
【Book Recommend 17】 The Opposite of Butterfly Hunting
こんにちは、Allexです。
1ヶ月ぶりですが、洋書紹介シリーズ17冊目です。
1/26の投稿でも少し載せた本です。あの時はまだちょうど半分しか読み終わっていなかったのですが、
「ここまで読んだし投稿もしてしまったから早く最後まで読みたい!」と急にエンジンがかかり(笑)爆速で読み進めました。
毎度のことですが、洋書は文字を見ていると眠くなってくるので😅
日本語の本より読むのに時間がかかり、さらに最初の方は物語や全体の本の雰囲気が掴めないのでスロースピードです。
いつも1/3を過ぎたあたりか半分を超えた頃にようやく話がスイスイ頭に入ってくるようになるので、それまでは結構何日もかけてちまちまと読みます。
(例外だったのがColleen Hooverの2冊。この2冊だけは最初から最後までとっても読みやすかったです!)
The Opposite of Butterfly Hunting
by Evanna Lynch
ハリーポッターのシリーズ5作目『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』から登場するLuna Lovegood役の女優で知られている彼女の
摂食障害(eating disorder)の一つ、拒食症(anorexia)の話についてのノンフィクションです。
私が知っていたLuna Lovegood役をしていた頃の彼女はその1年前に拒食症克服のために強制的に入れられていた更生施設を出たばかり。その前の病院への入院や施設の中での生活の様子が本の半分以上を占めて語られていて
Luna役のオーディションに受かり、映画撮影に加わっていた話もほんの少しだけ出てきますが
本当に映画に関する話はほんの少し。
施設を出て映画の役をゲットしたからといって、eating disorderを克服したわけでも「回復」したわけでもなかった彼女は、映画の撮影が終わってからもその後の仕事やキャリアでずっとeating disorderの思考に苦しんでいた様子が語られています。
この本は、よくある(メディアが好きそうな、と彼女も言っていますが)
「摂食障害を克服した子がハリーポッターのオーディションで夢を掴み取るまでのサクセスストーリー」などではなく
最初から最後まで彼女が苦しんできたeating disorderについての素直な気持ちや生活の様子がずっと繰り返し綴られています。ハリーポッターの撮影が終わってからの日々の苦悩もずっと。
摂食障害や拒食症の人は私の周りにいるわけではなく
知識も浅ければ「拒食症」という言葉の漢字から推測するだけの病気としか認識がなかったので、この本を読んで本当のeating disorderやanorexiaがどういうものなのかを少しでも知ることができてよかったと思います。
「普通に食べることができる人には理解されない苦しみ」が何度も語られ
精神的なケアも理解もないまま、ただ「体重を増やそうとするだけの医者と周囲の大人」によって心と体が分離したような感覚で孤独に闘い続ける。
そんな状態だということ。
私はInstagram経由でこの本の存在を知り、また単純にLuna役のEvannaという女優に興味があったことからこの本を手に取りましたが(すっごく美人なので)
想像していたよりも壮絶な人生と生々しい体験の話に、時々感情移入してしまい泣きそうになるところもありましたが読み進めました。
(感情移入しやすい人にはかなり辛い本かもしれません。。)
(本の冒頭でも彼女はそれについて触れていて、執筆・出版するにあたって「少し(内容が)残酷すぎるのでは?」と何度も心配されたそうです。しかし、「拒食症を克服したハッピーエンドのfairy tale」ではないことを知っている彼女はできるだけありのままの話を綴ろうとしてくれました。)
彼女自身が自分の体(成長)との闘いに苦しみ、どうにかして助けたい親は病院だけでなく最終的に人権侵害のような施設に預けなければならないところまでいき(両親も本当は施設の考えややり方に反対していたそうですが、子供が食べずに痩せ細っていくままにしておくと「育児放棄・虐待」とみなされ保護施設に引き離されてしまうという板挟みの立場にあったそうです)、何人ものセラピストに会わされては理解されず、ハリーポッターの映画が終わった後も拒食症そのものではなく自分自身を愛せない「self-hate」の考えから抜け出せない困難と闘い続けています。
この本を通じて私が知ったのは
「拒食症を克服」することは決して簡単なことではないこと、
「克服する」瞬間などないのだということ(ずっと何年も付き合っていくものであること)、
negativeではなくpositiveな考え方ができるようになるまで何年も何十年もかかること(彼女の母親も実はanorexiaだったこと)、
周りが「食べれるようになったね、(減っていた)体重が戻ってきたね、(痩せていない)普通の体型になれたね=よかったね!」という「勇気づけのような言葉」はanorexiaの人たちにとって
もっとも絶望的な言葉であること、
その言葉を言われるたびに「自分は無価値な人間だ」と感じること
などです。
施設を出た後に有名なハリーポッターの映画で役を務めたことで
同じように摂食障害で苦しんでいる人やその親たちから彼女にアドバイスを求めて何万通という手紙が届くそうです。
でも彼女は克服できたわけではない。そんな自分からアドバイスはあげられない。
手紙に返事は書けない、その代わりにこの本を書くことによって、少しでも多くの人にeating disorderやanorexiaのことを知ってもらえれば、と思ったそうです。
最後に。
本の内容とは関係ないのですがノンフィクションだけあって、かなり知らない単語が出てきました。言い回しは複雑ではないのですが、圧倒的に単語の語彙が多い。
小説などは比較的難しい単語が少なくまた同じ表現で書かれることが多く読みやすいのですが
この本は普段見かけない単語が多く散りばめられていて、読み進めるのに少し苦労しました💧
洋書は趣味で読んでいて、「英単語の勉強」に使うために読んでいないのですが
この本の単語を拾えばかなり英語の勉強にもなるのではと思いました💦
ちょっと頑張ってみます。
お読みくださり、ありがとうございました。

