【群作群】澄川市物語 第二章二人の四旬節 第四節 聖夜
とうとう。聖夜の四週目、第四旬になった。勇二にかこつけるわけではないが、勇二が現れたのはちょうど一ヶ月ほど前だった。おまけにキリスト教徒。まるでクリスマスだけいるような気が水脈にはしていた。
別れが近づいている。
チクチクした心の痛みに気づかぬふりをして水脈は仕事に没頭した。あと少しでイブという時に不思議な骨董店を見つけた。小さな花とフランス語で書いてある。
「こんにちは。店主はあなた?」
若い女性が店の中の店に絶っていた。そこには黒光りするロザリオがあった。
「はい。おじいさまの商品から少しだけ分けてもらって売っています。真贋を問わないのを条件にお安く売っています。お姉さんはこのロザリオが気になるのですか?」
桜子の優しい声につられて商品を見る。クロスのペンダントもある。
「クリスマスが近いのでそんな感じのモノを集めました。ごゆっくり商品とお話しなさってください」
そう言って桜子は祖父の方に言ってしまった。
「不用心ねぇ」
そう言いながら商品を手にしてみる。どれも手にしたが、クロスのペンダントかロザリオで止まった。そして送る相手もいないじゃ内の、と自分に突っ込んだ。それから浮かんだ顔に頬を赤く染めた。
勇二の顔が思い浮かんだ。
「これぐらいあげたっていいかもしれないわね。実用品だし」
そう言ってクロスのペンダントを置いてロザリオを手にした。
「すみませーん。これ、おいくら?」
パタパタと桜子がもどってきた。値段を聞いて驚く。おもちゃ並みだ。いや、おもちゃが高い。
「ホントにいいの?」
「ええ。真贋問わずにロザリオを頂いたあなたにアンティークの祝福がありますように」
女性はなにか決まり文句のような言葉をロザリオに掛けると袋にいれて水脈に渡す。
「一応、クリスマス風にラッピングしてあります。普通号なら、通常の包装に変えますけれど」
そこへ花屋の店長が飛び込んできた。
「桜子ちゃーん。また花瓶とられたー。ガレの月光色ちょうだいー」
「またー?」
若い女性がキャピキャピしている中を水脈はそっと抜けてきた。
「若いっていいわね。でも、どうしよう?」
買ったはいいが、どう渡せば……。もうすぐ勇二は旅立つ。その旅立ちに出会えるか? 水脈は賭けた。カフェ・ノスタルジアに。
クリスマス・イブの夜、水脈はカフェ・ノスタルジアでただ座って勇二を待っていた。だが、閉店まで彼はこなかった。まだ旅立ってはいない。それは確かだ。この時間の真っ最中に真夜中のlミサが始まるのだから。来なくて当然。
店主夫婦は勇二が来れば連絡すると約束してくれた。いや、そんなに重要じゃないんだけど。自分の心にそっぽを向きながら突っ込んだのだった。
あとがき。計画ではここで終わるはずでした。四旬節も四週間だし。ところが書き出せば、どんどん本筋から離れていく。冬さざれって厳しい冬よね? 出せないじゃん!的な方向にも至りもうチャットGPTは跡形もない話になりました。だからいつも苦心する。そのまんまかけない。ので、明日も更新しますねー。ちょうど千字千字で別れたので前後編です。どちらかというと。さて、寝ようかな。やたらと眠いんです。それに今日はやばかった。通勤途中、府道に行く前に恐ろしいことを考えてしまい回れ右して休んだのでした。何かとはもうしませんが。もうちょっとで世間の方々にご迷惑おかけするところでした。底付き感というものがあるそうで、共依存の中に。まさにそれがやってきたんですよね。前回。なのでそこで終わってよかったらしい。ずるずるしてるとダメだったところかもしれない。なんか納得。今度はゲシュタルト心理学見て見ようっと。というか寝たい。明日で二章終わりです。花霞ちゃんはどこで出てくるのでしょう。次の章に挟みたい。間章としても。とまた赤児に振り回されるのでした。それでは明日。ここまで読んでくださってありがとうございました。