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“炎のコバケン”はとてつもなく熱かった

今回の「風と緑の楽都音楽祭2023」の中で話題になっていたのが、群馬交響楽団×小林研一郎指揮のプログラムでした。
ありがたいことに僕は、場所こそ異なるものの、そのすべてを味わうことができました。


◯ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
交響曲 第5番
(コンサートホール2階席で)

◯ベトルジハ・スメタナ
連作交響詩《我が祖国》
第1曲「ヴィシェフラド」
第2曲「モルダウ」
第3曲「シャールカ」
(ボランティアをしながら1階席最奥で)
第4曲「ボヘミアの森と草原から」
第5曲「ターボル」
第6曲「ブラニーク」
(ボランティアをしながらコンサートホールロビーのスピーカーで)

とてつもなかった!
とってもよかった!

『モルダウ(ヴルタヴァ)』は、音が川面の波のようで、ゾクゾクしっぱなしでした。

チャイコフスキーの交響曲第5番は、ドラマ「リバーサル・オーケストラ」で使われたこともあって話題になっていましたが、この曲はコバケンの十八番。僕自身も好きな曲の一つです。
もう‥すごすぎて。
フォルテ(強奏)の迫力だけじゃなく、全部が別次元!
市民オケの祭典でご一緒した方と、ホールで会ったときは、半泣きしながら抱き合ってしまったくらい(本当です)。
第一楽章から涙腺緩みっぱなし、最後の音が響いた瞬間から、飛び交うブラボー!のかけ声と割れんばかり&なりやまない拍手!
素晴らしすぎて言葉にならないくらいでした。
「これが聞けて良かった」という方は会場内に何人もいらっしゃったと聞きます。


小林研一郎さんは、演奏が終わるたびにお客様にお話をなさるのですが‥
司会者の方もおっしゃっていましたが、

「とにかく表現が美しい」
「言葉のチョイスが素敵」

心に響く綺麗な日本語をお使いになる方でした。

「世界で一番最高の演奏をみなさまのお膝元にお届けすることができました。皆様が私たちの心を包み込んでくださったからこそ、いい演奏ができたことに感謝しております。逆に皆様に拍手を贈りたいです」
(チャイコフスキー終演後)

「一つ一つの拍手の中に、皆さんの思いが伝わってきて、心が洗われるようです。
みなさまの心のひだに届く音楽を届けられるように、心に染み入る音楽を届けられるように演奏いたしましたけれども、このような超満員のお客様の中で演奏できたことに、大きな大きな感謝をしたいと思います」

(「我が祖国」終演後)

またそのお声が柔らかなあたたかくて‥
それもまた感動ポイントでした。




そして、奇跡が起こりました。

音楽堂の廊下を歩いていたら、マエストロ小林研一郎氏にお会いできたのです。
スタッフの方たちと会場を後にしようとしている感じでした。

「マエストロ‥小林研一郎さん、ですか?」
と声をかけて僕の方を見てくださったマエストロ。

緊張して「あ、握手して下さい‥」としか言えなかったのですが、

「いいですよ〜」

と気さくに応じてくれました。

歩いているだけでも貫禄を感じるそのお姿でしたが、握手されたときの手の感じは、これまで握手してくださったどの方とも違う、ものすごく熱いものを感じました。

チャイコフスキーからずっと聴いていたことをお伝えすると

「それは嬉しいなぁ〜!」

とにこやかに応えてくださいました。その包み込むような声がまた良かった‥


スタッフの方が
「写真撮りましょうか?」
って言ってくださって、ツーショット写真を撮っていただけました。


マエストロは今年83歳。
「炎のコバケン」と言わしめる熱い演奏ももちろん素晴らしいのですが、

「人間が経験してきたもの全てが人柄やそこから生まれるものにあらわれる」
とか
「歳を重ねるとはこういうことだ」
とか
並の言葉では語り尽くせない人間力・オーラ・その他いろいろなものが一気に流れ込んできた感じでした。

僕とのわずかな時間でのふれあいの中に溢れる優しいお人柄とに、心から感動して、しばらく何も考えられなくなってしまいました。


ただ、あの握手と優しいお姿から、言葉で言い表すことはできない、マエストロ・コバケンが紡いできたもの・重ねてきたものを強く強く感じることができたことだけはわかりました。


本当はCDにサインをいただけたら最高だったのですが、休憩室にあるカバンの中に入れたままで‥。

でもきっとこの出会いは、
「これからも音楽活動とかいろんなことに頑張っていってくださいね」
という励ましを、神様がプレゼントしてくれたのではないかと思っています。



一生忘れられない経験となりました。
お疲れのところ&帰りがけのところ、本当にありがとうございました。

「炎のコバケン」こと小林研一郎氏と。
2023.05.04 石川県立音楽堂にて。

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