【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第十九話 愛。そんなものあるの?!
前話
リアナとセイランは身動きできなかった。マルコとフィオナのように戯れることができるような感情は今までなかった。フェアリードラゴンを育て上げるという関係だけだった。
ただ、セイランはどこかでリアナの事を好ましく見始めていた。自分達の子供を考えたとき相手にリオナしかいなかった。だが、それが愛か、と問われるとわからないのだ。守ってやりたいとも思う。過酷な使命にも着いていてやりたいと思う。だが、リアナの心がわからぬままにここまで来てしまった。
「俺……」
「待って。私から言わせて」
そう言ってリアナは深呼吸を数回繰り返す。そしてまっすぐセイランの目を見た。
「私、あなたのこと好きよ。多分。好みじゃないけど。一緒にセレスを育てていてこんな人が側にいてくれたら、と何度も思ったわ。でもセイランは私が可哀想だから一緒にいてくれるんだって思ってる。そうじゃないの?」
「違う!」
セイランは即座に否定した。
「リアナを可哀想な子なんて一度も思った事はない。それよりも強い女性だと思っている。セレスの事でもここまで心を砕いてくれた。俺の使い魔なのに。一睡もせず見ていてくれたこともあった。あれは、並大抵にできることじゃない。そんなリアナが大事だ。側にいて欲しい。いや、側にいたいんだ」
「セイラン……」
「リアナ……」
二人の距離が縮まる。そして息がかかりそうなほど近づいたその時、シェイラの声が魔法の時間を解いた。
「はい。少年少女はそこまで。マルコとフィオナみたいになってはいけません。たまにはご褒美はあるかもしれませんが、今はセレスの子育てを共になさい。いずれ、本当の気持ちがわかるようになります」
「愛、って事ですか?」
セイランから離れたリアナがシェイラに聞く。
「そう。愛。愛がわかるようになれば全てを許しますよ」
「す、全て?」
セイランが真っ赤になって言う。
「ほら。年頃の男の子はこうなるんですよ。男の理性は試さない方が身のためですよ。リアナ」
「セイラン、何考えたの?」
ぽけっと見るリアナにセイランは顔を背ける。その仕草に傷ついた瞳の色を宿すリアナだ。
「リアナもそれぐらいで傷いていれば幾つ心臓があっても足りませんよ」
傷つく、というシェイラの言葉でばっとセイランが振り向く。
「今、俺、リアナを傷つけたのか?」
「大したことはないわよ。視線をそらされて少し辛くなっただけ。セレスの事があるから少しのことで動揺するの。セレスが一人前になったら元気なリアナに戻るわよ。さぁ。セレス、この真珠の涙をどこの箱にいれようか。シルヴァリアも食べて良いからね」
そう言ってリアナは近くにあった箱に真珠の涙と呼ばれる小さな球体を入れ始める。その姿がなんだかさみいそうで、セイランは後ろから抱きしめる。
「俺も、手伝って良いか?」
おんぶお化けのとなっているセイランを振り落とさず、リアナは言う。
「おんぶお化けじゃできないわよ」
承諾を得たと思ったセイランは一緒に箱に真珠の涙を入れ始める。セレスもシルヴァリアも手伝う。口でもってきてはぽいっと、入れる。
「セレスもシルヴァリアも賢い子ねー。ママは嬉しいわよー。あとでおやつの時間に食べましょうねー」
いつものリアナに戻っているのを見たセイランはやっとほっとして作業に専念し出す。
「困った子達ね」
そっとため息をつくシェイラである。
「嫌い嫌いも好きのうち、ですよ」
同じく戻ってきたマルコも言う。
「リアナはツンデレだから」
と身も蓋もないことをフィオナは言う。
「お互いツンデレどうしね。困ったこと。二人で使命を果たさなくてはならないのに」
「やっぱり、そうなんですね」
フィオナが困ったとため息をつく。
「あなた達が刺激になって過ちを犯すのもダメですし、かと言って心に秘めたままでもいけないし、どうすれば素直になれるのでしょう」
「難しいー」
「ああ」
二人と二匹が一生懸命共同作業をしている間、外野はただただため息をつくだけであった。
あとがき
ほんと、この二人はくっつくのが遅いこと。まぁ、好みの相手じゃ無かったですしねー。というか、エレメントが関係してそうすぐくっつかないのです。炎と水はま反対ですから。ちゃんとエレメントに即して書いてるのです。その内、エレメントだけでなく陰陽五行説も取り入れて話は続きます。
自分の持ってる知恵総動員です。あとは、エッセイの勉強で薬の事でもかきましょうかね。ここまで読んで下さってありがとうございました。