【長編連載小説】恋愛ファンタジー小説:気づいたら自分の小説の中で訳あり姫君になっていました(88)
前話
気づけば、街中で食べ歩きをしていた。あれもこれも私にとっては珍しく、そんな私にもっとこの国のことを知ってほしいとおごってもらっていた。だれも私とウルガーが姫と王太子なんて気づく人はいなかった。そんな中、アクセサリーを売っている露店を見つけた。キラキラとどれも輝いている。
「気になるかい?」
後ろを見るとウルガーも覗き込んでいた。
「よぉ。兄ちゃん。彼女にアクセサリー買ってやんな。さっきから目をキラキラさせて見てるぜ」
「そうだね。これなんか、ゼルマの髪に映えるんじゃない?」
銀色に輝く髪飾りをウルガーは私の髪に当ててみる。
「うーん。私の髪はそんなに奇麗じゃないから……。あ、あれを買うわ!」
私が声を弾ませて見つけたそれは婚約指輪の石とよく似た色のブローチだった。元の形もブローチ。お揃いでウルガーにつけていてほしかった。早速、財布を出す。
「ゼルマ? 俺が買うんだよ?」
ウルガーがうろたえている間に私は買ってしまう。少々高かったけれどいつも迷惑かけてるんだもの。これぐらいはいいわ。
「ねぇちゃん。お目が高いねぇ。それはイエロークヴァルツだよ。特別に彼氏がお気に入りの髪飾りをおまけにするよ。これで男の面目たったろう?」
「あ、ありがとうございます。はい、ウルガー。このブローチをつけて」
「お、俺に?」
「そう。この指輪と同じ色のブローチしてお揃いにしたいの」
そういって左手の指輪と並べる。
「ゼルマ! 君のそういう優しさが好きなんだよ!」
そう言ってウルガーはブローチを早速付けた。
「似合ってる?」
「ええ! とっても。自分で言うのもおかしいけれど。見て、お兄さん! お揃いなの!」
強引にウルガーの手をひぱって見せつける。
「いいねぇ。若い子は。髪飾りをつけてやんな。にいちゃん」
「ゼルマ。横向いて」
素直に横に向くと髪に飾りがつく感触がした。鏡で見る。奇麗だった。キラキラ春の日差しを浴びて輝いている。すごく心が浮き立つ。その時、時計塔の鐘がなった。
「急ぐよ。ゼルマ。時間がない!」
「ええ。キンモクセイの宮まで一気にもどらないとお化粧ができないわ! じゃね! お兄さん!!」
「え? ああ。……って、キンモクセイの宮、だって? 今のはそれじゃぁ……。王太子と許嫁のゼルマ姫?! ひょえー!!」
露店のお兄さんが驚いているころ、私たちは兆速で華の宮に戻っていた。
*
「お姉様! ごめんなさいー! 間に合った?」
息を切らせてキンモクセイの宮に戻るとフローラお姉様が仁王立ちしていた。ん? 仁王って? またセリの記憶で表現してしまう。これが最近私を悩ませている事態。セリがどんどん出しゃばってくる。それでもウルガーを選んだ私という認識は常にあった。
お姉様は鬼の形相だったけれど、それもお遊びのうちなのは二人ともわかっていた。
「ギリギリよ。遊びすぎたようね。楽しかった?」
私はドレスを着ると鏡の前で固まる。
「とっても。ウルガーにイエロークヴァルツのブローチプレゼントしたの。食べ歩きもめいっぱいしたし、若い人に交じってダンスもしたわ。どれもこれもしたことのないことばかり。楽しくて楽しくて」
「はい。おしゃべりな口を一度閉じる」
固まってはいても口だけはペラペラ話続けていた。初めて街に連れて行ってもらった時のように新体験の山にテンションが上がっていた。
「それだけ頬が染まっていればチークはいらないわね。さぁ。町娘からお姫様に戻る時間よ。正門へ行きましょう」
宮をでれば、正装したウルガーが待っていた。
「素敵。ウルガー」
「ティアラがよく似あってるよ。ゼルマ」
「一目ぼれごっこはあとから車の中でしなさい。もう出発予定時間から遅れていますよ」
「お母様!」
「よく似合っていますよ。ゼルマ。文句の出どころのない娘ね」
「息子を忘れないでください」
「あなたはいつも通りよ。たまには違う服で驚かせなさい」
「そんな~」
かっこいいウルガーの顔で口からはへたれウルガーの声がでる。
「仕方ないな。さあ。姫、まいりましょうか」
「はい」
こんなやり取りもお遊び。特別にかっこいい姫と王子になりきる。そして、パレードの車に乗り込む。すぐに特等席が見えるはずだ。
門が開く。華やかな管楽器の音が鳴り響く。こうして予行練習のパレードは始まったのだった。
あとがき
ホントに式あげられるようになるのかしら。ここまでは順調。ですが、私の余計なエピソードが入り交じるようになるんです。続きを書こうにも離れすぎてて、続かない。三行で止まってます。
明日で一旦勤務切れるので、その後を読んで続き書きます。
頭真っ白け。そういう音楽聴いてたので思考力消えてます。体調管理がまず最初にあるので、これからゆっくり値下げしたGOPROの買い手が付くよう祈ってます。あれがなければキャンプ用品もエビちゃんも無理。キャンプはソロだといろいろ行けるから天橋立とか行きたい。京都府のいいとこ巡りたいな。かさとぴあと茶畑が来年の目標。これはメンバーシップで書きます。
今、テントがセール中。ほしいよぉー。