【連載小説】ファンタジー恋愛小説:魔法の遺産~運命の紡ぎ手~ 第十話 旅立ち前夜
前話
セリーナは次の日から図書室にこもり始めた。レイスは相変わらず、アレクスと剣の鍛錬だ。古代語を少しでも身につけようとセリーナは必死だった。母はもう何も教える気はない。自ら進みなさい、と言ったきりその後は普通に執務をしている。司書として働く前のように古代語を教える気もない。自分で身につけろ、と言っているのだ。それが旅立ちの条件と、言っている様な気がする。装備の類いは先日最後の修正をしたところだ。それができあがるのはあと数日。
セリーナは焦っていた。何百ページでもある本をものすごい速度でめくっていく。いつしかレイスも鍛錬の後はセリーナに付き合って初歩の本を読んでいた。
「どこに行くの? 城を出たら……」
本のページをめくる速度を変えないままセリーナが小さく言う。
「ミストウッドに寄ろうと思う。あそこにはエレシアン・サンクチュアリがある。光の魔法が産まれた場所と聞いているし、このシルヴァリア国の範囲内だ。俺がノクトリア帝国のなんとやらの王子でも手は出せないはずだ。その街でいくつか、有力な情報が得られればいいのだが。エレシアン・サンクチュアリには内部にルナリス神殿があるらしい。聖域の中にある神殿としては最も古い。何か石版の手がかりがないかと思っている」
「そうなの。それじゃ、早い内に旅の装備を調えないとね」
セリーヌの頭の中はどうなっているのか、とレイスは知りたい。難しい古代語の本を読みながら会話するとは。レイスはもう手が止まっている。
そこへ、マルコムが入ってきた。
「やぁやぁ良い子は元気かな?」
聞き慣れた声にセリーナはばっと振り向く。
「マルコム! できたのね!」
セリーナの目が煌めいていることにレイスは気づいた。あれほど興味を注げるものが自分にもあれば、と思う。
「ページをめくってご覧」
「いいの?」
セリーナは少し不安げだ。あんなにもろい本が開けられるのかと。レイスも同じ事を考えていた。
マルコムから本をそっと受け取って、しばらく本を見つめた後、手で表紙を撫でる。
「『光と闇の世界』……?」
ページをめくる。
「『光の娘と闇の息子が出会いし時、世界は再び産まれる……。これが世界の法則……。光が……して、闇が……して』ってまったく読めないわ。一大事だわ。こんなに古い本だなんて。お母様は知ってたわ……。どの本から学べばいいか聞いてくる。レイス、読んでて!」
セリーナが本をレイスに押しつけると女王の執務室に一目散に走って行く。
「王女は走らないものですよ!」
マルコムがセリーナの背中に声をかけるが、形ばかりの返事が返ってきただけだった。
「あの原動力はどこから来るんだ?」
レイスはぼそっと呟く。
「産まれてこられたときからああですよ。姉君は大人しい王女ですが、セリーナ様は本から離れないか、この城を駆け巡ってましたよ」
「あの元気が欲しい」
ぼそっとレイスが呟くとマルコムは笑って椅子に座る。
「私で良ければ初歩の古代語の読み方をお教えできますよ」
「ほんとか?!」
レイスの顔も輝いていた。レイスも司書に向いているのかもしれない。いや、研究者か。二人で石版の謎を解くのは前任者よりはまともそうだ。あの時は異様に時間がかかった。マルコムは長い人生を思いかえす。マルコムは一見普通に見えても実は違う。どの人間よりも長生きしてきた賢者である。あるいは東方では仙人とも言うそうだが。自分は長い間、この世界の行く末を見てきた。ただ、この二人には今までの前任者より違う未来が選べるかもしれない。そこに祈りたい気持ちのマルコムだった。
「マルコム?」
「あ。いや。どこまで読んだのですか?」
「この頁まで……」
「では、ここからですね。この本は古代語を読むために基礎から積み上げている本なのです。よき本を選ばれましたね」
「そ、そうか。セリーナが選んでくれたんだ」
ああ、とマルコムは椅子に座りながらレイスを見る。いつの間にか立ち尽くしていたと思い出すレイスである。
「さぁ。一から復習ですよ」
「えー。ここまでの分はどうなるんだ?」
「復習」
マルコムが悪魔の微笑みを浮かべる。
「セリーナー」
「いくら叫んも無理ですよ。雷が落ちてくるだけです」
さも、ありなんと言う具合に頷くとレイスも椅子に座ったのだった。
あとがき
昨日は星彩の続きを書いてなんとか42話まで進みました。今日、書こうとすれば集中力がまったくでない。朝も買い物で時間をぶっ潰してしまいましたが、昼も自分好みに作るボールペンにはまってました。あの、ブルーブラックの色はなんなんだろうか、と思うといても立ってもいられず、目の前にあるホームセンターまで行ってました。めぐりズムも買ったし。でも漢検の時間には間に合い、模擬をしたなら満点の続出。171点もとりました。いつもは151点あたりをうろうろしていたのに。弱点潰しが効いたのかもしれません。今後もテストと弱点潰しです。そしてまだ続いている漢字検定の本部の本をすすめる、と。時間の確保が難しいです。仕事をして帰宅するともうへとへとでダメで、試験どころか執筆もままならぬ状態。真っ昼間の暑い日差しを浴びて帰るので、本当にキツいです。いっそアプリでタクシー呼ぼうかと思います。
星彩は中盤へ向かいます。序盤のストーリーが書ければ順次掲載していきますね。お待ちあれ。って誰も待ってないかもしれませんね。PV数も私なりの数に落ち着いてきました。やっぱり作品がそうそう98も見られるわけはない。何か要因があったのでしょうね。ので今日は10人に一人と言う、割合のスキにもなりましたし。
毎日更新するといろいろあるんだなぁ、と思います。
頭を使った後は甘い物が。でも、もうない。今、摂ってもね。っと今日、料理をするかと思ってた。明日だ。あとは土曜日の夜には……。を考えないと。忘れてたー。昨夜は寝ぼけてChatGPTさんにあった星彩の履歴を削除してしまい、復旧に大変でした。新しいchat開いて情報をのせまくって3を作りました。ここも決まってるんですけどね。場面。買おうと思えば書けるのでしょうが、今はこっちで手が一杯。と、本文ちかくあとがきではいけませんね。また明日がんばります。夜まで何も出来ないです。