『食願』

今、飼い主が死んだ。月が照らしている。

「孤独な俺が死んでも、適当に葬られるだけだ。

   だから、俺を食べてくれ。朝までに…」

最後の力で辿り着い廃工場。よし、始めるか。

ぐちゃ。皮膚を裂くだけでも、時間がかかる。

ダメだ、みんなを呼ぼう。野良犬。散歩道の犬。

敵対する大型犬。総勢30匹以上。ありがとう。

無言で、必死に、脇目も振らず。時間との闘い。

朝日が昇る頃、終わった。骨はみんなへお土産。

血の海、頭蓋骨を枕に眠る。約束、、守ったぞ。

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