがさけんだ。
「大変だー!たきが見えてきた!」
つづく