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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第二十七話 リリアーナとセイレンの誕生日

前話

お菓子大好き妹、リリアーナとケーキ初見の仮の弟、セイレンは一心不乱にバースデーケーキを無邪気に頬張っていた。
「そんなに美味いのか?」
 レオポルトが呆れた様子で聞いてくる。うん! と二人同時に答える。かと思えばまた頬張り出す。
「旅ではそんなに食べれんから今のうちに堪能しとけ」
「旅と言えば……。魔力の修行と言われてますが、何を」
 現実に返った通常のセイレンが聞く。
「俺も詳しい事は知らん。アイシャードの知り合いだという。俺達とは違う魔法があるらしい。それを習得さてから残りの神殿を回った方がいいと言われている。武力だけでも魔力だけでもうまく行かない。バランスだ」
「はぁ。って、リリアーナ! 僕のケーキ!」
 セイレンの皿にあるケーキに狙いを定めたリリアーナに文句を言う。
「わかっているわよ。セイレン、のケーキだもんねー」
 いや、それは私の誕生日ケーキでしょ、と暗に言っている台詞である。
「わかってるよ。リリアーナが産まれた証のケーキ。僕の誕生日っていつだろうなぁ」
 はぁ? とメンバー全員でセイレンを見る。
「歳がわかっていて誕生日がわからないとは?」
「はい。国の建国記念日が僕の誕生日で今年で十四才になると教えられました」
「って。お母さんとお父さんは?」
「いません」
「いませんー!?」 
 全員の声が重なった。
 はい、と気軽に答えるセイレンである。
「王が崩御するとその生まれ変わりの赤子が王となるのです。私はそういう経緯で王と認定されて育てられました。両親の顔は見たことがありません」
「顔も? 声も知らないの?」
 なんていうことなの、とでも言わんばかりのリリアーナの頭にレオポルトは手を置く。
「じゃ。リリアーナと同じ誕生日にしろ。ゼフィリスは風の国の建国記念日だろうが、セイレンは関係ない。リリアーナが愛するセイレンはリリアーナと同じ日に産まれたんだ。そう思っておけ」
「レオポルト王……」
「だから、兄ちゃん」
「はい。お兄さん」
 よし、とレオポルトがセイレンの頭を撫でる。
「もう。僕は子供じゃないですよ」
「リリアーナもセイレンまだまだ子供。リリアーナを黙らせる日が来たら大人になったと認めてやる」
「リリアーナが黙る日なんて……」
 また悲鳴を上げそうになって口を押さえるセイレンである。
「ちょっと。恋人のことで悲鳴って何?」
 リリアーナがセイレンに詰め寄る。
「あ。いや、今のは癖で……」
「毎日? いつも?」
 ずん、とリリアーナがさらににじり寄る。
「あ。いや、この環境が新しくてつい……」
「男ばかりの学校に入っていたヤツが急に男女のいる学校に入ったってやつだな」
「そんな学校在るの?」
 ユレーネが不思議そうに聞く。
「そんな国もあると聞いている。風の国は聞きしに勝る特殊な国なんだな。それは頭に置いておこう」
 流石は数ヶ月王様をしてることはある。それなりの態度にセイレンがぽけっと見とれてる。
「なに? 俺にまで気があるのか?」
「まさか!」
 それこそ悲鳴を上げそうになる。代わりに言いたかった言葉を言う。
「お兄さんは王らしいなぁ、と。それに比べて……僕は……」
「セイレンはこれから王様になるの。ゼフィリス王様じゃないの。リリアーナが、私が、お婿さんだと思ったのはセイレンよ」
「リリアーナ」
 こほん、と咳払いにばっと離れる二人である。
「油断も好きもない。恋の過ちだけは起こすなよ」
「何それ?」
 二人とも顔がきょとんとしている。それって美味しいの? とでも言いたいようだ。
「いや、忘れろ。それより、カールが三つ子への貢ぎ物としてケーキを狙ってるぞ」
「カール!!」
「王。買いに行かせてもらえないのですか? ケーキは娘達の好物ですのに」
「それぐらい自分で買え」
「レナがお小遣いをくれません」
 カールがお小遣い制。そのギャップに一斉に笑い声が上がる。
 リリアーナは自分を産んだマルタという女性はどうしているだろうか、とふと思う。 
 星空はまだ星が綺麗に瞬いていた。


あとがき
カール君が崩れた。主君には厳しく嫌がらせもするが、娘たちには甘すぎるほどの父なのです。そんな父から溺愛される三つ子ってどんな子でしょうか。ちょっと最近気になってます。でも、二部を書くことで精いっぱい。星彩の運命と情熱は一話だけ書けてギリギリ、朝活と言えるのかという時間帯に更新できます。ChatGPTさんいつの間にか3.5になっててしつこく21時に寝ると書くのでおかしいなぁと改めて4.0にchatを切り替えてやりました。でも希望通りのスケジュールにはほど遠い。コピペしたものが悪かったのか、朝活が無視されました。五時半におきてスケジュールをいじってたら結局同じ時間に。本文ほどの長さになったのでまた記事にします。あと30分ぐらいは時間あるので。

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