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【再掲連載小説】恋愛ファンタジー小説:ユメと言う名の姫君の物語-ユメ-第十二話 近くて遠いモノ

前話

 サンダーが帰国し、私は残ったアビーと遊ぶ毎日だった。指南書を見ては離乳食を作り、母猫の代わりを務めた。
 それから、数日後。
 小包が送られてきた。宛先は私宛。出した相手もタイガーで間違いなかった。
「これが例のもの?」
 がさがさと包装紙をとってでてきたのは不思議な形をした機械だった。その機械に紙がはってある。
『この番号を押すと俺が出てくるよ』
「出てくる? デリア、何のことかしら?」
「さぁ。なんと説明を受けていたのですか? 姫様」
「声が通じる機械があるって……」
 その機械が突然音を出した。思わず、機械を放り投げる。だが、それで電源が入ったらしい。
「シャルロッテ? 通話機、取ったんじゃないの?」
 機械からタイガーの声が聞こえてくる。恐る恐る落ちた機械を見ると、タイガーがいた。
「た、タイガー? どうなっているの?」
 機械を拾い上げてまじまじと見る。タイガーの顔が写って口を開けていた。
「ああ。数日前に画像も出る通話機が国で開発されたんだ。声だけでは寂しいと思って画像付きの最新型通話機を贈って、届いた頃に通話をかけてみたんだよ」
「通話? でもタイガーここにいるじゃない」
 ただの通話ならこの国でも試験的に開発が進んでる。意味はわかるが、この国の通話機は声しかでないと聞いている。タイガーの国は思いっきり社会が発展しているようだった。タイガーが目の前にうつって言葉を話している。
「いないよ」
 タイガーの目が面白げに輝く。それがまた口惜しい。
「画像に手を通してごらん」
「手を?」
 おそるおそる、タイガーの姿に手を入れる。すかーっと向こう側の空間に手が伸びた。
 声にならない衝撃が私に走った。
「なんなのー! これー!」
 私の叫びが乙女の宮を通り過ぎる。
「だから、画像付きの通話機さ。紙に番号があるからそれを打って外線、のボタンを押せばつながるよ。仕事で忙しいときは取れないけれど。その時はこれを置いておくよ。
 じゃーんと見せたのは「仕事中」と書いた紙を加えたアビーの画像だった。今よりもずっと小さいアビーが。
「アビーが生まれて数日後の画像だよ。外線が通じてもこの画像があるときはまた、別の時間にかけて。君としかつながらない通話機にしてあるから、外線のボタンは自動的に機能するんだ。
 私はなんのことだかさっぱりわからない。外線やら画像やら……。
「おいおい慣れて行けばいいよ。だからといって飛んでいけなくてごめん。君が通話をするときはきっと心が折れそうな時のような気がするから」
「遠いのね。タイガーの国は」
「そうだね。近くて遠いね」
 タイガーの言葉が妙に腑に落ちたのだった。


あとがき
投稿してたら、時間がー。まぁ、朝食後のが待っている。早いので食べるの。落ち着いて、としょっちゅう言われる。あと気付いたら肘をついて食べている。器用な食べ方らしい。そしてそれが座骨神経痛に追い打ちをかけている。気付いたら直すのだけど。あとは重心を左に移してしまうこと。これも座骨神経痛に追い打ちを。気付いたらとんでもないPCの使い方してる。今も矯正中。とりあえず投稿します。ユメはまだまだあるため、ストックが星彩が亡くなっても風響と共にだしますね。短めですし。訳あり読まないとわからない部分があるのですが。当分訳ありは登場しなさそうです。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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