【連載小説:ロマンス・ファンタジー小説(オマージュ)】あなただけを見つめている……。 第二部 次代の姫 第十九話 姫夏の成長、步夢と当騎の気持ち
前話
「ひめちゃん。プールに行くよ」
姫夏は当騎が服を着せようとしてもいやいやをして、千輝をだっこしている。
「ちーといっしょ。やー」
「ちーは大きいプールへは連れて行けないんだ。ちーはここでお留守番するの」
「やー! ひーちゃん。ここでプールするー。ちーといっしょ」
「当騎……。子供用のビニールプール買ってきてここでさせようか? 私はプールは特にいらないから」
「しょうがないなぁ。妻と子供には甘い夫だから買ってきちゃる。すぐ近くにホームセンターあるからそこ行ってくる」
「ちょ……! 当騎」
「ぱぱ。ばいばいした」
姫夏も度肝を抜かしている。あっという間の出来事だったからだ。
「ひめちゃんがわがまま言うから。でも、ここの方がいいかもね。ちきちゃんも入れるから。ちきちゃん。冷たいお水大丈夫?」
「ぴぎ!」
得意げに千輝は言う。
「なら、ママも水貴着て悩殺しようっと。ひめちゃん、水着に着替えようね」
ああだこうだと悩んで買った水着を着る。步夢は髪の毛をアップにして鏡の中の自分を見る。なかなかいけるじゃないの。ふふん。また鼻血ぶーさせようかしら。恐ろしいことを步夢は企む。そして姫夏の水着姿を見ては頬を緩ます。
「ひめちゃん。可愛いわよ。パパ、ひめちゃん大好きになるわ」
「ぱぱ、ひーちゃんだいすきよ?」
「もっと好きになるの。一緒にプールで遊ぼうね」
「あい!」
そんな親子の会話をしていると、当騎があっという間に戻ってきた。
「一番でかいやつ買ってきた。それなら三人は入れる」
「当騎まで入る気?」
「もち。ぶっ。お前、プールはいらないんじゃなかったのか」
鼻を押さえて当騎がもごもご言う。
「保護者が必要だからよ。ふふん。また鼻血ぶーね」
「狙ってたのか。これを」
「どう? 新妻の悩殺水着は?」
「知らん! とっとと組み立てるぞ」
でかい包からビニールの固まりを出そうとして姫夏が言う。
「はなぢぶー」
「ティッシュ詰めてよね。プールが血まみれになるわ」
「ふん」
背を向けて振り向いた当騎の顔に姫夏が笑う。
「ぱぱ。かいじゅう」
「がおー」
言われた当騎が姫夏を襲うマネをする。姫夏はきゃっきゃと喜ぶ。夫の情けない姿を怪獣に変えてしまう姫夏には驚きだ。そういう目線もあるのねーとビニールを広げる。包みの中にあったエアポンプをセットしてあっという間に步夢がプールを作る。そこへ、当騎の声が被さる。
「お前なー。父親の仕事取るなー」
「きゃっ。とっちゃった。ひめちゃん。プールを外に出すわよ。当騎は水入れて」
「はいはい。妻の尻に敷かれる夫ですよ」
でかいプールを軽々と步夢は持ち上げる。中身は空気なのだから当たり前だろう。姫夏もよちよちもって歩く。
「ああ。ドアにひかっかるだろうが。はい。パパの仕事」
ひょいっと持つと簡単にテラスに運び出す。
「はい。ホースから水。ほら、入れるぞー。ひめー、水だぞー。ちー。泳げよー」
少しずつ水がたまっていく。長い時間がかかったがその過程すら姫夏は楽しんでいた。
「ひーちゃん。ぶくぶくできるのー」
水をぱしゃぱしゃしていた步夢に姫夏はそう言うといきなり顔を水の中に突っ込んだ。
「ひめちゃん!」
慌てて顔を上げようとして当騎に止められる。
「当騎!」
「見てろ」
強い目の当騎に步夢は押し黙る。すぐに姫夏は顔をあげてにぱーと笑う。
「ひーちゃん。ししょーーにぶくぶく教わったの」
「一体いつ?」
「ししょーのいたところ。水遊びいっぱいしたの」
「そうだったの。初めてのプールじゃなかったのね」
「ぱぱとままとははじめて。だからひーちゃんうれしい」
「ママもうれしいわ。ひめちゃんと遊ぶ時間少なかったから。でもちきちゃんにひめちゃんをまかせるわ。パパにお話があるの」
「むー?」
「ちょっとこっち」
手を引っ張る。
テラスの椅子に座って步夢は言う。
「ひめちゃん見ていたら当騎のじぃじとばぁばに本当に会わせないままでいいの? こんなに可愛い孫よ。一度ぐらい見せた方が」
「説明は?」
「正直に言うわ。ある方から育ててほしいと託された、と」
「わかった。連絡を取ろう。だけど、今日はそんな難しいことは考えないで遊ぼう。姫夏の初めてのプールだぞ」
「そうね。またプールに戻ろっか。ひめちゃーん。ちきちゃーん。ママも仲間にいれてー」
「ぱぱは?」
「あれ、遊ぶって言ってたのにどこ消えたのかしら。何か面白いこと考えたのかしらね。少しまってよう。ちきちゃんー水ぱしゃぱしゃして~」
「ぴぎぴぎ!」
そう言って千輝は派手な動きをして水に動きを与える。
「ちーのみず~~~~」
姫夏はパルヴァールで経験してたのかはしゃぐ。步夢にも水がかかりかけかえす。そんなことをしていると当騎が戻ってきた。
「孫がいるって行ったら速攻で来ると」
「何をしたの。そっこーって」
「いや、孫に会わせたいと言えばこのホテルまで来ると。俺を追い出したときとは偉い違いだ。さー、じぃじとばぁばが来るぞー。ひめ。おめかししてきれいにしようなー」
姫夏をだきあげる。
「このプールどーするの?」
「そのまま置いておけ。お前も着替えて化粧」
「はぁい。ちきちゃんはついでにシャンプーね」
「ぴぎ~」
「ちきちゃん。プール大丈夫でシャンプーだめなの?」
「ぴぎ~」
「ちー。ひめと一緒にならできるだろう?」
「ぴぎ!」
「調子いいんだから……って、だれが千輝と姫夏を世話するの?」
「パパ。ママの裸はみちゃだめなの」
変な独占欲を出して、当騎がバスルームにいく。
「千輝はペット用で洗ってよ!」
「はいはい。お前はもう一つの風呂入ってこい」
「はぁい」
二人が入るのを見届けると着替えとシャワーにもう一つ突いている浴室へ向かった。
当騎が婿養子になるというと勘当なのに孫で来る?
步夢には悪い光景しか浮かばなかった。
あとがき
久々のオマージュ小説です。余裕がない。メルカリで出品しすぎててんやわんや。まとめ買いで封筒から出して梱包し直したり。郵便局とコンビニの往復。とにかく生命保険代を稼ぐことが目的でやってます。
これからは登販の試験勉強。部屋が恐ろしい事になってます。隣の部屋で、受験勉強。この部屋ではできん。不要品が出てきてデトックス部屋です。
売れたらいいけれど。とりあえず、これだけは更新し解きます。スキを入れられてないですが、読めたら入れます。パソコン触っている時間がない。すみません。