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読書4(ファインマンさん最後の授業)

イントロ

博士論文で注目を浴びた著者、レナード・ムロディナウは、特別研究員としてカルフォルニア工科大学(以下、カルテク)に赴任した。しかし、彼は研究テーマが決まらず、焦っていた。
当時、カルテクにはノーベル賞を受賞したファインマンが在籍していた。お茶目で遊び心を忘れない彼であったが、末期のガンに侵されていた。著者が、ファインマンに会った印象は、いたずら好きでユーモアいっぱいの「ファインマンさん」ではなく、ひとりの年老いた研究者だったという。
この作品は、テーマに悩んでいる若手研究者と、死を直前にした研究者との交流を描いている。

私は、大学院における研究で、幾度となくファインマンの言葉に救われた、勇気づけられたひとりである。そして、これからも励まされるだろう。

この記事では、本作品において、グッ!ときた所を紹介する。

結婚披露宴で食事をする

会話を重ねて、ある程度は同僚となったムロディナウとファインマン。休日、大学の食堂はやっておらず、2人は食事を求めさまよっていた。そこで、2人はカルテクの庭でブッフェが並んでいるのを目にした。見知らぬ人が、庭で結婚披露宴をやっていたのである。

ファインマン 「君は礼儀に自信があるよな」
ムロディナウ「どういう意味ですか?」
ファ「招待されてないからって、歓迎されてないとは限らないだろ?」

そして、2人は食事を取りに行く。すると、披露宴の参加者から話しかけられる。
「花嫁側ですか?花婿側ですか?」
ファインマン 
「どちらでも無いですよ」
「物理学科を代表して来ました」

遊び心を持つ大切さ

ファインマン 「何かを創造する過程で重要なのが、遊びだってのは確かだな。少なくとも、一部の科学者にとってはね。歳をとっていくのに、遊びを続けるのは難しいよ。だんだん、ふざけるような気分も薄れていくもんだ。もちろん、そうなっちゃいかんよ。」

疑う事の大切さ

昔、全ての電荷は、ある最小量の電荷の倍数になるとされていた。そして、その最小量の電荷を持つ、それ以上分割できない粒子を電子と呼んだ。(電子の電荷が最小量なのだから、それを1として、他の電荷はその倍数、つまり電荷は整数で表現される事が普通であった。)
しかし、ファインマンとカルテクで同僚であり、あまり仲が良くなかったマレーゲルマンが陽子や中性子の中にはさらに小さな粒子、「クォーク」があると提唱した。しかも、それは分数の電荷を持つのである!!周りからは、かなり物議をかもした。(今では、クォークは認められており、マレーもノーベル賞を受賞している)
以下は、これに対するファインマンの言葉である。

「全ての電荷は整数のはずだとか、目に見える物全てが整数の電荷を持っている、という考え方から自分を解放するには、想像力を使わないとね。電荷が、いつもみているふうじゃないかもしれない、と言うには想像力がいる。僕達には、物質の電荷は常にどんな場所でも整数だ、という考え方が浸透していた。」

定説を覆すのには、尋常じゃない想像力が必要ですね!

他の好きな言葉

研究テーマに悩んでいるムロディナウに対して、ファインマンが言った言葉。

「どんな問題を選ぼうと、自分に対しては1番厳しい批評家でいろ、って僕は言いたいんだ。間違った理由で研究なんかするなとね。自分が本当に信じていないなら、そんな研究やめちまえ、だ。研究がうまくいかなけりゃ、結局は時間の無駄なんだからね。」

ある理論について話しあっている時の言葉。

ファインマン 
「君は、その理論をちゃんと理解しているのか?」

ムロディナウ
「論文を読みました。だいたい、ついていけました。」

ファインマン 
「ついていけた?誰かについて行ってるからって、正しい道を行ってるとは限らんぞ。自分で解いて確認してみないと。」
「そこで初めて理解できるんだ。そして、やっと信じられるんだ。」

シュミレーションの怖さ

ムロディナウの同僚、コンスタンチンはコンピュータで陽子の質量を割り出したが、それが捏造だったのである。あらかじめ、陽子の質量をコンピュータに入力し、各パラメータがその答えになるように調整されていたのである。

ムロディナウは、ファインマンに対してこの捏造の話をした。

ファインマン 
「その人の論文を読んでないしねえ。良くわからないよ。僕はそいつの精神分析なんてする気もないよ。ただ君(ムロディナウ)が気にしなくちゃいけないのは、友人が研究でずるしたかどうかじゃないんだ。その研究論文を読んだほとんどの人が、違いを指摘できなかったのが問題なんだよ。どいつもこいつも疑いもせず、理解もしていなかったんだ。ただ、その論文について行っただけ。つまり、ついていくやつばかりで、引っ張っていく人間はほんの一握りなのさ。」

最後に、ファインマンから一言。
不幸な時は、それについて考えろ。
でも楽しい時は、考えたりするな、だ。

何事にも、疑う気持ち、子供のような好奇心「なぜ?」っていう気持ちはすごく大事なんだなぁ〜。

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