【連載小説】ファンタジー恋愛小説:煌星の使命と運命の絆~星の恋人達 第九話 アルカイオスとレイナの戦い
前話
アステリアは鳥のさえずりで目を覚ました。視線をさ迷わせるとレイナがいつになく優しい眼差しで見守っていた。
「目が覚めたのね。お腹空いてる? 部屋で食べられる様に宿屋には許可を取っているわ」
それから大声を上げる。
「アル! そこにじっといるなら料理もらってきて! アスティが目覚めたわよ!」
扉の向こうでがたがた音がする。飛び込んでくるのかと思いきや気配が消えた。
「愛の力は偉大ね。そっこーで料理を取りに行ったみたい。愛の力は偉大だわ」
「愛って……」
アステリアが否定しようとするとレイナが手を振って制する。
「いいのいいの。私とアルの取り合い合戦だから。アスティはそのままでいいのよ」
そう言って戻ってきたアルカイオスは顔も出さず、レイナに食事を渡してアステリアに届ける。
「アル?」
堂々と入ってくると思ったのにその気配も全くない。二人ともいつもと違う行動にアステリアは惑ってしまう。
それから数日後たっても、レイナは優しい眼差しで見守り、アルカイオスはレイナがアステリアを食ってしまわないかと心配して扉の向こうで熊の様にうろうろしている。
「もう。アルカイオス。そんなに心配なら入ってきたら?」
意地悪く言うレイナだ。乙女の寝間着姿を見るわけにはいかないと入ってこないのである。だが、心配は心配でこうして気配だけでも、といういじらしい男の子の心である。そのやりとりを何度か見たアステリアは近くに洗っておいてあった服をすぽっと着る。
「アスティ?」
レイナが何をしているの? と言わんばかりに見るとアステリアは肯く。
「アル! 入って良いわよ。もう服を着たから!」
元気よく扉の向こうに声をかける。途端に、アルカイオスが入ってくる。
「アスティ!」
側にいたレイナを弾き飛ばしてアステリアの側に来るアルカイオスである。飛ばされたレイナはアルカイオスの頭をどかどか殴っているが、気にもしていない。
「大丈夫か? どこか痛くないか? 心は痛まないか?」
あの時、何があったのか、とは聞かず、体調のことばかり聞いてくる。アステリアはアルカイオスはこんなに心配性だったかとこれまでの道中を遡ったほどである。気づいたらアルカイオスの胸に抱かれていた。
「アル……」
「何も言うな。何を見たかも聞かない。アスティの思うようにすればいい。神殿に帰ってもいい。もうどこへ行けばいいのかもわからないんだから」
悪の巨星という存在は一人で調べて一人でやっつけてやろうとアルカイオスは思っていた。もうアステリアを巻き込みたくなかった。対の星の子であればあるほどあんなアステリアはもう見たくなかった。
そんなアルカイオスの心がアステリアに流れてくる。星の子同志、意思疎通はきっと簡単なのだろう。それをしないのはやはり思春期の戸惑いからだった。
そこへ神秘的で魅力的な女性の声が入ってきた。ばっと声のした方を見る。
新たな人物との邂逅だった。
あとがき
久々の「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」の更新です。今日は多い更新となってます。久々に新しい話が書けたので(この続き)更新しておこうとしただけです。
いくつかはある程度ストック作ってますが、これはどかどか初期に更新したためストックが少ない。で、後回しになっていたのですが、漢検の勉強を終えてパソコンイジったらこれの最新話ができたので遠くおそろかになっていたのを思い出して、これだけは、と更新しています。大抵の物語は最初の試練の後の所で止まっていて、次に行くつなぎで止まってます。まぁ、「風響の守護者と見習い賢者の妹」も二話書けたので、ちょうどいいというところです。
読んで頂いていた方お久しぶりです。また、ちょこちょこ更新します。お待ちください。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
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