創作童話 ドクター・マキルの診療室 2/5
ドクター・マキルがびっくりして見ていると、そのわたがしのようなかたまりがだんだん人形のような形になってきました。
ドクター・マキルは手をさしだして言いました。
「ラファル。よく来たね」
けれどもドクター・マキルがラファルに触れたとたん、ビリリッと手がしびれました。
「ああ、びっくりした」
ドクター・マキルは手をこすってからまきひげをつまんでピピーンと伸ばしました。そして手をはなすと、ひげはたちまち丸まってパチンともとに戻りました。
「そうだ!」
ドクター・マキルは聴診器を取り出して、ラファルの胸にあててみました。
すると、ビビビッと火花が散って、ようやくドクター・マキルはラファルに触れることができました。
「きみは姿を色々変えることができるのだね」
「はい。ドクター・マキルに見てもらうには人間の形が良いかと思って」
「うーん。どう見ても人間には見えないが…」
「ぼく、つむじ風に乗って北の国へ帰るところなんだ。なのに力がなくなって」
「力というのはそのビリビリのことかい?」
「はい。このビリビリをもっとたくわえないと帰れないんだ」
その時ロールさんが、ひざ掛け毛布を持って入って来ました。
「今日は冷えこみますからねえ」
そしてラファルの横を通り過ぎようとすると、バチバチッと音がして火花が散りました。
「キャッ!」
ロールさんはびっくりして毛布を落としてしまいました。
ラファルもあまりの火花にびっくりしていると、ドクター・マキルが言いました。
「何だかずいぶん元気になって来たようだけれど、気分はどうだね?」
するとラファルはうでをブルンブルン回して言いました。
「本当だ。何だか火花が出ると力がわいてくるみたいだ」
「うん。どうやらきみにはビリビリが必要みたいだな。しばらくここにいたらいい」
ロールさんもにっこりうなずきました。
ラファルは体中ムクムクさせて喜びました。
つづく