横にいる 3話目
よくあるホラー映画に出てくる黒く長い髪の女性の幽霊ではなく、至って普通の女性。言うなればまだ生きている感じさえする。
しかし、彼女のまぶたはピクリともせず、僅か数センチで自分を見ている。
この世の者ではないな。と、感じ視線をゆっくり前に向けたが、今度は顔ごと自分の視界に入ってくる。
瞬きはしない。
只々、自分を見てる。この状況を何とかしないと、と思い勇気を出して話かけてみようとした。
『あのっ…』
こっち見んなっ
被せるように呟いて視界から外れた。
それ、俺のセリフだよ。
今でも
横にいる…
終
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