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【アトピー性皮膚炎】ミチーガってなに?(3) ~日本から世界へ向けて~

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

前回はミチーガの
短期的な有効性と安全性を評価しました。

今回は長期投与試験について
まとめていきます。

前回気になっていた
アトピー性皮膚炎悪化の有害事象
引き続き見ていきたいところですね。

1.第Ⅲ相比較/長期継続投与試験振り返り

(※前回の記事を参考にしてください
ミチーガPartA   ミチーガPartB)

PartAでは
プラセボと比較した際の
16週間の有効性と安全性を
評価しました。

PartBでは
52週間の有効性と安全性を
評価しました。 

どちらの試験においても
痒みの評価項目が
減少しているデータが
得られていました。

2.国内長期投与試験

今回の試験では
ミチーガを4週間に1回
長期皮下(52週間)投与した際の
有効性と安全性を評価しています

試験デザイン

ステロイドや免疫抑制薬の効果が不十分な
中等度以上のそう痒を有する
13歳以上のアトピー性皮膚炎患者
88例(医療従事者による投与群:44例、自己注射群:44例)
を対象としています。

マルホ医療関係者向けサイト

この試験のユニークな点は
12週目以降で
医師による皮下投与群と
自己注射による皮下投与群で
44例ずつ分かれて
有効性、安全性に差がないか
評価していく
ところですね。

病院での皮下注射と
自宅での自己注射とで
効果に差があるのか?示唆が得られますね。

試験結果-1(有効性)

有効性では52週後の
ベースラインからの
そう痒VAS変化率とEASI変化率
ISIスコアを見ています。

ベースラインからのそう痒VAS変化率
4週後  −32.2%
52週後  −60.6%

1年間で主観的な痒みの度合いが
6割以上も減少しています。

ベースラインからのEASI変化率
4週後  −41.8%
52週後  −75.6%

ISIスコア(52週時点の平均値)
ミチーガ群:7.1
※ベースラインの平均値11.4

ISIスコアとは
睡眠障害の評価項目であり
ミチーガは痒みを抑えることで
睡眠時のQOLを向上させる可能性があります。

痒みを抑えているってすごいですね。

医療従事者による投与群及び自己注射群は
いずれも同様の有効性を示したため
有効性の試験結果は
全群のみの記載とのことでした。

試験結果-2(安全性)

本試験における有害事象について調べました。

各有害事象を相対比較して
頻度が多かったものは

医療従事者投与群
アトピー性皮膚炎20.5% 
皮膚感染症20.5%

注射部位反応6.8%

自己注射投与群
アトピー性皮膚炎27.3% 
皮膚感染症15.9%

アトピー性皮膚炎の治療にも関わらず
アトピー性皮膚炎が悪化しているのは
なぜでしょうか。


有害事象の
アトピー性皮膚炎の悪化は
使用開始後8週までの
発現率が高いようでした。

痒みの伴わない浮腫紅斑の発現もあり
臨床試験の際にDrによっては
浮腫紅斑もアトピー性皮膚炎の悪化として
含んでいる
ため、発現率が
高い値を示しているとのことでした。

4人に1人程度、痒みはないが
アトピー性皮膚炎の悪化を
示すデータとなっていますね。

4.いつき博士の考察

今回はミチーガの
長期的な有効性と安全性に
ついての試験でした。

ミチーガの試験は
対象が日本人となっているところも
ポイントとなってきそうですね。

PartA/Bを含め3つの試験を通して
2つの気付きが得られました。

1つ目は
今後自己注射ができる可能性があることです。

有効性に関して
医療従事者と自己注射群で
有効性に差がないところを踏まえると
デュピクセントのように自己注射できる
ペンタイプがすぐに発売されそうですね。

月に1回の通院で済むのは
ミチーガのメリットとしても
挙げられる点ですね。

2つ目は
かゆみは抑えるが炎症は抑えられないのでは?
という仮説が立ちます。

なぜならば
かゆみに関わるスコアは抑えられていたが
有害事象で浮腫紅斑が多かったからです。

痒みを伴わない皮膚症状の悪化を防ぐためにも
保湿剤やステロイド外用剤等の併用
が重要となってきますね。

痒み抑制に特化したミチーガは
今後アトピー性皮膚炎の治療に対して
現場での期待が高まりますね。

《参考文献》
マルホ医療関係者向けサイト
https://www.maruho.co.jp/medical/products/mitchga/index.html