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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第六話 直球のプロポーズ作戦

前話


「ユレーネ!! 話がある! とっとと姿を見せろ!」
 氷の国の城の前でレオポルトは叫ぶ。プロポーズに義理の妹と親友を連れて居城の前で呼び出すとは狂気の沙汰だ。なおかつ、ここまで来るのに召喚動物をこき使った。レベルが高いイーカルムだから良かったものの、レベルの低いヤツでは墜落死しかねなかった。レオポルトは馬を使うでもなく、徒歩でもなく、なんでもなく、空路で氷の国の城門前までやってきた。近衛兵達が警戒して防備の体勢を取っている。あちこちに射手がいる。
「レオポルト! 死ぬ気か? 気が触れたのか?」
「キレただけだ。あのくそ親父達に、な。お前もこの国で暮らせ。炎の国は自滅する」
 冷ややかに言うレオポルトにアデーレはおびえてニコにくっつく。
「妹がおびえてる。気をしっかりもて」
 ニコが言って、おびえているアデーレを見る。前髪を手で書き上げると頭を一振りする。
「これで正常な方がおかしい。アデーレだって……」
 レオポルトは知っていた。アデーレが義理の妹でもなんでもないことを。たまたま昼の情事の会話を聞いてしまっていた。あの後妻には嫌悪しかない。それでも体面を保ってきたのはアデーレの身分の保障のためだった。アデーレに新しい生活を送らせてやれる。この方がいいんだ。レオポルトはそう思っていた。
 
「なんなの? 満月の夜って言ったじゃないの! って。その子は?」
 不機嫌な顔でやって来たユレーネはアデーレを見る。ぱっと表情が明るくなる。
「レオポルトの妹なの? 私はユレーネ。この国の舞姫の一人よ」
「まいひめ? おどるの? お兄様みたいに」
「ええ。さぁ。疲れたでしょう。城で冷たいものでも飲みながら話しましょうね」
 ユレーネは重たいだろうに、アデーレを抱きかかえると城門の中に入っていく。
「ユレーネ!」
「お茶会の間にエンゲージリングでも調達してきて! それがないとお話にならないわ!」
 そう言ってあっかんべーをする。
「あんの……!」
 生意気な表情に一瞬腹が立ったが、プロポーズなどどこで聞いたのやら。
「カール大臣の根回しですよ。きっと」
「ありがたい。ニコ! 町の武器屋へ行くぞ」
 くるり、と方向を変えるレオポルトにニコは慌てて付いていく。
「武器屋が指輪を作るのか?」
「俺がな」
 こりゃ、一目惚れだな。とレオポルトの横顔を見て思うニコである。自分でエンゲージリング作るなんて、正気の沙汰じゃない。聞けば二回ほど会っただけらしいのに。そこまで惚れる理由がニコにはわからなかった。レオポルトも一目惚れの自覚はない。あくまでも他所の意地の悪い娘と政略結婚させられるなら、ユレーネの方が何倍もマシ、と思っているだけだ。まだまだ。この恋には難題がつきまとっていた。

 


あとがき

ぽちぽちと眠れない夜に書いた代物です。なかなか、いろいろ混み合ってきました。ここまで不倫を描ききるとは思いもしませんでした。しかも、マルタの最後まで決まっている。大体の第一部は決まってます。第二部はない予定でしたが、急遽二国間だけじゃないよね、と弟三勢力まででてきてしまいました。名前をつけるのが一苦労。氷晶の森などと命名してくれたChatGPT様は大賛成力は必ずと言っていいほど闇に勢力になるので他の元素だと太陽とかになって、まともな他国を作ってくれないので私が決めました。この○○なら何という言い方がある? と聞いて。言葉をチョイスしながらの設定でした。おかげでトントン拍子で第一部が進んでいます。ショートショートも書かないと。昨日の痛みのおかげで今日は欠勤。先ほど昼食を取りました。胃薬と共に痛み止めを飲みたいのですが、母が居座っていて薬がまだとれません。時間的な問題で今飲めません。二時頃からなら飲めそう。胃腸か座骨に来るので困ってます。胃腸は痛み止めの飲み過ぎかもしれません。イブプロフェンは荒れると聞いていたので。ここまで読んで下さってありがとうございました。また、少し休もうと思います。本当に体調不良です。


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