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#11 「ほんとに新しいことは、いつまでたっても古くならないこと」 〜ALKOTTO 2周年によせて〜

おひさしぶりの編集長日記の更新です。5月の末に、とにかく長くてひたすらエモい、きわめてパーソナルな旅日記をまとめて投稿したりはしていました。

ただ、この編集長ブログを書くのは昨年の大晦日に書いた昨年度の人気記事まとめ以来、じつに半年ぶりとなります。この半年だけでもほんとうに濃密でいろんなことがあったのですが、ともかく今日はこの2年の活動をザッと振り返りたいと思います。

というのも、そう、今日は2024年の7月1日。つまり今日はぼくにとってはフリーランスになって12年がたった、いわば独立記念日となるわけですが、と同時に、このALKOTTOのnoteを開設してまる2年が経ち、3年目に突入した記念すべき日でもあるわけなのです(たぶんinstagramも同時にアカウント開設してるはず)。まあ50年以上もの歳月を生きていると2年なんてあっという間の出来事ではあるのだけれど、それでもやっぱりほんとうにいろんなことがあったなあと感慨深いものがありますね。

2年前に自己紹介プロフィール記事を書いたときは、まだどんなことができるのか、実際続けられるのか?これからどんなふうになっていくんだろう?と、そうしたことの一切がなにもわからないまま、しょうがないから死んだ愛猫のことなどを書いていました。ただ「わからないことを楽しみたい」とも書いていて、すくなくともそのことについては自分としてはそれなりに実践できた2年だったとは感じています。

あれから、もう2年。いや、まだ2年なのか。ともかくALKOTTO創設時である2022年はまだコロナの影響が色濃くあって、活動もそれなりに制限がありました。デスクにはアクリル板があり(それにしてもあれは無意味だと思うと当時からずっと言ってたのだけど、やっぱり検証はされないままだったなあ)、みんなまだマスクをしていましたね。

当時の初代リーダーだったあゆかちゃん(現在は某大手旅行代理店で活躍中)、そして現在4年生の2代目リーダーまおちゃんたちの世代はモロに影響を受けた学年だったので、彼女たちが1〜2年生だった2020年から2022年3月まではそもそもメンバーの数も少なく、定期的にミーティングに参加してくれていたのはリーダー以外では各学年3〜4人、合計しても10人程度のメンバーで活動せざるを得ない状況でした。

下鴨神社のさるやさんの取材風景。あゆかちゃんの頃はまだマスクしていない写真が少ないんですよね。

そこへ2022年の春、15人超もの新入生が一気に入ってきてくれました。当時はうれしくもあり、同時に戸惑いもありました。なにせ迎えるこちらは5人ほど、そこへまったく右も左も分からない、ついこないだまで高校生だった新1年生たちが大挙してやってきたわけですから。しかも新入生みんながマスクをしていて表情がサッパリわからない。夏休みを迎える頃になっても名前と顔が一致する学生の数はきわめて少ない状況でした。

現3年生が入ってきて最初のミーティング。自己紹介をしましたね。マスクとアクリル板が邪魔だなあ。
まだみんなの距離感も空気もビミョーな感じのころですね。
このあとあゆかちゃんとまおちゃんと3人で反省会するわけです。

だからミーティングが終わったあとは、いつもあゆかちゃんとまおちゃんと3人で反省会でしたね。もうちょっと1年生の意見を拾い上げられたら良かったかな?とか、早く顔と名前を一致させないと距離が近くならないよね?とか、せっかくたくさん入ってきてくれたのにつまんないといって辞めちゃわないようになにか具体的にやってもらえる役割をつくったほうがいいかも!なーんてことを毎週毎週、話していました。

2代目リーダーのまおちゃん。この時点でもうすっかりリーダーの風格を纏ってるなあ。

そうやってできたのがALKOTTOでした。せっかくメンバーが増えたのだから、これまでやってきた紙面づくりだけではなくSNSやネットメディアを使って、いろんな人にいろんな情報発信を個別にやってもらおうと考えたのでした。もちろんそれまでにもメディアミックスはやりたいという話はあったのだけど、人手が足りてませんでしたからね。だから新入生がたくさん入ってきて、これはチャンスだ!となったんだと記憶しています。そこから最初の2ヶ月はみんなでチームの名前を考えようということでブランディングやネーミングを議論し、最終的にALKOTTOという名前に決まりました。そうして晴れて7月1日に、instagramやnoteのアカウントを開設。チーム分けをして少しずつ投稿をしていったわけです。そこからわずか2年でよくここまで成長できたなと自分でも思います。ひとえに初代リーダーのあゆかちゃんと、前リーダーのまおちゃんがともにとても優秀ですごくアクティブだったことは大きかったと思います。

ネーミングが決まった日の会議。ALKOTTOの名前はまおちゃんの発案によるものでした。

でも、それだけでは達成できていなかったと、とりわけ最近は思うようになりました。ふたりのリーダーのがんばりに応えようと、懸命についてきてくれた当時1年生で現在の主力メンバーである3年生の力が大きかったとぼくは思っています。なにしろこの学年のメンバーはみんな個性的で、その異なる個性がそれぞれの個性を補うようなかたちで、それぞれの役割を発揮してくれていて、ぼくが考える理想に近いチームだと思うからです。

ともすればとくに日本の初等教育では(会社組織であってさえ)「同じ個性で同じ考えでひとつの目標に向かって一丸となる」みたいなのが良しとされているようなところがありますが、いっぽうでそうした組織には大きな環境変化やトラブルに見舞われたとき、全崩壊する脆弱性が潜んでいるとぼくは考えます。

その点、ALKOTTOのとくにこの学年のメンバーには、それぞれがそれぞれの個性のまま、自由奔放に自分らしくのびのび活動することが、むしろチームワークにつながるという、稀有な才能を持った集団だとぼくは感じています。そしてそれこそが本来的で未来的にはチームづくりのあるべき理想だとも思っていたから、なおさらうれしかったのでした。

現在の2年生を迎えた2年目の春。

だから、今年の学年にはかつてのあゆかちゃんやまおちゃんみたいな、ひとりの突出したリーダーは存在しません。メンバー全員がそれぞれにリーダーのようなチームなのです。もちろん人数も多いので組織を運営していくうえで、全体リーダー1人とサブリーダー2人による「幹部会」と、note、instagram、さらには今年度から始めるYouTubeそれぞれにパートリーダーを決め、「幹部会」とパートリーダーによる「リーダー会議」も別で行うようにしています。3代目リーダーは猪突猛進、とにかくなんでもやってみようというポジティブでアクティブなタイプのももかちゃんに。サブのひとりのあやねちゃんは逆にブレーキ役。ちょっとネガ思考に思われて誤解されやすいタイプだけど、猪突猛進なリーダーの横で助言するのには最適な人物です(自分もこのタイプだからよくわかるのです)。もうひとりのサブのさやちゃんは責任感の強い人。自分独自の視点をしっかり持っていて、でもちゃんと人に道を譲れる人。ぼくはひそかに最初からこの3人だろうなとは思っていたけど、立候補を募ったら、やっぱりこの3人が手を挙げてくれました。そういうところがまた、この学年のすごいところなのです。そして。組織のキモになる存在として「リベロ」と呼んでいる役職はないけど組織の潤滑油的にすべての人、すべてのパートにかかわるポジションのメンバーもいます。のどかちゃん。この人は気配りの天才みたいな人です。

あと、パートリーダーは基本的には抜擢です。Instagramリーダーにはなんとなく自分のアイデアをひそかにあたためていて、でもいまの環境では実現できなくてもどかしそうにしている(とぼくが感じていた)こはるちゃんに(彼女は立候補もしてくれました)。それからnoteリーダーには引っ込み思案でおよそリーダーには向かないように見えて、企画コンペで自分たちの企画が負けると人目も気にせずポロポロ泣いちゃうような芯の強い人であるあゆなちゃんに。そして新設されるYouTube担当には、いつもどこか自分を過小評価していて前に出ることに躊躇いを感じつつ、でもひそかな情熱と独自の視点を持っている(と、つい最近になって知った)ひとみちゃんに、それぞれ担当してもらっています。3人に共通しているのは、才能に対して活躍の場が少なく、つまり場数が足りてないということでした。舞台さえあれば、みんなちゃんと踊れる。そういう予感のようなものがあったのです。

それ以外のメンバーも、頼まれてNoと言ってるところを見たことがないほのかちゃん、口数の少なさと声の小ささと反比例するくらいどんなイベントにも参加してくれるりなちゃん、比較的おとなしめのALKOTTOメンバーのなかにあってバイクに乗ってダンスもやるという異色の存在感を放つアクティブなみうちゃん。そして、3人の個性が見事に違っててそれぞれが補い合っているまさにALKOTTOを体現しているような、ゆりあちゃん、まりあちゃん、あいちゃんの2年生トリオ。

こんなに個性が強くてバラエティに富んでて、でもその個性がヘンなかたちでぶつかることなく、その人の色のままでチームの色を作り出せることって、なかなかできないことです。だから。ぼくは本当にこのチームが大好きです。みんなを、愛しています。

まさにちょうどきのう、「響け!ユーフォニアム」が3期の最終回を迎えて(つまり久美子たちの年代の3年間が終わって)ついに完結したわけですが、ALKOTTOのメンバーを見ていると、まさにこのアニメの登場人物たちのように、個性的で考えの異なるメンバー同士がそれぞれの場所で自分の音を奏でながら、ひとつの演奏をつくり上げていく感じが似ていて、最終回はちょっと冷静には見てられなかったですね(いまの3年生たちも、来年には活動を卒業していくわけなので、いまからロスがこわい…)。

さて、じつはこのチームには独特のクリシェがあります。それは「他にやる人がいなければやります」というもの。全体ラインに流すとリアクションがなくても、直接頼めば「やります(他にやる人がいなければ)」と、ほぼ必ず快く引き受けてくれるのです。だから今年になってからは、なるべくこれをやってほしいなと思った人やプロジェクトがあったら、直接声をかけるようにしました。昨年まではちょっとみんなからは距離をとっていたというか、そもそもALKOTTOは大学公認の部活でもなければ正式なサークルでもないし、みんな学校の勉強も他の活動もアルバイトも忙しいなかでやってくれているわけで、しかもこんな歳の離れたおっさんに頼まれたら断れないよな、と思っていたからです。

でもいくつかのきっかけがあって、それをやめることにしました。もっと彼女らの立っている場所に自分から降りて行こうと思ったのです。なぜか。ぼくが思っているよりもはるかにみんなこの場所を愛してくれているし、この場所でなにかを実現しようと思ってくれている。もしかしたらぼくが期待されている役割は、技術的な指導なんかよりも、ただ彼女らの背中を押してあげることだけなのではないか?そう思い始めたのが春のQUESTIONでのイベントでのことでした。あそこからいろんなことが動き出したという手応えをぼくは持っていて、いまはそれで正解だったのだと思っています。

実際にあれからまだ3ヶ月ほどしか立っていないのだけれど、それぞれの場所で、それぞれの花をこれまで以上に咲かせようと懸命にやってくれています。やはりみんなに任せてよかったなと思っています。浴衣で鴨川を歩くイベントも大成功だったし、YouTubeもいよいよ始動します。そして1年生もまた18人くらい(うち留学生が2人、そしてなんと男子が3人)入ってきてくれて、総勢30人超の大所帯になりました(なんとこの1年生たちは初代リーダーを知らない「ポストあゆか世代」。時の流れは早い…)。

今年の春、新1年生を迎え総勢30人超になったことでミーティングも大きめの教室で開催しています。

ともあれ、そうした紆余曲折を経て、わずか2年でここまで大きなプロジェクトになりました。いまでは学内でも高く評価されていて、年一回だった紙面を複数回発行できないか?なんて話もどこからかチラホラ聞こえてきたり、「観光学科を説明するのにこのALKOTTOの活動とあの紙面がいちばんわかりやすいし、なにより高校生や高校の先生、保護者さんからの評判もいいんです」と学部長直々にお礼の言葉もいただきました(授業を持ってくれなんて話まで!)。また各方面からの外部コラボの話も増えてきています。

学内外で評価の高い2023年度制作の最新号の表紙。
中面では場所のイメージ合わせたスタイリングを学生自身が考案し、
アイテムセレクトから、コーデ、モデル、記事執筆を担当しています。

そしてそして、このALKOTTOを事業化して、株式会社ALKOTTOをつくろうという意欲的な意見も飛び出して、いままおちゃんと一緒にそれに向けた準備を始めています。そういえば先に紹介したぼくが最初に書いた自己紹介記事のなかで「いつかここから起業するような人が出てきたらいいと思ってる」的なことを書いていましたが早速にして実現しそうでうれしいです。京都外国語大学はこないだ他大学に先駆けて初めて京都商工会議所と連携協定を結んだばかり。京都の課題として大学の街でありながら学生は就職で京都から離れてしまうことがあります。それを解決するために京都の大学からグローバル人材を育成しようという話らしく、いやそれってALKOTTOでぼくたちがずっと取り組んできたことであり、もっといえば最初に京都外国語大学とENJOY KYOTOで学生さんに取材してもらう記事広告を作りましょうというプロジェクトを始めた2018年から、ぼくが取り組んできたことでもあるわけです。まさに機は熟した、ということなのではないでしょうか。とにかく可能性は無限だし、先にあげた京都の課題解決の最初の象徴的な成功事例となるべく、この事業化もじっくりと進めていけたらと思っています。

先日、初めて主催として開催した浴衣で鴨川を歩こっとイベントの様子。浴衣は西捷さん、
ふろしきはむす美さんにご協力いただき、和装PRと同時に社会実験の一環でもありました。
今後はここnoteやinstagram、YouTubeなどを通じて情報発信していきます。

というわけで、2年前にぼくとふたりのリーダーのたった3人で戸惑いながら立ち上げたALKOTTOは、現在9人の3年生と3人の2年生のがんばりもあって、いまやそんな夢を語れるくらいまでには成長しました。猫のリーナスくんもきっと天国で褒めてくれていることでしょう。

最後に。タイトルの言葉は小津安二郎監督の映画「宗像姉妹」のセリフからの引用です。なぜこの言葉をタイトルとしたのか。それはぼくからメンバーみんなへのメッセージであり、京都を語るうえで、これほどぴったりな言葉はあまりないと思うからです。なぜ伝統文化に惹かれるのか。なぜ古いものに魅力があるのか。その問いの答えがこのセリフに詰まっています。伝統は保存すべきとか日本らしさや郷愁だとかそういうありていの思い込みにとらわれず、また「新しい」「古い」という字義通りの概念に振り回されず、もういちどフレッシュな視線で京都の街を歩いてみて、自分なりの京都の解釈や定義を見つけていってほしいなと(メンバーでほぼ唯一の京都人として)思っています。

とにかく2周年おめでとう!3年目はさらに飛躍の1年になることと思いますので応援よろしくお願いします。フォロワーのみなさんも、あらためてどうぞよろしく。

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