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1.5軍の選手

「〇〇選手1軍昇格」「✖️✖️選手2軍降格」という字を見るたびに思うことがある。「この選手にとって1軍と2軍、どちらが良かったのだろうと。もちろんプロである以上、1軍に上がって結果を出す方が良い。

しかし、「1軍には上がっているものの、試合には出れない。2軍には降格したものの、試合には出られる」という条件があったら?一概にも、1軍だけが全てとは言い切れなくなるだろう。


高校時代、2年生まではAチーム(1軍)とBチーム(2軍)を行ったり来たりしていた。Aチームに呼ばれるけど、結果を残しきれない。かと言って、Bチームで圧倒的な成果を出しているわけではない。今振り返っても、微妙な選手だったと思う。

結果を出せない焦りもあり、とにかく必死で。どうしたらアピールできるのか、うまくなるためには何をすればいいのか。常にもがいていた。


僕たちの高校には“バス旅行”という名の恐怖のイベントがあった。試合に連れていってもらうけど、出場の機会がなく帰ってくるという残酷な1日。バス旅行になるたび、「おれ、何しに行ってるんやろ」と思わされる。

Aチームに帯同してちょこっと出るかどうか。もしくは、バス旅行。一方で、Bチームに残ればたっぷり練習ができる。「Aチームに呼ばれたいけど、練習もみっちりしたい。今の実力では結果を出せないのは分かりきってる」と葛藤の毎日だった。


結果的に、新チームになるまでAチームとBチームを行ったり来たりする、1.5軍の選手だった。選手としては中途半端だったけれど、1.5軍を経験して本当に良かったと思う。

Aチームでバリバリ活躍するレギュラー選手を見れた。Aチームの控えとして結果を残そうとする選手を見れた。Bチームでちょっとでも上手くなろうともがく選手を見れた。

AチームとBチームそれぞれで色々な選手を見た分、どんな選手にも寄り添えるようになった。おかげで、Aチームの先輩にもBチームの先輩にも好かれていたし、チーム全体の選手と話せるのは下級生では僕ぐらいだったと思う。(※AチームはAチーム同士、BチームはBチーム同士で話しがち)


高校野球でもプロ野球でも、1軍で華々しく活躍するのは本当に一握りの選手だけ。活躍する選手の裏側で葛藤する選手が何倍の数もいる。今度1軍に昇格した選手はどんな気持ちなんだろうか。2軍に降格した選手のモチベーションはどうなのか。

1軍と2軍でプレーする良し悪しは後からしか分からない。「あの時◯軍を経験して良かったよね」と言えるような選手が増えたら嬉しい。


今もがいている選手ほど、先を見据えてなんとか頑張ってほしい。僕ができるのは応援だけ。プロ野球でも高校野球でも特に1.5軍の選手を応援したい。

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おばた わたる
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