朝のルーティーン/頭脳労働は午前中、肉体労働は午後。
ダンサーたちから私の朝のルーティーンを尋ねられたのでここに記します。大したことはやっていませんw. 基本的に頭脳労働は午前中、肉体労働は午後に行います 。我々の仕事は一般の人がインプットする時間(夜)にアウトプットしなくてはね。
七時から九時の間に起床(前夜の状態による)
拙宅は、アパルトマン内の二階建て(四階と五階)になっていて、階上が居住空間や浴室、階下に事務所兼居間や台所、トイレ。階段が宅内にあり行き来できる。メッツァニン(ロフト)ではない。
1)一階に降りて爆睡している犬の状態を見、よしよし、をして、犬が昨夜のうちに落としたベランダの排泄物を処理する。犬水(犬の飲み水。犬を絞った水ではなく)を取り替える。
2)二階に上がり体重を量り、折れ線グラフに書き込む。毎日同じ状態で量る、
3) ミネラル水をコップ一杯飲む。(体重を測った後に飲む )
4)髪を梳かして束ね、洗面、スキンケア、顔と首のリフトマッサージ、デコルテへのリファカラット、眼の周りに電動器を当てながら同時に足首と膝のケアをする。
毎日行うリフトマッサージは数分の短いもの、一週間に一回は十分くらいのフルとカッサを行う。一時間のものはエステでやってもらう。
洗髪、入浴は夜。朝シャワーを浴びることもある。
5)部屋着に着替える。
6)洗濯物を持って階下に降り、洗濯機に入れてセットする。
洗濯は白もの、黒もの、赤、青、その他(水洗いの衣類だけまとめて、とか)に分けて行う。白ものを洗濯した直後に家人が白いシャツなど着ると数日待たねばならないからその間にシミになる、などの問題がある。
7)お湯を沸かし、レモンを絞り(上の写真)、蜂蜜と一緒に湯に入れて飲む。
以前は白湯だけ飲んでいたのだが、不味すぎるのでレモンを入れるようになり、それも不味いので蜂蜜を入れるようになった
本物のレモンと蜂蜜は飲み物の中ではかなり原価高いので、毎日摂るのは不経済だが、美と健康と芸術のための投資である。
8)家人のためにペーパードリップでコーヒーを淹れる
コーヒーメイカーが壊れて以来、購入しなければと思いつつ、まだ買っていない。とりあえずペーパードリップで淹れているのが今日も続いている。
1)から8)の間、犬はすやすやとソファーの上で眠り続けている。
9)一階に掃除機をかける。犬が飛び起きる。 犬が家中を駆け回り、掃除機から逃げ惑う( 吸い込まれると思っているのかな)
犬は(うちの犬は)学習しない生き物なので十年間同じ行動をとっている。
10)Macのマウスやキーボードを拭き清め、起動させる(これが、とても遅い)
1)から10)までで、一時間から一時間半かかる。
朝から出かけるときは洗濯と掃除をカットする。
11) 簡単な短い運動をする
12) コーヒーを飲みながらメイルやSNSのチェックをする。昨夜から今朝にかけて世の中で起こった情報のインプット。犬はデスクの下に潜り、私の足元に寄り添いながら惰眠をむさぼる。
13) そうしているうちに洗濯が出来上がるので、大だらいに入れてベランダと浴室に干す。 ✲ページ下参照
14) 昼食の下ごしらえをする(肉をタレに漬ける、その他)
朝食は摂らない(朝食にかける時間が惜しいので)。ヨーグルトか豆腐(中華街で買ってくる)を台所で立ったまま食すくらい。
米を研ぎ、炊飯器にセットする。研ぎ汁は洗顔に使うのでペットボトルに入れて洗面所に運ぶ。
15) 世間の事務所や銀行などが開いた頃に、連絡関係、領収書の発行、サイトの更新、その他の事務仕事をする。秘書が来て共に作業することもある。
16) 翻訳、読み物、執筆、クリエイションの進行表、その他
この16)が一日のうちで一番の黄金時間である。頭脳が活性化し、集中できる時間である。この時間をくだらん用事で邪魔されると一日を失なう。この時間を増やすために他の用事に割く時間をなるたけ効率化させ、短縮するのが今後の目標。
17) 昼食の支度、家の雑用、昼食が一番のメインなので穀物や肉、野菜をしっかり摂る。夕食は各自で適当に食べる。要求されればパスタなどを作る。
犬も台所にやってきて、料理の間は床に寝そべっている。食事の間はテーブルの下に潜り、私の膝にアゴをのせている。テーブルの傍で犬に食事を与える。
稽古のない日は昼食にワインを飲むこともある。稽古の前のアルコールは命の危険があるので自分に禁止。二十代の頃は、本番前にも飲んだりしていた。飲まなきゃ踊れない時期もあった(遠い昔)。
18) 日常メイク(紫外線を避ける目的のみの化粧。気合いメイクは一時間かかるが、日常メイクは五分くらい)をして外出着に着替え、犬の散歩。お出かけの時間になると犬が目を輝かせて吠える。G20というスーパーは、犬も入れてくれる。買い物の間はレジの傍につないで待機させる。犬はおとなしく待っている。時々、他の買い物客がちょっかいを掛ける。
昼食後から就寝にかけては日によって予定が変わる。打ち合わせ、リハーサル、稽古、劇場入り、クラス、振り付け準備などなど。
その時期によって作業の優先順序が変わる。新作発表が近いときはそれを中心にスケジュールを組む。
読書は移動中や待ち時間、隙間時間に主にキンドルで読む。
まとまった運動(稽古、クラス、舞台、ジム)は二時間から四時間。一週間に六日行う。ワークショップの期間は六時間。若い頃(二十代、三十代) は毎日六時間稽古していたが、今は効率的に訓練し、時間を短縮するように心がけている。仕事(授業)の無いときは、他のクラスを受講することもある。
「朝に稽古した方が調子がいい」というダンサーもいるが、朝に舞台の本番があることは滅多にないでしょう? 朝に身体のリズムを合わせてしまうと本番のある夜八時以降は一番調子が悪い、という身体になってしまう。 そうなると何のために稽古しているのだかわからない。自分の最終目標に合わせた身体のリズムになるようなプランを立てていかなくてはね。だから私は朝の時間は頭脳労働に充て、昼夜を踊りに充てている。
「これは基本的にやらない」ものを決めておかないと、女性が何もかもやることになってしまう。自動車に関係すること、植木の手入れはやらない。旦那の服のボタンつけ、繕い物は本人にやらせる。ズボンの裾上げだけはやってあげる。アイロンかけの手間を避けるために出来るだけノーアイロンの生地を選び、干すときにピンと張って仕上がりのかたちになるよう心がけている。
✲ 洗濯について
パリ市内は屋外に洗濯物を干すことが禁止されている。そこで20年位室内干しにしていたのだが、最上階のベランダに目隠しを付けた場合、外からは見えない。上空から見ない限り。だから一年前からは外に干すことにした。パリの洗濯事情については2011年10月に発売されたTH叢書誌にエッセイを書いているので、興味のある方はバックナンバーを取り寄せて読んでください。
「家庭があると、家事も仕事もあるから大変だね」と言ってくれる人もいるが、独身だったとしてもどうせ洗濯や掃除はしなくてはならないのだからあまり変わらないかな。それに私は仕事が第一、家事は二の次なので、家事は頑張らない。完璧になんて出来ない。夕食の支度は「やれないときはやらない」と家族に宣言している。公演や集中ワークショップのときは汚れ物が山のように積まれる。溜めておいて終わった後にまとめて洗う。地方や国外に行くときには家事は全部、男たちに任せる。女がいなくても生きていける男たちになっておくれ。
有科珠々 Paris 2019
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