アロハ天狗と小林白菜 隻狼 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICEを大いに語る
登場人物紹介
隻狼 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE:2019年にPS4、Xbox One、PCで出たチャンバラアクションゲーム。アホみたいに面白い。
小林白菜:starttとかに書いてるライター。『プリキュア』シリーズに人並外れた執着を示す。
アロハ天狗:温和な好青年
(これまでのあらすじ)
白菜とアロハ天狗はASTROBOT:RESCUE MISSIONとかいうクソ面白いVRゲームについてさっきまでめちゃくちゃ話をしていた。これからSEKIROの話をする。
隻狼 SEKIRO: SHADOWS DIE TWICEを大いに語る
小林白菜(以下は ):ということで、SEKIROですね。勘を取り戻すべく、まだ戦ってなかったボスとさっきまでやり合っていたんですが、1周目で幾度となく味わった「こんな奴どうやったら勝てるんだよ!?」と絶望する感覚が思い出せました。
アロハ天狗(以下 アロ):凄まじいゲームでしたね。ゲーム全体の構成としてはチャンバラ・ステルス・探索の三本柱なんですが、ステルスと探索はあくまでアクセントで、印象としては鮮烈なチャンバラがとにかく強烈なゲームでした。
SEKIROって”難しいゲーム”?
アロ:で、そんな話題が来たので最初に話したいのですが、SEKIROって、世間でワーワー言うほど”難しいゲーム”でした????
は:まあかなりの高難易度であることは間違いないながらも、「ダクソを遥かに凌駕!」みたいなことはないかなと思いますね。僕はアロハさんより各所でだいぶ苦戦したかもしれませんが、どの強敵もウィークポイントを理解して、そこを突くための“呼吸”を身体で憶えたら勝利は目前、という感じです。そこに到達するまでのトライ&エラー回数は個人差ありますね。
アロ:怨嗟の鬼とか平田屋敷(二回目)の最後とかチョー苦戦したし、個別のこの敵が強いあの敵が強いっていうのはあるんですが、ゲーム構造としては高難易度なそれではないんですよ、SEKIRO。強敵なら強敵なほど、死亡時はすぐ近くに復帰ポイントがあるようになっているし、何よりデスペナルティがほとんど無いんですよね。
「経験値も金も半分!死ぬと竜咳がNPCに蔓延!無慈悲!」と脅かしておいて、経験値はレベルアップが頻繁なので再稼ぎが容易ですし、金は一番高いアイテムでも5000円程度と簡単に稼ぎなおせる量&そもそも使う用途が少ない、更には”半減”なので二回目以降は死ねば死ぬほど実質的なペナルティはゼロ。竜咳もそもそも効果が非常に弱いですし、回復アイテムも余るほど手に入ると、ソウルシリーズからの流れなんですが「厳しそうに見せて実は甘い」の典型的な作りだと思います。
は:ああ、構造としては確かにそうですね。そもそもキャラクターの成長要素が薄め(しかもほぼ必須な体力&攻撃力強化はデスペナの影響を受けない)なので、ひとつひとつの死はこれまでのダクソ系よりかなり“軽い”んですよね。ただ、世間で言われる難しさは主に絡め手がほぼ通じない強敵との戦闘そのものについてなのかなと。ダクソのスタミナ要素って僕たちアクションゲーム大好き人間には足枷でしたが、ハイスピードなアクションが苦手な人にとっては思考しながら操作するのに丁度良かったのかなとも思うんですよね。SEKIROのゲームテンポはやっぱりDevil May Cryやベヨネッタ辺りに慣れてる人じゃないとしんどい部分はある気はします。
アロ:同じボスで5時間詰まる前での泣き言は甘え(過激派)
とはいえ、本作のチャンバラのスピード感はよくも悪くも壮絶ですね。なんとなく発売前の雰囲気から「ああ、ソウルの和風新作って感じ・・・・?和風ソウルならKOEIの仁王も出来良かったらしいけど、流石に本家本元ってことかな・・・」とか思ってたけど、全然違うじゃん!大まかなゲーム進行は確かにソウルシリーズに近いんですけど、肝心要の戦闘が全く違いますからね。コース料理だけどそもそも和食コースと中華コースくらい違う。あと私が比較的スムーズに勧めたのは、ある程度はくさいさんのレビューとかIGNのレビューとかで、ゲームそのものの思想を理解してから入れたのがデカいかなと。要するにド接近して甘えずに攻め続けながら弾ききるゲームとか、怖気づくと人は死ぬとか、迷えば敗れるとか、バクステは甘えとかそういう基本思想。
は:そう言っていただけると嬉しいです。確かに、「和風ダクソ」と思って挑むのと、SEKIROならではの思想を知ってから挑むのではトライアンドエラー時の心構えも違ってきますよね。で、興味深いのが僕もアロハさんもなんですが、ダクソがそこまで楽しめなかった僕らの周囲のアクションジャンキーたちが、「SEKIROも合わなかった」と言っているのを見たことがないんですよね。ボタンを押せば斬る、飛ぶっていうレスポンスの素直さも大きいとは思うんですが、ほかに思い当たる本作とこれまでのダクソ系との差異って何がありますかね?
アロ:私もソウルシリーズは(十分に楽しみつつも)刺さらなかったのですが、SEKIROでは
・スローテンポなアクション
・腰を据えて考察しないと意味不明なストーリー
・西洋ファンタジー的世界観
・遠距離攻撃にそれなりに重点
といったシリーズのイマイチ苦手な部分が全部裏返ってましたね。ゲームジャンル自体がアクションRPGから純アクションゲームに転換してる感じがします。
あと今回、やってて本当に嬉しい驚きだったのが、鍵爪による三次元アクションがかなり自由度が高いという点がありました。フロムのことだから、どうせ完全固定スポットでの半演出(カービィのワープスターとかマリオギャラクシーのスターリング的な)かと思ってたら、戦闘にもバシバシ絡めるような高速立体起動!頭上からの暗殺!とかね。
鍵爪とか体幹とか
は:鉤爪アクションのことは僕も話したかったんですよ!ステルスに探索に大活躍、一部チャンバラでも使うことで有利な立ち回りができるという、各セクションのプレイフィールを繋ぎ合わせる柱にもなっていますよね。それでいて単純に使うことで行われる移動そのものがめちゃくちゃ気持ちいい。引っ掛けられる場所が連続してるところで、着地することなくびゅんびゅん空中を飛び回るの超楽しいですよね。
アロ:確かに鍵爪が、分断しがちな各要素をつなぐ縦軸として機能していますね!その視点は無かったです。空中から空中に鍵爪移動が連携するのもいいですよね。ニンジャゲームの最高傑作というと天誅~忍道 戒の系譜だと思っていて、あれの鍵爪は本当にどこにでもひっかけられて凄まじい自由度を産むんですが、その反面で都度都度狙いをつける必要もあり、スピード感には欠けていました。今作では、引っかかる場所を限定する代わりに狙いをつける煩わしさがなく、これはこれで非常にいい塩梅に落としていたと思います。
は:「忍道戒」はプレイしてるんですが確かにそうでしたね。ダクソやブラッドボーンも入り組んだフィールドの構造は探索による発見が多くて楽しかったんですが、SEKIROの鉤爪アクションは移動そのものが快適で、なおかつそれが「あの遠くに見える足場にはどこを辿っていけばいいんだ?」っていう洞察の楽しさにも繋がっていて、アクションの比重が増した本作ならではの長所かなと思います。過去作との比較の話が出たのでお聞きしたいのですが、SEKIROはフロムの過去作以外だと、どの辺りの作品が比較対象たり得ると思いますか?
アロ:探索やステルスだと思いつくんは思いつくんですが、ゲームの骨子たるチャンバラでは比較作も類似策も思いつかないですね。ほんとにユニークだと思います。ジャストガードのあるタイトル自体は多くあるんですが、それがここまで攻守ともに軸になるタイトルはチト出てこないですね。はくさいさんは思いつくタイトルありますか?
は:やっぱり体幹システムはおそらく唯一無二ですよね。ある条件を満たすことで一気に敵を絶命させることができるというと僕はNINJA GAIDEN2の「滅却の法」が思い浮かぶんですが、類似作などはパッと出てこないんですよね。ただ、ゲームジャンルの系譜的な意味で言えば、ダクソ系の進化としてだけじゃなく、noteのレビューでも書きましたが「対NPC戦に重きを置いた3Dアクションゲーム」の進化の歴史として、DMC、ニンジャガイデン、ベヨネッタ辺りから続く進化系として見てもいいんじゃないかというのをふわっと考えてました。探索とかほぼ無視したアレですが。
アロ:DMC~ニンジャガの系譜とはだいぶ毛色が異なるかなとは思います。ローリング回避とかジャンプとかコンボを軸にしたあのラインのゲームと、足を止めての殴り合いが要求される本作とはかなり出自が違うかな、と。魚とイルカくらい違う。
本作の顕著な特徴としては通常切りの弾き、突きの見切り、下段のジャンプ蹴りと敵のそれぞれの攻撃に明確なカウンターがあるのがとにかく良いですね。特に見切りと飛び蹴りはモーションも効果も痛快で、してやったり感がすごいですね。投げがほぼ完全に相手の出し得なのだけ画竜点睛かな。投げ返しくらいほしかった。
は:投げ対策は欲しかったですね~、ちょうどいま修羅ルートのラストでそれに苦戦させられているので……。あるいは投げには突きが有効、とかだったら投げ、突き、見切りで3すくみが成立したかもしれません。DMC~の系譜については、まあ僕があの辺のゲームに求めていた血湧き肉躍る戦闘を受け継いだゲームの進化系が、ダクソ系の登場以降あまり目立たなくなって、久々に近い興奮を得られたのがSEKIROだったという感じですね。あまりメカニクス的な検証はしていないという……。あとSEKIROの特徴といえば、わりと敵によってはアイテムやまわり道による“ズル”ができる点ですかね。ところどころ絶対的にスキルが必要にはなりますが、そういうズル知識を得るのが楽しいという意味では、SNSのクチコミなんかとの相性も良いゲームだったのかなと。
汚いな流石忍者汚い
アロ:そこはめちゃくちゃお話したかったところですね!主人公がニンジャなの、アクションもそうですが『卑怯さ』というプレイの姿勢に正当性を担保しているので完璧なんですよ。特に中ボスは大半が、一度ガン逃げして見失ったところを後ろからグサーとか、裏ルートを発見して頭上からザクーとかのめちゃくちゃ汚い戦い方や、地形にハメてチクチク削ったり、遠方からスリケンで削ったりといったマンチキンプレイにも「だってニンジャなんですけど???正々堂々とか知りませんけど??????」って言えるのがとてもよい。
は:迷えば敗れる、バクステは甘え、しかし勝つために卑怯な手を使うのは忍者なのだからオッケーという。ちょっと見失ったからってすぐ警戒を解くのって、リアルではないんですけど、なんというか宮崎英高さんのゲームって「現実的な仕様を実装するより、プレイヤーがニンマリできることの方が大事」みたいなコンセプトが何気にある気がするんですよね。ゲームは娯楽でありシミュレーターになるべきじゃないみたいな。
アロ:ステルスはだいぶ有情ですけど好きなバランスですね。警戒解除待ちを安置でダラダラ待つの好きじゃないから、敵がサッサと油断モードに戻ってくれるのありがたい。
あと甘えはダメだけど卑怯はあり思想、チャンバラでも徹底されていて、はくさいさんもやると思うんですがSEKIROの典型的な不細工な負け方
一発食らう→慌ててバクステ連打→半端な距離で回復→ジャンプ切りとか突きとかの長リーチ技で狩られて回復と被ダメがトントン→(n回繰り返す)→回復切れ→死
なんですよね。(やるよね??????????) どーせ回復するんなら思いっきりガン逃げして距離取るべきとか、メッセージが明確ですよね。
は:あるあるですねー。だっさい死に様を繰り返していると、身につまされるんですよね。逃げるなら逃げるでやり切らないと、背を向けてるときに反射的にガードしても意味ないですからね。あと1周目は何も攻略法など見ずに正攻法メインでプレイしていたんですが、2周目は仕込み装備もいろいろ作っては試していて、爆竹とかはやっぱり戦闘が多少楽になりますね。けどちょっと爆発までラグがあって、敵が迫ってきたときに苦し紛れにばら撒いても隙を見せるだけだったり、卑怯っぽい装備を使うにせよ確固たる意志を持ってやり遂げる必要がある辺り徹底されてますよねぇ。
(この辺で夜遅くなったので別日に再開)
グラフィックとか美術とか演出とか
ア:こないだはシステムに寄ったお話中心でしたので、チト趣向を変えまして。今作のグラフィックというか美術、非常にステキじゃないですか?
は:大変素晴らしいですよね。それなりに見覚えのある戦国絵巻から徐々に外れていって、過去のソウルシリーズやダクソにも通じるおぞましい世界観であることが明らかになっていくんですが、そのディテールが、なんというか独特ですごくクールです。
ア:どれか忘れたんですが海外レビューで「ステージの外見は変化に乏しくて単調」みたいな言及があったんですが、いざプレイしてみたら全然そんなことはなくてとても嬉しかったです。ゲームの中でも転換点的なタイミングで、コンセプトアートみたいに美しい絵がバッと出てくる瞬間があるんですよね。
・冒頭のススキノ
・義手忍具入手して仕切り直してロープで高所に上ると広がる芦名全景
・破戒僧倒した後の輿入れの祠
・源の宮
とかは特に一見してウワッ美しい!ってなりましたね
は:出た!源の宮! あそこは本当に惚れ惚れしますよね。ほかに挙がっている場所も、言われてみればどこも網膜に焼き付く印象的な光景でした。今年プレイしたゲームだと、グラフィックの質感の上質さでいえば『バイオRE:2』に軍配が上がりますが、トータルコンセプトの独自性やそのゲーム展開上での見せ方の上手さはSEKIROが上かなと感じますね。
アロ:出た!バイオ2!(笑) アレはゲーム範囲を絞ってる分、密度感がさすがに頭おかしいですね、スゴすぎ。 閑話休題、先ほど仰ってた『ソウルシリーズやダクソにも通じるおぞましい世界観』もかなり、ウワってイヤさの場所とか多くて良かったですね。『捨て牢』で不衛生で湿った牢にゾンビみたいな囚人がいてギャーってなってたらその後のイヤ少林寺とかインスマス漁村とかが輪にかけて最悪っていう(笑) 芦名絶対住みたくない!クソデカい蛇とかヤベー猿まで大発生してるし! 源の宮は、幽玄とした美しさや荘厳さと、その中でのおぞましさとか薄ら気持ち悪さが同居してる凄いエリアでした。ホント好き。
は:まさに最悪なエリアとして思い浮かぶのはその辺ですよね。仙峯寺での、「なんでコイツら死なないん?」とか思ってたら中からアレが出てきたときの生理的な嫌さったらないですよ。源の宮、あの敵キャラの若さを吸ってくるみたいなのは、「外界の人々が苦しんでいても我関せずで甘い汁を吸っている平安貴族」みたいなイメージからの着想なんですかね? それとも元ネタとなる物語があるのかなんなのか……
アロ:ムカデはまー良いんですが、コオロギが嫌すぎますね。ヒィって聲(こえ)出た。着想どうなんですかね。あの隔離された永遠のユートピアが静かで穏やかな地獄になってるってのはかなり魅力的なモチーフではありますね。あそこ、建物や人々のデザインも数百年単位で時代に開きがあるのがいいですよね。源平合戦くらいからあそこにいるのかな。源の宮は一回しめ縄マンで爆笑させてからのアレなのがズルいですね。
は:あ~~~ジャンボコオロギ嫌ですね~~~アレ。放っておいても邪魔だからとりあえずザクザク倒すんですが、その行為が爽快かといえばそんなことはなくどちらかといえば倒すときの音も嫌ですし、本当にあの場所に対してより嫌悪感を抱かせるためのフレーバーでしかないという。ただの嫌がらせ! 本作の見せ方の良さってことだと、ちょっと用意したものがあるんですが、このゲーム、カットシーンの構図なんかもバチバチにキマってるんですよ。
アロ:カットシーンもキマってますよね。ボス戦も、中ボスは道中の敵の会話やオブジェクトで不穏な雰囲気を出しておいて突然ヌウっとボスと遭遇してそのままウワって戦闘開始となる一方で(この辺も超上手い)、大ボス戦のロケーションは天守閣とかススキノ筆頭に、凄く印象的で美しい舞台なんですよね。
は:そうそう。アロハさんが「そのまま戦闘開始になる」辺りの演出を以前Twitterで褒めてたので、カットシーンはカットシーンでめちゃくちゃ凝ってるよなーって思ったのが今回話題にした理由なんですよ。下に画像を貼りましたが、本作はどのシーンも抜いた刀と手前に映る人物、そして奥の方に映る対象物の画面への収まり方が本当に美しいんですよね。ススキの場所で弦一郎と相対したときの構図とか、空に浮かぶ月も含めて最高で……たまたまスクショを撮れたのがこの2枚だったんですが、エマ殿のシーンも後ろのうつろいゆく空模様も含めて惚れ惚れします。
アロ:めちゃくちゃキマったカットですよね。エマ戦はボス戦でもエマ投げされてる最中の夕陽の映り込み方とか見事に計算されてますよね。演出が本当に優れたゲームで、そもそも戦闘のトドメが基本的に全部忍殺ですからね。普通にやってると絶対テンポ悪くなりそうなのに見事に爽快で。中ボス戦の入り方はニカイドウレンジさんの受け売りですね。
は:QTEでボタン連打させられたりするのとは雲泥の差がありますよね(笑) 忍殺演出のスピード感も要因としてありそうですが、なんなんでしょうね、あの気持ちよさ。隻狼と因縁のあるボスに関しては、あの刹那に織り込まれたドラマ性に魅入ってしまう部分も大きいんでしょうか。
ストーリーのわかりやすさとかキャラクターとか
アロ:「影落とし」!!!!(クソ燃えた) ま~~今作の演出が気持ちいいのって全体的に「話がわかりやすい」のとセットだと思います。正直ブラッドボーンとかだと話がビタイチわからんので「なんか凄そうなことは起きてるけど何が起きてるかさっぱりわからん」だったんですがSEKIROは話の筋がわかりやすいのでちゃんと「あ!ここ盛り上がるところだ!」とか「この一言の台詞で全部二人の関係察してねって奴だ!しかも察せる!」とかなりますからね。ありがたい。
は:それは本当にそうですよねぇ。ブラボは考察とか好きな方はフレーバーテキストも読み込んだりして楽しむんでしょうが、僕たちはやっぱり殺したり殺されたりしている中でちゃんと燃えたいですもんね。そういう意味でもSEKIROはすごく僕らのスタンスに歩み寄ってくれたゲームだったなと。キャラクターも、本作はストレートに魅力的な奴が揃ってますよね。しょt…主従萌えとかあるし……
アロ:ショタって言いかけた!
『 殺したり殺されたりしている中でちゃんと燃えたい』、フロムの会社の全部の便所の壁に貼って欲しい言葉。 SEKIROも決して話の筋が特別面白いという訳じゃないんですけどね。御子奪還後の後半は話の駆動力が明確に下がるし、ラスボスもそれまでの蓄積というよりやや唐突感はある。とはいえ、わかりやすいのは明確に良い。キャラクターも良いキャラ多いですよね。半兵衛とか仏師殿とか。 九郎殿も好きなんだけど、変若の御子が特に好きですね。男の子だと思って後々調べたら女でガッカリしたけど。男の方がよかった・・・・・
は:半兵衛はちょっとギャルゲーの親友ポジ感ありますよね。ゲームのイロハを教えてくれるし、見返りも求めず、苦痛もいとわず主人公に尽くしてくれるし。いや、見返りは求めてくるといえば求めて来ますが……変若の御子、男がよかったんスね。あとはまぁみんな大好き弦ちゃんですよねぇ~。最初は難敵で、殺り方が分かってからはサクサク倒せるというのが、めちゃめちゃ良いボスキャラなんですが、如何せん楽勝になってからは野望やら台詞やら全部滑稽に見えるという。メタ的な意味で不憫なキャラクターでした。
【ネタバレ有り】ボス戦とか
WARNING!
※SPOILER ALERT!ここからは個別のボス戦とかについて、ラスボスとかストーリー上極めて重要なボスについても話していくので、あなたが未プレイなら注意して欲しい ※ネタバレ注意!
WARNING!
A HUGE BATTLESHIP
IS APPROACHING FAST
アロ:弦ちゃんは戦っててホント楽しーのでめちゃくちゃ好きですね。チャンバラのし甲斐があります。ゲームの基本が詰まってますよね。私は三回目で倒せちゃったので苦労はしませんでしたが・・・(ゲームうまうま天狗)
しかも最後の最後にあんなラスボスっぽい風格で現れて前座なのホント泣ける。あれだけあの手この手使って人間やめても生身の人間(しかも片腕)に完封されて最後はおじいちゃん任せ(しかも泣き落とし)ですからね。 「俺は結局何もできなかった…」 ほんとそうだよ!
は:(笑)一心は壮年期だったらちょっと暑苦しくなってた気がするんですが、おじいちゃんで適度に枯れてるのがキャラとして絶妙だったかなぁと思いますね。「かつて修羅となった者がまた全力を振るうべき相手を見つけた」っていうのも燃えますし。いやぁ、ラスボス戦も最高だった……。
アロ:ということで、個別のボス戦の話をするとですね。一心戦はホント良いですね。特に第一形態は体幹ゲージの最大値が低くて回復が早い。技が弾きやすくて、カウンター可能な大技が多いと、「とにかく全く距離を詰めずに高速のチャンバラをしろ!」って誘導が明快なデザインですげー楽しかったですね。なんどリトライしても楽しい。 SEKIROのボス、体幹ゲージの最大値や回復しやすさがボスごとに全然違うのが個性を出してて楽しいですね。
は:基本は足を止めての弾き合いでありつつも、それだとかなり倒すのが難しくて、走り回ったり、大振りの技を交わしてカウンターを狙うほうが有効な敵も多いんですよね。その辺りを探って徐々に詰めていくのも本当に楽しい。体幹を削るのが困難な敵は賛否ありますが、1作の中でのバリエーションの在り方としてアリだったと思います。
アロ:ちなみに、具体的にこのボスが好きこのボスは楽しいこのボスはイマイチってのはどんなのがありますか?
は:そうですね。やっぱり投げが納得いかないのもあって、赤鬼なんかがわりとストレスのたまりどころだったりしますかね。苦戦しながらも楽しかったのは獅子猿とかですかねぇ。たしか弦一郎戦の後くらいに戦ったんですが、それまでの戦い方が通用しなくて、新たに戦い方を習得していくのがとても刺激的でした。
アロ:わたしは
楽しかった 一心(老若問わず) 親父(特に二戦目) エマ 弦ちゃん お蝶 侍大将や七本槍系全般、破戒僧 槍坊主
イマイチ 牛 獅子猿(嫁登場後) 三猿
って感じですね。人型ボスは大体良い感じでしたね。桜竜はゲーム的には大したことないけど、演出や音楽がめちゃくちゃカッケーので好きですね。 こうして並べてみると、シナリオ的にも重要な大ボスが戦ってて楽しいうえにクソ強いってのがちゃんと成功してて凄いですね。
は:イマイチ系はほぼ同意ですかね。ただ、獅子猿2体は結構好きです。わりと片方を無視してもなんとかなる局面を作っていけるので、1対1の状況は作りやすくて、理不尽さはあまりないかなと。あ、あとスタート地点の井戸? で戦う忍者がイマイチですかね。「壁に寄るとカメラがめちゃくちゃになる」「動き回る相手からはロックが外れやすい」というSEKIROのシステム上の2大欠点をもろに背負って戦うことになるのでストレスがたまりました。
アロ:あのニンジャはカメラ起因で強かったのでストレスたまりましたね(笑)上から落下忍殺で初手一ゲージ削れるのでまーそこまで地獄は見ませんでしたが・・・・上でも話しましたが、中ボスは大体不意打ちで忍殺一発キメてから戦闘に入れるのがとても楽しかったですね。あと破戒僧の二ゲージ目とか、「うわなんか凄い必殺技出してきたぞ」ってアワアワしてたら、実は隙だらけで落下忍殺で即死させられるのに気づくとか、そういうハズし方も好きです。
は:正統派の強敵に関してはどいつもこいつも本当に楽しかったですね。やっぱり「これどうやったら捌けるんだ!?」って技があるような敵を乗り越えられると脳汁がドバドバ出る感じがします。ラスボスだと、第2形態以降の槍での連撃が、全部弾こうとすると途中でミスして体幹がなくなって死ぬんですが、適度に距離を開けて最初の何撃かをかわしてから懐にもぐると対処できたりとか。このゲーム、弾きに自信がない場合はある程度「避け」による代替戦術も用意されている辺りも結構柔軟性があって好きなところですね。
アロ:わたしもラスボスの槍モードは弾ききれないんですが、大振りや突きも結構出してくれるので、前半は距離取って体力削りに素直に徹して、後半から弾いてますね。この辺りのバランスも好きですね。色んな人の動画とか見てるんですが、確かに攻略法に幅があって面白いですね。「こんな敵どうすんねや!?」を徐々に、「あ、こうやるのか・・・」って気づくのはSEKIRO問わずアクションの醍醐味ですが、SEKIROは攻略法発見するまでと、その後の実践で二度楽しめる感じですね。
は:ですねー。立ち回りもそうですし、装備品やアイテムなんかも動画で活用方法を知ると、それがほかのボスでも応用できたりとか。ところで怨嗟の鬼って倒したあとに攻略法とかご覧になりました?
アロ:観ましたけど、「あああ!その手があったか!」的なのはあんまりなかったですね。突進が下段判定なのでジャンプで避けれるくらい。泣き虫効くのは気づいたというか総当たりしたので・・・・
は:僕はあんまりにも勝てないので攻略法を見てしまったクチで、突進がジャンプで避けれることを知れたことで勝てたようなものなんですが、あの巨体の突進をジャンプでかわせるって若干もにょりますよね……。
欠点とか歪な点とか
アロ:突進避けられないなら他の攻撃は全部避ければ勝てる(真の男)。最後に欠点側も。めちゃくちゃ良いゲームですし、義手忍具もボスへの特攻探しとかロックマン的な楽しさはあるんですけど、義手忍具は事前のプロモーションでめちゃ推ししてたほどは重要ではなかったですね。一にも二にも体幹こそが重要なゲームだったと思います。全体として洗練されてるんですが、義手忍具とか、竜咳システムがほとんど機能してないとか、一旦仏経由しないとワープできないとか、奥義が焦らす割りに殆ど機能不全とか、一部歪な点もあったと思います。特に奥義の使えなさは気になる。
は:奥義、「あっ、これ機能として死んでるやつだ」って気づいてからはずっと最初に覚える2連撃のやつを付けっぱなしですね。基礎能力上げる系のものを優先して取得する感じで。これまでと比較すれば気になりにくいし圧倒的な長所の影に隠れているものの、フロムの変なこだわりが今回も発揮されてる感じはありますよね。あと、そもそもチャンバラによる体幹の削り合いの出来があまりに頑強で、「なんとか正攻法でこいつを打ち負かしたい」という欲求が生まれやすいっていう部分もある気がします。これは長所とも短所とも言えない部分ですが。
アロ:天守閣の梟とかあっさり諦めて、ジャンプ切りの隙だけ狙って体力削り殺しましたわ!ガハハ! では、そろそろまとめましょうか。
まとめ
は:いや~長かったですね。でもそれだけ、歪ながらも魅了されずには、そして語らずにはいられないゲームでした。レビューでも書いたんですが、ここまで高く評価したいと思った大作タイトルは個人的に『ゼルダの伝説Botw』以来でしたし、ソウル系に拒否反応がある方ほどプレイしてみてほしいですね。ひとりでも多くの方に打ちのめされてほしいです。マスターピースだと思います。
アロ:SEKIROパートだけで一万二千字!プレイ感覚としては本当にチャンバラの緊張感、スピード感、美しさ、爽快感に特化したピュアな印象のゲームなんですが、そのピュアさの構造を辿ろうとするといくらでも語れてしまいますね。これだけ研ぎ澄まされたゲームがしっかり評価されて、そしてしっかり売れてくれるってのはめちゃくちゃウレシーですね。ソウル系、という印象で忌避している人(私が事実そうだったんですが)は、その印象はぜひ捨ててもらってニンジャ・チャンバラゲームの歴史的傑作だと信じてプレイして欲しいです。マスターピース。
(おわりです)