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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第十九話 ユレーネの憂慮
前話
「ねぇ。お父様。氷の国の人間は炎の国の人間と一緒じゃダメなの? 両国の争いを止めることは無理なの? 私……」
レオポルトは知らない。記憶が混濁し倒れた後、一度、心肺停止になった事を。城の医師が必死になって処置をして命を取り留めたのだ。それを見ていたアデーレは泣きじゃくった。幼い心にあれはひどい仕打ちだったろう。そして、レオポルトの母が炎の国で命を削り、早く亡くなった事実がユレーネにとって一番ショックだった。
自分とレオポルトと一緒に家庭を築くことは無理なのか? 命を削ってしまうのか?
そんな悩みがいつしかユレーネの心の中に住み着いていた。
父、ヴァルターはその心が見えているかのようにユレーネの頭を撫でる。
「お前達は新しい王家を作るんだ。二つの国が融合して新しい国を作るんだよ。それが、言い伝えられてきたこと。氷の国の舞姫と炎の国の王子が『シャリスタン』を築くときが来ると両国に言い伝えられてきた。父はそれが今だと思っているよ。今、炎の国に行くことは危ない。だが、全てが終わったなら見に行きなさい。自分のもうひとつの国となる土地を。お前達だ。この争いを終わらせるのは」
「ホントにホント? お父様」
「ああ。だから、ちゃんと舞姫の舞を極めなさい。自分を映す氷を見て自分を改めて見直しなさい。舞を極めることはユレーネが成長すること。自分自身を高めることになるんだよ」
「そう……」
ユレーネは何か考えていた様だが、吹っ切って言う。
「じゃ、今日も舞を練習してくる。レオを誘っちゃまた倒れるかしら?」
大丈夫だ、と父は言う。
「レオポルトには私が氷の加護を与えた。加護を受けた者は氷の国で長く生きていける。父の精一杯の贈り物だ。レオポルトと一緒に舞を極めなさい」
「ありがとう! お父様! 大好き!!」
そう言ってユレーネは抱きつく。それを受け止めて言う。
「抱きつく相手が違う。まぁ、そんなに早く嫁に行かれるのは嫌だが……」
苦虫をかみつぶしたような顔を見てユレーネが愉快に笑う。
「当分、嫁には行かないわよ。舞がまだ完成してないもの。お母様のように一人前の舞姫になるまでは嫁がないわ。安心して」
そうして、幼い頃していたように父親の頬にキスをしてユレーネは出て行く。その後からエレナが入ってきた。
「両国の言い伝えを言ってしまっても大丈夫なの? あなた」
「もう、ユレーネとレオポルトの時代だ。我々は助けることしかできない。お互い見つめ合いながら答えを見つけていくよ」
心配そうなエレナは夫に抱きつく。
「娘そっくりだな」
「娘がそっくりなんです」
「はいはい」
不安でたまらない心を抱えた王妃の妻を夫の国王は抱きしめて慰めるのであった。
あとがき
星彩の運命と絆の二話目を書いていたのですが、集中できず、先にできていたこちらから掲載しています。いろんな人物の視点でと言うことで書いてみたユレーネ視点です。ユレーネの成長は舞を極めること。レオポルトはまた違うのですが。一緒に舞うのも必要なんです。湖の氷が鏡となり、また二人はアニマアニムスとして成長する必要があります。この辺の表現が困るんですけどね。レオポルトはアドルフという闇がありますが、ユレーネには自分自身に打ち勝つという事が必要です。なんてここで解説できても物語にできなければ意味がない。はぁ。力のなさを感じます。がんばって書こう。しかし座骨神経痛がひどくて大変です。痛み止めばかり飲むわけにはいかないので。いくら薬があっても足りない。この年でこんな羽目になるとは。歩けないのが困る。買い物が憂鬱。明日行かないと。職業病です。ここまで読んで頂いてありがとうございました。
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