【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子第十五話後編 煌めく剣
前話
「兄ちゃんは甘いな」
ニコが揶揄すると、レオポルトがムキになる。
「兄なんだから当然だ!」
「というか父親ね。嫁にも出さないんじゃない?」
ユレーネが言うともちろん、とレオポルトが言う。
「リリアーナは嫁に出さん!」
「えー。リリアーナ、お嫁に行きたいー」
「お兄ちゃんみたいに格好いい男の子が現れたらな」
「へー。レオは格好いいって思ってるんだ~」
ユレーネが面白そうに言う。レオポルトがムキになる。
「例えば、だ!」
「お兄ちゃん! お姉ちゃん! めっ」
「ごめんなさーい」
いつもの夫婦漫才と親子ごっこが展開される。もう、聴衆は三人を見ていない。
「もうー。みんな、おいてかないでー」
ユレーネが言う。
「ほっとけ。デートだろ? この三人で十分だ」
「レオ?」
ユレーネがびっくりして聞く。
「もう一度、舞ってみてわかった。俺の相手はユレーネだけだ。誰にも渡さない」
「レオ!」
「おわ! 女が男を押し倒すな」
バランスを崩してレオポルトは湖の氷の上に倒れる。
「お兄ちゃん! おねえちゃん! リリアーナもー」
さらに妹が乗っかかってくる。
「ぐえ」
「あ。ごめん。重かった?」
ユレーネがどき、アデーレを引き剥がす。
「お兄ちゃん。潰れちゃうわ」
「あ。ごめんなさい」
「いいよ。リリアーナなら」
「ちょっと! 私はダメって言うの?!」
また漫才が始まる。姫が王子を押し倒しているなど、恐ろしい図式だ。カールは頭を振って叫ぶ。
「冷えるぞー。特にレオは!」
「もう冷えとる! 暖かい飲み物がほしい」
ユレーネに引っ張ってもらいながら立ってレオポルトは叫ぶ。聴衆はすでに湖を後にしようとしていた。アイシャードはいなかった。若者に席を譲ったというところだ。
「じゃ、城に行きましょう。お母様が暖かいココアを作ってくれるわ」
「ココアか。懐かしいな」
「懐かしい?」
アデーレが聞く。
「にいちゃんが小さい頃よく飲んだんだよ。さ。リリアーナ、お姉ちゃんとお兄ちゃんと手を結ぼう」
きゅっと小さな手が二人を繋げる。リリアーナがこのけんかっ早い二人を繋げていた。幼いキューピッドの頭を空いた手で撫でる。
「いつまでも兄ちゃんの妹でいてくれ」
あのひどい出自を知らないままにしておきたい。いずれ気づくだろうか。アイシャードの元で。
「レオ。今は、悔いても仕方ないわ。明るい未来を見ましょう」
「そうだな。ユレーネはいつも展望が明るいな。励まされる。ありがとう」
率直に礼を言われてユレーネの調子が狂う。
「褒めても何も出ないからねー」
「ココアがでる」
「もう」
「お兄ちゃん! お姉ちゃん!」
「ごめん。さぁ。お姉ちゃんの家に行こう」
レポルトが歩き出す。ユレーネもさっきの煌めく剣を思い返しながら氷晶の森を後にした。
あとがき
何か新しい題名にしようかと思いましたが、浮かばず……。家族ごっこも後のに使っちゃったし。なんだかレオポルト視線ですね。ユレーネの視線がない。男の子を主人公にするのは珍しい事態です。なんでユレーネの視線じゃないんでしょう。両方の成長を書かないといけないのに。別シーンを書かないといけないかもしれません。少し、中継を待っている間に浮かびつつあるので、考えてみます。
いま、再放送で俳句が流れているため思考力が消えてますが。もと、俳句をしていたので。だから薫風とか調べられるんです。歳時記は持っているので。
野球中継かけながら、考えますねーって漢検の受験勉強しないと。