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苦手なことが好きになるきっかけ

私の母は料理が得意だ。誰にも出せないなんとも言えない旨い味付けをする。それに対して、私は足元にも及ばない感じ...

私は、お料理が嫌いなわけでもない。でもどっちかと言うと食べる方が好き。なぜ料理をすることにテンションが上がらないのかと自己分析をしてみたところ、すごく時間を掛けて作っても一瞬でなくなるから。毎食すごい量を作る。素材にこだわって一生懸命に作ったところで、野獣どもがそんなことを無視するがごとく、すごい勢いで食べてしまう。そして、1日に決まったように2食もしくは3食作らなければならないという義務感にかられているから。

そう、私の料理はきっと「義務感」に満ちていたに違いない...本当はお料理ってクリエイティブなことの一つだし、楽しいに違いないのになぜか「楽しい」と思えない自分がどこかいた。そうすると苦手だという意識まで湧き上がってくる。

そんな私に新しい出会いがあった

引越しをして、ライターの仕事の他にも何かしてみようかな...と思った時に近所の小さなレストランの前を通りかかったら「スタッフ募集」と書かれているのが目に飛び込んできた。なんだか、いつも暇そうだし美味しいのかな〜と思いながら入ってみた。気の良さそうな店長。「条件とかないっすよ〜。とりあえず面接きますか?」と受け入れ体制万全。そこで即、採用されて、人生で4度目の飲食店でのアルバイト。1度目は高校生の時に近所の喫茶店で。2度目は京都で老舗になったレゲエバーとクラブを展開しているお店で若き頃。毎週末になると一晩で400杯以上のカクテルを作っていた。3度目は家族経営でやっていたお蕎麦屋さん。ここは、私にとってちょっとしたトラウマになった。ヤンキー家族の絆が強すぎて、テレビ、芸能人、近所の人の悪口が中心の家族の会話に全くついていけず、試用期間でアウトになった....そんなこんなで、飲食店でのバイトは私には合わないと思っていたのに、また飲食店でアルバイトをすることに。

やってみたらめっちゃ楽しい

とにかく、アルバイトを始めたお店は、こだわりのポイントがツボすぎて楽しくて仕方ない。料理人は店長一人、ホールは一人と二人体制でのんびりやっている。何がいいかと言えば、とにかくお料理が美味しすぎる。素材が新鮮すぎる。盛り付けが素敵すぎる。

店長の料理を見ていて、私も良い素材の野菜を買ったりしているのに、全然使いこなせていなかったことを知った。時間のある時に、調理方法や、この素材を使ったらどんなお料理ができますか?とか、どんな風に盛りつけたら綺麗に見えるのかとか、質問しまくり教えてもらっている。

そうしているうちに、家での料理が楽しくなってきた。別に旦那や息子が野獣のように一瞬で食べ尽くそうが、変わらずすごい量を作らないといけなかろうが、自分が作って試してみることに喜びを感じれるようになってきた。義務感でなくなってきたんだろうな。

意外なことが役に立つ

私は取材で今まで数えきれないほどの飲食店を訪れた。だから、なんとなく流行るお店ってどんなことをしているのかとか肌で知っている。私がアルバイトを始めたお店は、すごく良いお店なのに結構ヒマだった。路面店なのにお客さんが少ないのはなぜだろう....と考えてみた。そして、ここからは私の得意を生かして、黒板の立て看板を描き直し、メニューを手描きにしたり、色々と提案していくと、アッという間に初めてのお客さんが増えて、今ものすごく忙しくなってしまった。のんびり仕事をしたかったのに、超忙しい...

でも、元からお料理が美味しい、こだわりの素材を使って、出てきた料理にみんなが満足して誰も残さず帰っていく。内装も落ち着いた雰囲気で、気持ちの良い音楽も流れている。十分に人気店になる要素が最初からあった。

だから、ちょっとしたきっかけを作るだけで、あっという間に流れが変わった。

勉強させていただいています

そんなわけで、今、私は色々と勉強をさせていただいている。ライターの仕事の合間にしようと思って始めたアルバイトのつもりだったけど、驚くほどの学びがある。お料理だけでなく、お店をどうやって盛り上げていくのか。そんな実際のお手伝いをさせてもらいながら、新世界が繰り広げられていく。何よりも、お料理をすることが楽しくなったことが私にとって一番幸せなことなのかもしれない。毎回、店長から渡されるお客さんへの料理の皿を見るたびに、その盛りつけのカッコ良さというのか、彩の美しさというのか、どんなに忙しくても決して手を抜かないその仕事っぷりに「すごいなあ〜」と感動する。

私も、そんな料理を出せるようになれたらいいな♡

人生、勉強は続く...

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cana
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