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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫 第七話 奇妙な作戦会議

前話

「それでは、みんなで森の泉に来たわ。何を相談すれば良いの? 騎士様」
「騎士様なんて言われた事もありません。ヴァルトでもよいと言ったではありませんか」
「じゃ、みんなからヴァルトと呼ばれていたの?」
「姉と父に……」
 伏せがちな瞳にフィーネペルルはすぐに察した。
「亡くなられたの?」
 刺激しないようにそっ、と言う。
「父はこの国との争い中に。姉は何年か前に行方不明になっております」
「まあ。それでは、お姉様を探して旅をなさっていたのね。雇われる騎士となっているのがこれで、納得できるわ。でもお父様を殺した国に仕えるのは心中穏やかではないでしょう? どうして……」
「この国で姉を見かけたと言う噂を聞いたのです。。父の事は仕方ありません。国の間の事ですから。ただ、最初は恨みました。憎みました。でも、私と姉はそんな事を言えるほど裕福ではありませんでした。その日を生きるのに必死で、いつしか、父と同じ道を歩んでいました」
 そう……、と言った後フィーネペルルは思いもかけない言葉を口にした。
「ごめんなさい。あなたのお父様の命を奪って。この国の人間として謝らせて」
 フィーネペルルは頭を下げる。ヴァルターは慌てた。一介の姫が国を背負って謝るなど聞いたことがない。自分で殺したならいざ知らず。誰がしたのかもわからない事に謝罪の言葉を口にするとは。
「この国の責任とは国王と、その家族にあるのよ」
 うっすらとフィーネペルルは涙を浮かべていた。そっと指を伸ばしてヴァルターは涙を拭う。
「ヴァルト?」
「姫が泣く必要はありません。すべて過去の事です。姉のことは別にしても……」
 泣き出されては困るので頭を切り替えてもらうために姉の話を引き合いに出す。
「姉に似た女官を今日、見かけました。私と姉が別れても数年。顔も声もさほど変わっていません。でもその女官は通り過ぎていきました。私に目もくれず。姉は手首に三つ星のほくろがあります。あれば、姉に間違いありません。ですが、私の来たことにも何も思わず、この城にいるのは何か特別な事が起こったとしか思えません。申し訳ありません。姫の護衛を受けたのもその姉の事を調べられるかと安易に思ったからです。ですが、今は違います。姫の影の御し方をお伝えするために私は側にいます。ただ、姉の身に何が起きたのか知りたいのです」
 記憶、とフィーネペルルは呟く。
「確か記憶を失って保護した女性を女官として出仕させていると聞いているわ。その方かもしれないわね。私付きでなはいけれど、会うことは可能よ。でも、急に会ってショックを与えるような事をしてもダメらしいの。その女性を診た医師が言っていたわ。急に記憶が舞い込んで倒れてしまうと。ゆっくり、お姉様の行方を捜しましょう。女官のことはカタリーナが詳しいかもしれないわね」
「カタリーナ様、とは……」
「私の従姉妹よ。両親を早くに亡くして一緒に住んでいるの。あの子が女王になる方がいいかもしれないとつくづく思うわ」
 少し孤独感をにじませてフィーネペルル言う。ヴァルターは思わず、手を重ねた。
「姫の執務姿を見れば、誰よりもこの国の王にふさわしいかわかります。何事も真剣に取り組まれておられるのです。自分を認めて差し上げて下さい。そこから全てが変わるのです」
「それが、影の御し方なの?」
 聡明なフィーネペルルは聞き返す。手は振りほどこうともしなかった。フィーネペルルはこの人の温かさから離れるのがなんだか嫌になっていた。
 
 もう少しそのままで……。
 
 二人も奇しくも思い、見つめ合う。その二人を邪魔するかのように間にエルフィが入って吠える。エルマもヴァルターの肩に器用によじ登る。
「まぁ!」
「あ!」
 二人は慌てて手を離した。恋が走り出そうとしていた。


あとがき

大人な話になるような気もしてるんですが、完結して一応の健全性は保たれているので大丈夫です。第二部はないです。これは。突き詰めればあるかもしれませんが。ChatGPTさんが二部構成でネタを出してくるので困ります。
名称などは面倒なので決めてもらってます。あとは自力で書く。自動生成小説はやってません。思っているシーンを飛ばして出してくるときがあるので、そこは自力で。「煌星の使命と運命~星の恋人達~」なんていきなり旅立ちから始まるので、なんど伏線をはると指定しても書いてくれない。しかたないので自力で書いて昨日アップしたところです。何が起こるかも書いてあるのに。前日とか書いていて。ちがうー、と言って書いてました。それをアレルギーの処置を挟んでのことでした。朝になればマシになって出勤できると思ったのですが。欠勤の電話で病院に行った方がいいということで行ってよかったです。知らないとエビを食べてはアレルギーを段々重くしていくところでした。アナフィラキシーショック起こしてるかどうか聞かれました。危なかったです。エビが食べられないー。エビフライー。エビチリー。悲しいかなかにも食べられない。これはあとでまたエッセイの勉強で。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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