最新の花粉症薬の比較と使い分け
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。
2月からは
花粉がひどく薬が手放せない方が
増える時期かと思います。
今回は直近で発売された
1日1回服用する3種類の抗ヒスタミン薬
デザレックス(デスロラタジン)とルパフィン(ルパタジン)
ビラノア(ビラスチン)について勉強していきましょう。
1.抗ヒスタミン薬とは
ヒスタミンは主として肥満細胞から放出されて
ヒスタミンH1受容体に結合することで
アレルギー反応を起こす物質です。
抗ヒスタミン薬は受容体に
あらかじめ結合することで
アレルギー症状を抑制します。
シーズン前から
抗ヒスタミン薬を服用しておくと
受容体がブロックされて
シーズン中に花粉症の症状が出にくくなる
といった研究報告もありますね。
2.デザレックスとビラノアの試験
まずはデザレックスとビラノアの比較試験を解説します。
2-1.試験背景
本試験では
デザレックスとビラノアの両剤とプラセボの3群で
有効性と安全性を比較しています。
ビラノアでは食事の影響が受けるため
この試験では空腹時投与となっていますね。
症例数も多く
試験デザインの信頼度は高そうですね。
鼻の症状だけではなく
花粉症における他の症状に対しても
評価していきます。
2-2.試験結果-1(有効性)
下記グラフから
プラセボ群より2群とも
鼻炎の症状を有意に改善しました。
デザレックスとビラノアでは
本試験から
同程度の効果を示す可能性がある
結果となりました。
14日間の推移を見ても
2群間に差はほとんどなさそうですね。
議題とは逸れてしまいますが
プラシーボ効果と言われているように
プラセボ群でも多少下がっているのも
面白いですね。
2-3.試験結果-2(安全性)
メーカーに確認したところ
抗ヒスタミン薬を投与すると
前頭葉の血流が低下し
頭痛の副作用も出てくるそうです。
3.デザレックスとルパフィンの試験
次にデザレックスとルパフィンの比較試験について解説します。
3-1.試験背景
本試験では
デザレックスとルパフィン、プラセボ群の3群で
同様に有効性と安全性を比較していきます。
こちらの試験でも
他の症状に対して評価していきます。
3-2.試験結果-1(有効性)
プラセボ群と比較して
デザレックスとルパフィンでは
減少している結果が得られています。
デザレックスとルパフィンでは
本試験から
同程度の効果を示す可能性がある
結果となりました。
3-3.試験結果-2(安全性)
頭痛と眠気はビラノアとの試験でも
認められていましたが
ルパフィンの方が眠気が多く
デザレックスの方が頭痛が多いんですね。
臨床判断で
重要な参考値になりますね。
4.大事なポイント
今回の試験から
デザレックスとビラノア
デザレックスとルパフィンを比較した際
同程度の有効性があるのではないかと示唆されました。
しかし、プラセボ群も含み直接比較ではないため
一概には断定はできませんね。
では、この3種類でどれを選べばよいか
個人的な見解、患者背景を考慮して
以下3点でまとめました。
①眠気
アレルギーの薬ではここは気にしてしまいますよね。
今回の3種類ではルパフィンだけ
添付文書で運転への注意喚起が記載されています。
デザレックスとビラノアでは
比較的起こりにくいとは言われています。
かと言って
試験結果からも眠気が出る方もいるため
使用時の注意は多少必要ですね。
②食事
上記でもすでに記載していますが
ビラノアは食事の影響で効果が下がってしまいます。
ルパフィンでは
グレープフルーツの影響で
強い効果が出てしまいます。
③効果
これまでの試験結果から
効果に変化はあまりないのでは?
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、臨床ではルパフィンの場合
医師によってはMAX量(20㎎)まで
処方することもあります。
治りが悪い際には
ルパフィンをMAX量
検討しても良いかもしれません。
マニアックな話になりますが
そもそも抗ヒスタミン薬は効き目や副作用に個人差があり
分子構造の骨格によっても合う合わないがでてくる場合があります。
薬剤を選択する際には
医師や薬剤師に相談するなど
自身にあったアレルギー薬を
選択することが求められてきますね。