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花粉症の市販薬使い分けのpoint

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイト
アレルギー患者専門のオンラインドラッグストア
を運営しております。

花粉症がひどいけど、病院に行く時間がない
といった悩みを抱えている方は
いらっしゃいませんか。

今回はドラッグストアですぐに手に入る
OTC医薬品を紹介します。

1.そもそも花粉症の症状とは?

スギやヒノキの花粉などが原因で
花粉飛散時期だけに起こる鼻炎のことを
季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)と言います。

花粉症の症状では
鼻水くしゃみ鼻づまり
眼の痒み等が起こります。

花粉症の薬を買ったからといって
全部が治るわけではありません。


それぞれの症状にあった薬剤選択が大切です。

くしゃみ、鼻水には抗ヒスタミン薬
鼻づまりにはステロイドの噴霧薬
抗ロイコトリエン薬を用いることが多いです。

今回は鼻の症状に対して用いる
OTC医薬品について触れていきます。

(ステロイド点鼻薬の記事で
症状に対する薬剤選択についても多少触れています)

<アレルギー性鼻炎メカニズムについて>

2.市販薬を選ぶ際のpoint

今回はよく質問を頂く
4つの項目について解説します。


①今すぐ何とかしたい

・鼻水、くしゃみの改善

症状の改善のみにフォーカスするなら
第ニ世代(新しい成分)の抗ヒスタミンよりも
第一世代(古い成分)のものが
とも言われます。

第一世代薬剤例
成分:クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン
商品名:ストナリニSレスタミンコーワ糖衣錠、新ルル-A錠s

しかし、第一世代では
注意事項が多いことが問題ともなります。

※第一世代の注意点
口の渇き尿の出が悪くなる眼圧上昇
便秘眠気めまい

・鼻づまりの改善

前提として2週間以上継続する鼻づまりの方は
受診をお勧めします。

処方せん医薬品では
市販にはないロイコトリエン拮抗薬
ステロイド点鼻薬が豊富に存在します。

単発で使用するなら
血管収縮薬が即効性に長けています。

血管収縮薬(飲み薬)
成分:プソイドエフェドリン
商品名:新コンタック600プラス

プソイドエフェドリンは
経口市販薬における
他の血管収縮薬と比較しても
効果が良好に得られる
といった文献もあります。

血管収縮薬(点鼻薬)
成分:テトラヒドロゾリン+プレドニゾロン
   ナファゾリン
商品名:コールタイジン
ナザール、パブロン点鼻クイック

これら血管収縮薬は
2週間以上の長期連用で鼻炎の悪化
につながってしまいます。

ナザールは成分がステロイドのもの
血管収縮薬のものがあるため
購入時は成分をしっかり確認しましょう。


②眠くなるのが気になる

抗ヒスタミン薬は
脳へ薬が移行することで眠気が起こりやすい
そのため脳内ヒスタミン受容体占拠率
低いものを選択する方がよいとされています。

一般的に占拠率20以下の薬剤
眠気が起きにくいとされていますが
やはり、個人差は出ますね。

自動車の運転、受験勉強中の方には
注意が必要ですよね。

成分:フェキソフェナジン、ロラタジン
商品名:アレグラFXクラリチンEX


③持病をお持ちの方

補足の説明が難しい内容になりますが
注意すべき成分を紹介します。

前立腺肥大・緑内障の方
第一世代の抗ヒスタミンとメキタジン

服用により
症状が悪化する恐れがあります。

・腎臓病
セチリジン
・肝臓病
エピナスチン

薬剤が代謝される際に
各臓器に影響を与える
可能性があることが知られています。

てんかん
セチリジンロラタジン

薬剤使用によって
てんかん発作が起きることも
稀にあります。

上記基礎疾患をお持ちの方は
リスク・ベネフィットを加味して
なるべく他の薬に変更する方が良いかもしれません。


④妊娠、授乳中でも大丈夫か?

妊娠時にジフェンヒドラミンや
クロルフェニラミン、クレマスチンなどは
比較的安全というデータが報告されております。
ただ、副作用が起こりやすいため注意も必要です。

また、クロルフェニラミン、クレマスチンなどは
血管収縮薬などを含むものが多くあり
単独の成分でないなら避ける方が
望ましいです。

授乳中の方は
医療用で安全に使用できると言われている
クラリチンやアレグラなども
使用が制限されているため
病院への受診をお勧めします。

成分:ジフェンヒドラミン、フェキソフェナジン、ロラタジン、セチリジン
商品名:レスタミンコーワ糖衣錠アレグラFXクラリチンEXストナリニZ

市販で購入できる
ステロイド点鼻薬は
妊婦・授乳婦では使用が
禁止されているものがほとんどです。

一般的には全身移行も少なく
安全に使用できると言われていますが
医療用のものに限られます。

【市販のステロイド点鼻薬】
成分:フルチカゾンプロピオン酸エステル
   ベクロメタゾンプロピオン酸エステル
商品名:フルナーゼ点鼻薬ナザールαAR

上記の点鼻薬はネットでも購入可能ですが
どれも小児適用のないものとなります。

3.いつき博士の考察

状況や患者さん毎によっても
リスク・ベネフィットを考慮して
使い分けていく必要性
があります。

①早く効かせたい方
ストナリニSレスタミンコーワ糖衣錠
血管収縮薬配合の点鼻薬

②眠気や集中力を気にする方
クラリチンEXアレグラFX

③妊娠時には
アレグラFX、ステロイド点鼻薬

なんとなく朝も夜も鼻の症状が出る方は
クラリチンより1日2回型のアレグラ
選択するのもいいかもしれません。

アレグラは小児用もあるため使い勝手は
良いかもしれませんね。

飲み薬の抗ヒスタミン薬は眼の痒みを
改善することも知られています。

抗ヒスタミン薬配合の点眼薬と
併用することでより痒みを抑えることができます。

下記に点鼻薬と内服を
それぞれで比較しています。

※点鼻薬、飲み薬はそれぞれの比較です

基礎疾患をお持ちの方は
注意点が多くあり薬剤選択が
困難となってきます。

前立腺肥大症、緑内障では
疾患の状況、先生によっては
使用してもよいとの指示が出たりもします。

【受診勧告の例】
・毎年花粉症に悩まされている
・頭痛も伴う2週間以上の鼻閉症状
2歳未満の乳幼児

受診すべきなのか含め
お薬のことでもわからない際は
ALLERUのサイトからご相談下さい。

《参考文献》
OTC医薬品の比較と使い分け.第2章(53-82),第5章(144-164).児島悠史