【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:ユメと言う名の姫君の物語 第五話-ユメ-子猫王子
前話
私が目をぱちくりさせてアレクシス王子を見ると、彼は苦笑いをする。
「俺も運命だから、とかで結婚したくないんでね。君には興味を持ったから、アレクシスとして接してくれ。タイガーと呼んでもいい。この子猫が俺と君を繋ぐ約束だ」
「って。私、結婚に興味ないんだけど・・・じゃなかった。なくってよ」
宮廷風にいい直すとをアレクシス王子は馬鹿笑いする。
「今更、言い直しても無理だよ。どうせ俺と同じ仕事の虫だったんだろう? 言葉なんて書類の中だけでいいさ。自由に行こう。自由に」
なんだかこの子猫王子にいいように引っ張られている気もしないでもない。まぁ、手をくんでこの縁談をぶち壊すのは賛成だけど。でも。猫なんてもらったら、いい贈り物をもらったわね、なんていわれてあれよあれよと教会堂の前じゃない?
「大丈夫だよ。子猫一匹で君の心をつかむとは思ってないさ。周りも良かったわね、で終わるよ」
ほんとに~?
疑わしきは罰せずとは言うけれど、怪しい。ほんとに怪しい。
「もう。本当に疑わしい性格なんだな。そこがまた可愛い」
そう言ってアレクシス王子はすっと身をかがめると事もあろうにか私の頬にキスをした。
「ちゅー」と言って。
「なな……なんて……ことっ!」
私が大声を出した瞬間、お母様の声が聞こえてきた。
「どうかしましたか? リンダ」
「い……いえ。アレクシス王子に子猫を頂きました」
声を整えていい子ぶった声を出す。
「まぁ! それはよかったわね」
ぐいっと二人の貴婦人が入り込んできた。アビーはアレクシス王子の手から私の膝に飛び乗った。
「可愛い……」
膝の上の子猫の動きに一瞬で瞳が持って行かれる。
「まぁ。リンダ、なんて可愛い顔をしてるの。母は久しぶりにその顔を見ましたよ」
そう言って、縁談の席なのにお母様が私を抱きめる。
「それはようございましたね。ラッヘル様。この子は私の親猫から生まれたのです。それを見たアレクシスが、この子を連れて行こうと言って……」
「ありがとうございます。王妃様。こんなに可愛い子は久しぶりですわ」
「王妃様なんて呼ばないでお母様と呼んで。いずれ娘となるのですから」
「でも……」
結婚するはずでもないのに……。申し訳なく思う。
「リンダ姫。外へ行きましょう。アビーと一緒に」
餌のいらない猫をかぶった王子が手を差し出す。躊躇して、私はその手を取った。それがこの縁談の序曲だった。ユメだけど、ユメでない私の物語が始まったのだった。
あとがき
これはばっちりユング系。もともと訳ありの後続作品なので当たり前なのですが、訳ありが落ち着かない内に書き出してしまったフライングスタート作品第一弾です。ですからユメというキーワードも訳ありからくるのです。それが、とんでもなくあとなので、今の訳あり見ても解りません。夢は無意識の反映というところでしょうか。名前の由来は。そしてどんどん訳ありから離れて行く。そしていちゃいちゃとするわけです。こっちが早く終わりそうです。って、星彩二話目書いてる時間がない。頭の中で整理する時間しか無い。今夜は野球はないのです。そして広島戦は地上波では放映してくれません。横浜の試合までお預けです。おかげで漢検の模試、164点も取りました。バックミュージックがないため記憶力が戻って。140点が合格ラインなのでびっくり。先日は121点でがっくりしておりました。と同時に危機感も。このままでは落ちる! と言うヤツです。模試を繰り返し解いて合格圏内に持っていくのが戦略。基礎固めは終わったので。と。そんなこたどーでもいい。緑の魔法と恋の奇跡はもう少し時間が経てば再開します。色々あると思った作品がすべて設定だらけだった。ここまで読んで下さってありがとうございました。