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年末スペシャル!杉江松恋×倉本さおり×豊崎由美「あのとき紹介したかった本、2021」

2021年最後の月刊ALL REVIEWSフィクション部門は、3年連続で、杉江松恋×倉本さおり×豊崎由美の「あのとき紹介したかった本」。お三方が紹介し損ねてしまった本を紹介するイベントです。収録が行われたのは、新しいノエマのスタジオ。「CGじゃないんですよ」と杉江さん。
通常より30分長い2時間スペシャル。会話の楽しさはアーカイブ動画で。ここでは、紹介された本のタイトルをご紹介します。
※対談はアーカイブ視聴可能です。
※対談は2021年12月12日に行われました。

()は紹介した書評家さんの名前です。

大鞠家殺人事件(杉江)

大阪の船場言葉や終戦直後の模様も書かれている。

ジュリアン・バトラーの真実の生涯(倉本)

大きな嘘をつくために、小さなディテールには正確を期している小説。

処女総理(杉江)

このイベントで官能小説が紹介されるのは初めて。杉江さんいわく、「現代の宇能鴻一郎」。

興味をもったら、同じ作者の全裸記者もどうぞ。

エラー(倉本)

大食いを書いた小説。魔女菅沼が好きな方はぜひご一読を。

ミステリー・オーバードーズ(杉江)

こちらも大食い小説。吐くことが許されるルールの元で…。

蜂の物語(倉本)

身体能力に優れた働きバチが辿る物語。

岡田睦作品集(杉江)

行方不明となり生死さえはっきりしない岡田睦の作品集。京都の古本屋さんで買える他、通販もされています。著作権法もクリアしている

同じ作家の『明日なき身』も面白いとのこと。

行く、行った、行ってしまった(倉本)

ドイツの移民問題を書いた小説。私たちが知らなくてはいけない物語。

まぜるな危険(杉江)

ロシア、SF、歌舞伎など作者の高野さんが好きなものが「混ざった」短編集。短編の一つが「アントンと清姫」。面白そう!

月の番人(倉本)

全2色刷りのコミックス。翻訳は古屋美登里。

ここはとても速い川(豊崎)

映画化が難しい作品。「菅田将暉くんに朗読してほしい!」(豊崎)。井戸川射子は中原中也賞受賞者。

旅のない(豊崎)

芥川賞作家の上田さんの初短編集。

うろん紀行(倉本)

出版社名が「代わりに読む人」。

やさしい猫(豊崎)

ウィシュマさんの事件以前に連載されていた小説。中島京子さんが「炭鉱のカナリア」のように、日本の入管という社会問題に警鐘を鳴らしていたことがわかる作品。『行く、行った、行ってしまった』と合わせて読みたい小説。

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官能小説から大食い小説など異色の小説から始まりましたが、最後は社会に警鐘をならす本で終わりました。
配信では、次の芥川賞・直木賞の候補になってほしい作品やオススメのアジア小説についても聴けます。久しぶりに顔を突き合わせて話すお三方の模様はぜひ動画でごらんください。

【「ALL REVIEWS 友の会」とは】
書評アーカイブサイトALL REVIEWSのファンクラブ。「進みながら強くなる」を合言葉に、右肩下がりの出版業界を「書評を切り口にしてどう盛り上げていけるか」を考えて行動したり(しなかったり)する、ゆるい集まりです。
入会すると、日本を代表する書評家、鹿島茂さんと豊崎由美さんのお二人がパーソナリティーをつとめる、書評YouTube番組を視聴できます。
友の会会員同士の交流は、FacebookグループやSlackで、また、Twitter/noteで、会員有志が読書好きにうれしい情報を日々発信しています。
友の会会員の立案企画として「書評家と行く書店ツアー」、フランスのコミック<バンド・デシネ>をテーマとしたレアなトークイベントや、関西エリアでの出張イベント等が、続々と実現しています。2020年以降はオンライン配信イベントにより力をいれています。
さらに、Twitter文学賞の志を継承した「みんなのつぶやき文学賞」では、友の会会員有志が運営にボランティアとして協力。若手書評家と一緒に賞を作り上げていく過程を楽しみました。
2021年2月には、鹿島茂さんとの対談6本をまとめた『この1冊、ここまで読むか!超深掘り読書のススメ』が祥伝社より刊行されています。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください。
ALL REVIEWS友のTwitter:https://twitter.com/a_r_tomonokai


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