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笑顔を忘れる日々
笑顔が消えるということ
うつになると、笑顔がなくなっていきます。私の場合もそうです。家の中で、自分が鬱だと実感します。不思議なことに、外に出ると普通に振る舞えます。例えば、仕事の電話が鳴ると、「はい、もしもし。あ、その件ですね〜」と普段通りに対応できるのです。
でも、家では違います。特に妻と話すとき、声が小さくなり、無表情で話してしまいます。
「笑っていていいのか分からない」という恐怖
鬱の症状の一つに、「被害妄想が強くなる」というものがあります。それが私にも当てはまります。
笑っていていいのか、楽しんでいていいのかが分からなくなるのです。例えば、子どもをあやしている時、ふと「今、自分が笑顔でいることは正しいのか」と考えてしまいます。そして、心の中でこんな声が聞こえるような気がするのです。
「私がこんなに大変なのに、何楽しんでるの?」
「まだやることあるのに、何笑顔でのんびり過ごしてるの?」
もちろん、実際に妻がそんなことを思っているわけではありません。でも、そう感じてしまうのです。これが鬱の怖さだと思います。
笑顔を忘れるということ
出産前、私たち夫婦はどうやって話していたのか、どうやって笑顔で接していたのか、今では思い出せません。笑顔を作ることが怖くなり、笑うこと自体に罪悪感を覚えるようになりました。
特に、家では何をしていても不安がつきまといます。例えば、子どもをあやしたり、楽しそうに話しかけたりしても、「そんなことしてないで掃除してよ」と言われるのではないか、「ここまだ汚れてるからそっち優先してやってよ」と注意されるのではないかと考えてしまいます。
家が怖いのです。家の中で、私は笑顔を失いました。
「普通の笑顔」を取り戻すために
うつは、こんな小さなことに怯えながら生きていく病気です。でも、心のどこかで「早く普通の笑顔を取り戻したい」と思っています。
自然に笑顔が戻る日が本当に来るのだろうか。今はそれが見えません。でも、時間をかけて、一歩ずつ進んでいくしかないのだと自分に言い聞かせています。
補足情報:うつと笑顔について
うつ病の人が「笑顔を失う」ことはよくある現象です。研究によると、うつ病の人はポジティブな感情を感じにくくなる一方で、他人の評価に敏感になり、自分を否定的に捉えやすくなると言われています(参考:アメリカ精神医学会 DSM-5)。
さらに、家族との関係が悪化していると感じる場合、その感情が笑顔や言葉のトーンに影響を与えることがあるそうです。これは「家庭内のストレス」が一因であり、特に産後の夫婦間で起きやすい現象とされています。