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【再掲連載小説】ファンタジー恋愛小説:ユメという名の姫君の物語 第四話-ユメ-順調すぎる縁談

前話

まるっと過去作は↓

「どーして、こう順調なのよっ」
 私は一人怒りを爆発させていた。縁談が順調に進みすぎて、もう明日には王子がやってくる。
 顔は画像で見た。この国は写真がある。お見合い写真だ。なぜ、この国にあるのが不自然と思うのかはわからない。ただ、私の何かが今は未来なのだ、という意識があった。そして昔になかったものが大いに進んで変わっているという感覚も。なぜ、昔の事など思うのかわからなかった。
 当日、私は朝っぱらから風呂に入らされて、身支度を長い時間かけてさせられた。逃げ出したいくらいに執拗だった。お母様が側にいてくれてかろうじてこらえられた。でないと暴動を起こすところだった。できあがった私をお父様は涙を拭きながら繰り返し肯く。
 最初の印象はやり手の国王陛下と思っていたけれど、案外娘に弱い父だった。なので今でも遅くないから中止を訴える。だけど、そこは国王。首を縦に振らなかった。
 東屋に双方の王妃が座る。その間に、私とアレクシス王が座る。ただ、話すもんか、と思っている私は名前だけ言ってなーんにも言わない。ユメの名もださなかった。アレクシス王子はその事もわかってるようでただ、不思議な視線を送ってきていた。
「ここに大勢でいるからいけないのね。リンダ。ここでアレクシス王子をおもてなしなさい」
「お母様!」
 すがるように見てもお母様はにっこり笑ってアレクシス王子のお母様と立って出られた。
 どーすんのよ!!
 慌てふためく私に王子がくすり、と笑う。
「リンダって名前なの?」
「ファーストネームはシャルロッテよ。でもユメに変わったからお母様がミドルネームのリンダと呼ぶのよ。じゃない、呼びましてよ」
 宮廷風に言い直したとしても口の悪さはその前に出ている。もう、墓穴を掘ったのかなんなのかわからなくなった。
「大丈夫。昔の名前なんて欲しくないさ。俺もウルガーというよりアレクシスとかタイガーと呼ばれる方が気分がいい」
「では、アレクシス王子。この縁談ぶっ壊しませんこと? ユメとなったと言われても私には到底わかりませんわ。ただ、記憶が消えていただけなのですから。ユメになる必要なんてありません」
「そうだね。縁談をぶっ壊すのは賛成だ。ただ、君にはこの子をあげようと連れてきたんだ」
「この子?」
 よく見ると王子の胸元がわさわさ動いている。
「アビー出ておいで」
 王子が優しい声で声をかけると、そこから子猫が出てきた。
「まぁ。子猫!]
 私の声が和らぐ。
「以前、飼っていた猫が行方不明になってそれから仕事の鬼になったと聞いている。この子を一緒に育ててみないか。記憶のことでも困ってるだろう? 友人としてどうかな? 俺たち。手を組まない?」
「手を・・・組む?」
 私は王子の提案に目をぱちくりさせた。


あとがき
前回がいつの記事か思い出せずマガジンからたどれば最後に出たのは7月。まるまる一ヶ月出ていない。ので、マガジン共々記載しております。
この話が腑に落ちるのは「訳あり姫」の真ん中まで読まないとわからないのですが、このラブラブカップルのいちゃいちゃだけでも楽しめるという、ファンタジー恋愛でなく、恋愛ファンタジーと呼ぶにふさわしい。まさに。恋愛が主なので。他はいろいろな要素を詰め込んでおりますがここでは無意識を主に取り扱っているため禅問答みたいなのがあるかいちゃいちゃしているかなのです。”それ”と河合先生が訳したこの無意識の事はなかなか難しい領域で。河合先生のエッセイばかり読んでいるとそれに毒されていつの間にかこんな作品になってます。で、政治の転換期というのも絡んでます。ろくに知らないのに突っ込んだこの未来の世界。どうしたもんだか、と書くときは悩みます。
まま、ストックはあるのでまた、これも更新して行きたいと思います。

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