幼かった私と、退屈している若者へのアドバイス

2022年7月16日 23:59

学校からの帰り道で、未来の私と話せたらどうするだろうかとよく考えていた。
この道の延長線上にいる私は満足しているのか、それとも不幸に苛まれているのか、とか。
未来の私はどんな後悔を抱くだろうとか、今何をすべきと言われるだろうかとか。
そういったことを最近は考えなくなり、専ら今どうしていくべきかを考えるようになった。
そして一度立ち止まってみて、過去が確かに糧になっているのを感じられるようにもなった。

私は今まで歩んできた階段のまだ途中にいて、ようやく少し広めの踊り場にたどり着いた。
これまでは自分でそうと知らずとも、客観的に過去を眺めることができていなかったのだ。
この先の階段もまた同じように上るので精一杯になるような気がしている。
だから今、ここから振り返った過去を記しておいて、さらにこの先のどこかの自分に力を与えられるようにしたい。

この文章は今の自分から過去の自分に向けてのアドバイスである。
と同時に過去の自分と同じ悩みを抱える人へのメッセージでもある。
浴びるようにアニメを見た中で自分を見つけ、どういうようにあるべきかを考え続けてきたのが私で、それと同時に怠惰な心とアニメの世界やそれに似た性質を持つ周りの人やものへの憧れを抱いてきた。
未来の自分だけでなく、そういった人に良い力を及ぼせられたら嬉しい。

「

1.具体と抽象のレベルを考えること

本やアニメなどの物語をはじめとして、あなたは周りの世界から多くのメッセージを受け取ります。
それらには具体的なものと抽象的なものがあって、どちらも大切な役割を担っています。
ですが今のあなたでは理解できないことが多くあり、それらのことはおよそ抽象的すぎるが故に難しいのです。
そして、理解できないことはつまらないように感じられることがあります。
ですが今の私は周りの世界につまらないものはないと考えます。
つまらないのはそれらのことを面白がることのできないあなたの感性です。
しかし、それはまだ成熟していないあなたにとって仕方のないことです。
ですから、もしあなたが何かをつまらないと感じたのならそれよりも具体的なものを摂取するようにしてください。
それを繰り返していくうちに、より抽象的なことを理解できるようになります。

2.物語を浴びるように摂取すること

あなたはアニメを寝食を惜しんで見ています。
動機は確かその面白さがつまらない悩みだとかを忘れさせるからでした。
その行動は今の私の核、アイデンティティを育んでいます。
描かれるキャラクターや関係の在り方、出来事に対する印象などがとても素敵に思えたのを覚えています。
その心の揺らぎの蓄えは、いずれあなたに何かメッセージを手渡します。
キャラクターが、世界が自分の中に息づいて、そこから生まれたメッセージが私の思考に影響し、選択に影響し、人生に影響するのです。
ですから作品の質だとかは置いておいて、浴びるようにアニメや本など物語を摂取してください。
効率だとかを考えだすようになるとそれは出来なくなります。
食わず嫌いをせず、名作とか流行っているものも見るようにしてください。
また、繰り返しますが面白いものだけでいいです。

3.他人と積極的に交わること

あなたは自分で考えることが好きです。
そのため、他の人にあまり興味を持てないこと、そして人との交わりを嫌うことがあります。
ですが、考えることにおいて必ず他人との交わりは大切です。
自分を他と区別する考え、自分が他を捉える存在であるという考えは間違っています。
先も言ったように、考えることも含めて、自分が生み出すすべては自分と他の間で生まれるのです。
一人で考えていると、考えることが次第に独りよがりになり、いる場所が変化すると使えないその場限りの思考になります。
友人と、ある程度抽象的なテーマについて話し合うことは、楽しいですし、加えて自分の中にない発想すらも浮かんでくることがあるのです。
まるで考えを口にすることで滑走路が作られて、その先で飛び立てるような感覚を味わえます。
ですから、つまらないと感じない範囲で、積極的に他人と交わるようにしてください。

4.文脈と意味を意識すること

物語からメッセージを受け取る経験を積むと、メッセージを見出したものに物語性を感じられるようになります。
それは現実世界においても当てはまります。
この物語性を文脈と呼んでいますが、文脈を得たものはそのすべてが意味を持つようになります。
自分が何をすべきか、自分は何のために生きているのか、を含む「問い」はすべて文脈に依存します。
そして「答え」は文脈によって与えられる意味を考えることで導かれるのです。
もしあなたの人生がつまらないと感じたのなら、それはそこに文脈を見いだせていないからだと思います。
ですから、自分の生活ひいては人生に文脈を見出す努力をしてください。
そうやって今に意味が重ねられていき、見える世界が豊かになります。
まるでアニメを見ているような感覚が得られることでしょう。

最後に改めて、一番大切なものは楽しいだとか面白いというものに対するあなたの感覚です。
それは変化するものですが、絶えず今の向かうべき方向を指し示しているように思います。
ですから、それを信じていてください。

」