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「お詫び」は、私にとっての土俵入り

皆さん、お詫びってどんなテンションで言ってます?私は、謝ることに抵抗がない。おはよう、ありがとう、今日なんか曇ってますねと同じテンションで言える。100のうち1でも自分に非があれば(関わっている以上、0だとはなかなか思えない)、申し訳なかったなと素直に思えることも影響している。振り返ると前職では、かなりの武器だったように思われる。

土俵入り

相撲の土俵入りをご存知だろうか?動きとしては、みんなが続々と土俵に上がり、円になって内側を向いて…と、一連の流れを指すのだけど、私が言いたいのは動きの最後、力士が両手を挙げるポーズ。(わかりやすく言うとバンザイ)実は、あのポーズには意味があるらしい。当初、身体を大きく見せて相手を威嚇するのが簡略化したポージングかと思っていたが、実際の意味は「武器は持ってませんよ」と相手に知らせる動きなのだそう。なんとフェアプレイ精神に溢れたものか。さすが日本の伝統芸能。娘と図書館に行くと、こういう学びもあるから侮れない。相撲図鑑よ、ありがとう。

「この度は、申し訳ございません」

メールの冒頭「この度はご不便をおかけして、申し訳ございません」や、ちょっと話しかけるときの「すみません」、あれは別に申し訳ないとは正直なところ思っていない。まったく思ってないわけでもないのだけれど、少なくともそこに深い意味はなく、ある種形式的な儀式に近い。高校球児がグラウンドに入るときの一礼みたいなもの。その先に、私にはやりたいことがある。

相手の心の扉を開く

私にとってメールの冒頭でのお詫びは「あなたの不満に耳を傾ける準備がありますよ」と両手を挙げていることを意味する。武器は持っていませんよ、あなたが被った不利益によってどのような問題が起きたのか、そしてそのやり場のない怒りを受け止める準備がありますよ、ということを伝えたくて言っている。なぜなら、ここで相手の心の扉が完全に閉じてしまうと、こちらから提案をしても受け取ってもらえなかったり、議論が進まない可能性が高いからだ。それは避けたい。これから一緒にプロジェクトを進める関係者だったりしたら、間違いなく今後に影響する。だから、私は対話のために、ハンズアップしているのだ。拳銃も何も持っていない、丸腰だ。だから交渉させてほしい、と立てこもる銀行強盗に歩み寄る刑事のように。


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アルパカ
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