【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第七話 風の少年王をさがして
前話
「風の少年王ゼフィリス殿は『雲海の輝きの国』として国を取り戻す旅に出られた。王と女王は一刻も早くゼフィリ殿と合流して、『エーテルヴェールの魔晶』を手に入れ風の国を戻されよ。これが王と女王の最初の使命じゃ。リリアーナはここに置いておきたいが、ユレーネにとっては憂慮する事なんじゃな」
はい、とローレライと目線を交わしてユレーネは言う。
「女性の事は女性でないとわからない事もあります。アイシャードだけで片付く問題ばかりではありません。私には母がいましたが、リリアーナにはローレライと私ぐらいしかいません。共に行動することをお許し願えませんか?」
「お姉ちゃん! ありがとう!」
「少しは黙ってろ」
レオポルトにリリアーナは口を塞がれる。
「そうじゃな。心の機微は同じ者でないとわからぬもの。賢者の称号を持って行くが良い。リリアーナ」
「賢者の称号?!」
その場にいた全員が驚く。リリアーナはアイシャードに師事して二年ほどだ。まだまだ賢者と言うには早い。
「それにはちょいと小細工をして与えようかの。それにワシの名前があると便利なときもあるだろう。ワシの名代として遣わす」
「お爺ちゃん。ありがとう!」
リリアーナが老賢者アイシャードに抱きつく。
「男に抱きつくな。男に」
「あら。レオポルトお爺ちゃん嫉妬?」
ユレーネが面白そうに言う。
「リリアーナは木の箱に入れて育てるんだ。老賢者アイシャードだって男だ。男には近づかさん」
「お兄ちゃん。私がお嫁に行くときどうするの?」
流石に一段と兄力がアップしている兄を見て流石にリリアーナがいう。
「リリアーナは嫁にださん!」
「えー」
「と。レオ。その前に女王の確認が必要じゃないか?」
「確認?」
二人で首をかしげる。
「結婚すれば子を産むだろうが。カール様は三つ子だぞ」
「あ」
二人同時に固まる。確かにやることやればあとの結果は当たり前にでてくる。
「大丈夫じゃ。女王はまだ子を宿しておらぬ。旅が地獄じゃのう。王は」
「リリアーナを取られて復讐に走ったな。アイシャード。方法はいくらでもある。ニコに聞きゃひとつやふたつ」
「俺を巻き込むな」
「どうせ同じ身分の身だ。一緒に悶絶しよう」
ニコの顔がげっそりしたかと周りは思う。結婚式はおあずけ、ということだ。ユレーネは結婚式を挙げさせたいが、自らの身に降り注いだ大問題を味あわせるのはつらいだろうと、式の強行は辞めた。
「それがよい選択じゃ。女王よ」
「何、人の心読んでるんですか! それより、いつ出立するの?」
「こういうこともあろうかとフロリアンに王と女王の新たな武具の制作を依頼してあった。それを受け取られてから旅立たれよ。東西南北にある古代遺跡を目指されるが良い。おそらく風の王は南へと足を運んでいる。そんな気配をたどった」
「古代遺跡……そこに風の王が」
この国々が成り立つ前にあった古代文明と遺跡。そこを訪ねるのか。ユレーネとレオポルトはこれから広がる旅へ思いをはせていた。
あとがき
ここまで来るのがイメージでは第一話だっだのですが、何故か前置きが長すぎてここでやっと風の王ゼフィリスが出現。イメージでは相当、歯の浮くような台詞をレオが言っていたのですが、こんなに漠然とした書き方に。ただ、大人のしっとりとした恋愛は書けてるかもしれません。というか長い春の後のユレーネさんです。
なんやらぽこぽこと謎が謎を呼び始めるこの物語。大ラスは決まってるんですけどね。これで弟三部も書きたいのですが、今の所イメージはありません。各地を巡ることになり、二部構成になるかもしれません。続けていたいけれど。
そして私の朝活時間は一時間以上に。今日も五時起きです。寝たのは日付変わる頃。熱中症が怖いです。というか今足動かせない。階段が超キツかった。行けるかしら。
とにかく、これと「影の騎士真珠の姫」だけは上げておきます。
ここまで読んで下さってありがとうございました。