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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第三十二話 グレートマザー。で、デート?! 二人きりで??

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前話

 あふれる光の向こう側に人の輪郭が映る。次第にそれは形を取り、若々しい女性が座っていた。
「あなたが、グレートマザー? オリヴィア様?」
「どう? とてつもないおばあさんだと思いましたか?」
「あ。いや、それは……」
 申し訳なさそうにするリアナにグレートマザーと呼ばれるオリヴィアは面白そうにころころ笑う。
「故郷の母よりも若いので……」
「私は歳をいつの間にか取らなくなったのです。ですが、あなたを愛しいと思う気持ちは変わりません。ただの普通の女の子がとてつもない使命を背負っているのにあなたは時として感情を爆発させながらもこなしている頑張り屋さんですからね」
 その言葉を聞いてセイランが口を挟む。
「おい。その言葉そのまんまだと、指名を背負っている子だけ好きなんじゃないのか?」
「そうね。いつもはそうだったわ。でも今はは違う……」
「違う?」
 リアナとセイランが顔を見あわせる。
「普通の女の子リアナが愛しいと思うのです。こんな私よりも素直な普通の女の子に憧れていたのです。普通の家の子に産まれ普通に両親と姉の愛をうけすくすく育っていたあなたが私の理想となりました。おそらくそれは無理なんでしょうが……」
 オリヴィアの悲し声に思わずリアナは前を踏み出してグレートマザーを抱きしめる。
「可哀想なオリヴィア様。偉大なる母なんていらないのにね。でも、あなたが私を愛おしんでくれてここまでこれました。あなたの優しい愛情に救われてたどり着きました。だから、お願い。自分を否定しないで。負のグレートマザーはとてつもなく恐ろしい、とどこかで知った気がする。何もかも巻き込んで絞めてしまう、と。そんな人にならないで。そりゃ、たまにはそうなりそうになるだろうけど。いつも笑ってとはいわない。でも気分が晴れていたら笑って。微笑んで見ていて。私達のこと。私達の行動を見ていたら笑わずにはいらないわ。まるで喜劇のような言動だもの。一部、取り扱い不可能な熱々カップルがいるけれど」
 リアナが一気に言うとオリヴィアの目に涙がきらりと光っていた。
「強いのですね。あなたは。そうね。あなた達には飽きることはないわ。シェイラもそうでしょうね。心配だけど、その反面想像を超える事を起こすのですから。フェアリードラゴンを先に産ませる主なんてそうそういませからね」
「え? やっぱり、あれがおかしかったの?」
「そうですよ。セイランの家の中で使命を果たすのですから。勝手に真珠の涙までこぼして。なんて面白い子達かしら」
「やっぱり、私とセイラン変わっている?」
 恐る恐る聞くとグレートマザー、ことオリヴィアはくすくす笑う。
「変わってるもなにも。変わりすぎてますよ。予想外のことを次々と起こすのですから。それも自ら運命の手を振り回してるのかもしれませんね。使命の方が慌ててるんじゃないかしら」
「やっぱり」
 がっくり、とうなだれるリアナだ。
「いらない恥など無くしてしまえ。そんなもの持ってても無駄だ」
「セイラン! 行動を改める気は無いの?! 変な人なのよ!」
「変人で結構。俺はずっとそう言われてるからな。それもリアナのためだけに」
「あ。シェイラさんからいろんな事を学ばされたから?」
「ああ。もうっ。今更悔いてもいない。むしろ役にたって大助かりだ。リアナのためならなんでもする。そう決めた。あのアルカナ遺跡で死んだように絶望したお前を見てから。俺の力で笑ってくれるならそうしようと決めたんだ。ただ、好みの女と違って俺の心の中を修正しないといけなかった」
「好みって私だって同じよ! もっと格好いい人かと思ったのに。勝手に動くし、パパしてるし。って? あれ? 私今、褒めた?」
「褒めた」
 リアナ以外が認める。
「うわー。私の心がおかしくなったー。セイランを褒めるだなんて世の末だわー」
「それ、けなしてるのか褒めてるのか?」
「両方よ。きっと。本人が気づいていないだけですよ」
 オリヴィアがそっとセイランに耳打ちする。
「あー。セイランが先にオリヴィアと仲良くなったー。ずるいー」
 まるで子供のように還ったリアナにセイランはデコピン制裁を発動させる。
「いたいー」
「お前が変わりすぎてるからだ。ツンデレかと思いきやフェアリードラゴンには極甘のママだし、俺にたぶん好きと言っておいてデートもしない。俺はデートがしたい」
「で、でーと?」
 リアナが目をくりくりさせる。
「ちょうど、デートに良い場所がありますよ。さぁ、今夜は楽しく過ごしましょうか。食事を用意しています。きっとあなたなら試練を越えてくると思ってたくさん作りましたから。二人でセレスとシルヴァリアもつれてピクニックでも行ってきなさい」
「ピクニックー?!」
 リアナとセイランが声を上げる。
「デートですよ。さぁ、バスケットを預けますから行きなさい」
 気づけばオリヴィアの座っている膝の上にバスケットがあった。
「ほら。セレスとシルヴァリアが案内してくれるそうよ。見失う前に行ってきなさい」
「あ。セレスちゃん!」
 オリヴィアの声はもうリアナに届いていない。極甘のママと化している。セイランはバスケットを受け取ると会釈して追いかける。
「ちゃんと還ってこいー」
 マルコが言うと片手をあげてセイランが了承の意を表す。そして残った三人はティーパーティーを繰り広げたのだった。試練の後には甘いご褒美が待っていた。


あとがき
この三十二話だけはChatGPTさんの力を借りませんでした。自力で描ききりました。どうしてもここだけは自分で書きたかったんです。でもグレートマザーの正と負の面は正直踏み込めませんでした。渦巻きが母性を象徴しているとかいろいろ頭にはあるのですが、リアナにはそれを託すことができないままでした。次の目的地を考えないといけないので、そろそろ新キャラもださないと。元型を巡る旅のなので随所に出ては来るのですが、はっきりと書けません。次話で何か動きを見せてみようかと思います。明日の早い内に更新する予定です。これはChatGPTさんと打ち合わせして次の目的地を考えてからグレートマザーと喜劇団の話を自力で書きたいです。目的地はチラ見せの予定。フィオナがあまり出てこないので、得意な教科として心理学系の話をさせるかもしれません。でもそれは明後日かも。明日は目的地だけ定めると目標を決めます。遅れてすみませんでした。読んで下さる方がいるのかどうかはあまり実感としてないんですが。PV数が悪いですからね。日々精進、と。おっと時間がすぎる。
ここまで読んで下さってありがとうございました。

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