【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第三十七話 エルハリムの聖なる里山。里山? 砂糖でできているの?!
前話
「一組の星々がいました。ですが、この二人は結ばれることなく世を去りました。今一度、恋に落ちることはできるのでしょうか……」
シェイラが一人呟く。まるで物語を語るように。その目の前の水晶の球の中にはセイランとリアナが映っていた。
「古の魂のご加護がありますように……」
そう言ってシェイラは水晶に聖なる衣を掛けて部屋を出ていった。
「で、大陸の中央部ってシルヴァリアで行けるの? 都会ならシルヴァリアを見た人につかまってしまうわ」
少年少女四人組は地図を広げて見ていた。
「大丈夫だ。里山は山と郷の境だ。都会ではない」
それに、とセイランが付け加える。
「あのエルハリムの聖なる里山は何千人もの冒険者達が入ろうとしたが、中に立ち入れた者は誰もいないという。俺達はそこへ行くんだ。招かれざる人間でないのは確かだから、試練か何かを達成すると入れる。あの里山の中には聖なる樹と呼ばれる木があるそうだ。あそこの住人は『蒼と赤の決戦』で逃げ延びた王朝の者が祖先だ。何か、いわれがあるのか?」
セイランの最後の言葉は自分に向けて呟いたように小さく言う。
「里山っていうから砂糖でも取れると思ってた」
リアナの焦点のずれた見解に一同、力が抜ける。オリヴィアはまたリアナのためにお菓子を焼いて側にいない。オリヴィアにとってリアナは相当可愛い娘らしい。かいがいしく世話を焼くオリヴィアの姿はこのリアナにしてこのグレートマザーあり、である。フェアリードラゴン二匹もお菓子のおこぼれを狙って側にない。リアナにそっくりだ。仲間の視線が集まっているのに気づいたリアナは声を上げる。
「私はお菓子のおこぼれなんて考えてないわよ」
「やっぱり、お菓子の事しか考えてなかったのね」
最近いささか、強気に出るようになったフィオナが言う。
「あんたに言われたくないわよ。いつでもどこでもいちゃいちゃしてるんだから」
それを聞いたマルコの眉が一つ上がる。
「おや、リアナもいちゃいちゃしたいのかい?」
「マルコはお黙り。いちゃいちゃの当本人じゃないの」
リアナの鼻息が荒い。セイランがなだめる。
「怖いのはわかるが、逃げても何もならない。リアナは素直になる所から始めないとな」
「セイラン……。って、あんたにいわれたかないわよっ」
ツンデレの始まりである。そこへタイミング良くセレスがリアナの肩に止まる。シルヴァリアも片方の肩に止まる。
「あら、セレスちゃんにシルヴィ。グレートマザーの所はもういいの?」
リアナのその声に一番豹変してるんじゃないか、と残りの三人は突っ込みたくなる。いちゃちやならぬべたべたの母親だ。
「さぁ。リアナ。お菓子ができましたよ。みんなで三時のおやつにしましょう」
「やった。お菓子お菓子~♪」
早速椅子に座ってちょこんと待つ。テーブルには冷たいアイスハーブティがある。リアナはそれだけでご機嫌が回復する。
「苦労するな」
「ね」
マルコとフィオナに肩を叩かれ置いてけぼりになるセイランである。そんな中でもセイランは嫌な予感がしていた。リアナにまた悩ましい問題が起こるような気がする。そして自分にも。蒼と赤の戦いが関わっているかもしれない。
あんな何百年も前のだ。今は忘れてリアナが笑顔でいられるようにしよう。
お菓子を頬張ってはからかわれているリアナを見てセイランは自分の席に向かった。
あとがき
まだここなのね、と読み直してほっとしてしまう。これからああだこうだといろいろあるので。まだグレートファーザーの元に行けない。ここ超えれば中盤になるのに。「風響の守護者と見習い賢者の妹」を今度は書きためないと。一応二、三話先は見ている。その後は知らないけれど。今日更新しましたが。明日は、ないかもしれません。101からやり直しで2日目。がーん、です。あと70日たったら最長と並びます。いいんだ。いいんだ。+α日でも。といじけてます。というか己が執筆にこだわりすぎて更新を忘れていただけ。予約配信できたのにね。この機能便利なのです。でも更新した、という達成感はなし。まぁ。また続きをいろいろ出してきます。最後の眠り姫が読まれているようなのであとでまたこれも追加しておきます。
ここまで読んで下さってありがとうございました。