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薬剤師が解説!市販で買えるステロイド外用剤
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイト
アレルギー患者専門オンラインドラッグストア
を運営しております。
ドラッグストアのかゆみ止めって
『結局どれが良いの?』
なんて思ったことありませんか。
かゆみ止めには様々な成分があります。
その中でも今回は
ステロイド外用剤について
【ステロイド外用剤の選択ポイント】と
【市販で購入できるステロイド】
について解説します。
1.ステロイド外用剤のランク
ステロイド外用薬は
湿疹の範囲ではなく
基本的には医師の経験のもと
個人の重症度に合わせて使い分けられるよう
日本では5段階に分類されています。
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ドラッグストアやオンラインなど
市販で購入できるステロイド外用剤は
ストロングクラスまでとなります。
また、外用剤は使用部位によって
吸収される割合が異なってきます。
顔へ使用したい際は
ミディアムクラス以下を使用すると
安全といった報告がされています。
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2.ステロイド外用剤の選択ポイント
ランクを説明されても
どれくらいの症状に
どれを使用すればいいのか
わかりませんよね。
ここでは
市販で購入できるステロイドの
選び方のポイントを説明します。
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2-1.ストロングクラス
ストロングクラスは
中等症での第一選択とされています。
※中等症:強い炎症を伴う皮疹が体表面の10%以下
部位は成人の身体や手足など
皮膚が厚い部位への使用がおすすめです。
2-2.ミディアムクラス
乳幼児またはデリケートゾーンの
炎症に使用したい方向けのランクです。
乳幼の肌やデリケート部位は
ステロイドの吸収率が高いことが
報告されており
ストロング以上では
リスクが高いと考えられます。
2-3.ウィーククラス
乳幼児の顔にでた湿疹や
おむつかぶれ等による陰部や肛門周囲の炎症に
比較的使用されるランクです。
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3.市販で購入できるステロイド外用剤
ドラッグストアで購入を悩んでいる方へ
薬剤師目線から外用剤を紹介します。
3-1.ストロングクラス
①リンデロンVs
・有効成分:ベタメタゾン吉草酸エステル
・特徴:軟膏、クリーム、ローションタイプあり
・処方薬のリンデロンVと同じ成分(スイッチOTC)
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②ベトネベートN軟膏AS
・有効成分:ベタメタゾン吉草酸エステル+フラジオマイシン硫酸塩
・特徴:クリームタイプもあり
抗生剤を含有、化膿部位にも使用可能
・処方薬のリンデロンVGと同じグループの抗生剤を含む
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③フルコートf
・有効成分:フルオシノロンアセトニド+フラジオマイシン硫酸
・特徴:抗生剤を含有、化膿部位にも使用可能
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3-2.ミディアムクラス
①ロコイダン軟膏 ②セロナ軟膏
・有効成分:ヒドロコルチゾン酪酸エステル
・特徴:クリームタイプもあり
・処方薬のロコイド軟膏と添加剤も同じ
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③コートf AT軟膏
・有効成分:プレドニゾロン吉草酸エステル酪酸エステル
・特徴:痛みを抑えるリドカイン含有
・処方薬のリドメックス軟膏と同様の有効成分
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注意が必要なことは上記の医薬品3点は
処方薬でもらえる薬の半分の濃度となります。
医療用と同量の濃度が欲しい際は
新リビメックス軟膏(クリーム)を
選択することも良いでしょう。
3-3.ウィーククラス
①コートf MD軟膏
有効成分:プレドニゾロン
特徴:抗炎症成分(グリチルレチン酸)含有
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3-4.その他
①テラコートリル軟膏a
・有効成分:ヒドロコルチゾン+オキシテトラサイクリン塩酸塩
・特徴:抗生剤を含有、化膿部位にも使用可能
・処方薬のテラコートリル軟膏と有効成分、添加剤も同じ
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4.いつき博士の考察
市販薬でステロイド外用剤を
購入する際のポイントを3つにまとめます。
①強さ
アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患は
症状に合ったランクのステロイドで
治療を行うことが大切です。
ストロングクラスで効かない場合は
すぐに皮膚科へ受診するようにしましょう。
ミディアムクラス以下の市販薬は
同じような名前のものでも
有効成分の濃度が半量である可能性がある
ため購入の際に注意しましょう。
年齢によってランクを下げる必要はないが
乳幼児、小児では
短期間で効果が表れやすいため
使用期間には注意が必要とされています。
②使用期間
抗生剤も含まれた外用剤は基本的に
1週間程度にとどめることがおすすめです。
使用して刺激感が出たり
全く治らない場合は
すぐに医療機関へ受診をしましょう。
③使用部位
皮膚科医によってはしっかり治すために
顔面にストロングクラスを処方される医師も見かけます。
プロの判断ですので
安心して使用し
かかりつけ医の指示通りの方法で使用しましょう。
成分の強さだけではなく
部位に合った適切な剤形を選択することも大切ですね。
外用剤の吸収率は年齢に限らず
投与部位によっても異なるため
注意が必要です。
また、ステロイドは炎症抑制によって
痒みを抑える効き方のため
乾燥して痒みが出ているなどの場合は
対応が異なります。
かゆみがひどく強いが炎症はない際は
抗ヒスタミン薬含有の塗り薬の選択を
考慮する必要もあります。
たくさん種類がある塗り薬から
自身に合った選択が必要ですね。
そして、重要なことですが
ステロイドにより皮膚が黒くなるのではなく
間違った使用方法や不十分な量での使用で
色素沈着やシミになることがあります。
ステロイド治療の際は
適切な強さで適切な期間治療し
適切な使用方法で行うことが重要です。
《参考文献》
ADGL2021_220216.pdf (dermatol.or.jp)
マルホ株式会社 塗り薬の蘊蓄