見出し画像

あの頃の週末は…洋服が地層を形成していた

最近は、毎日家のお掃除をしている。当たり前と思われるかもしれないが。仕事をしている頃はそれどころではなかった。

「毎日お掃除」と言っても、基本クイックルワイパーや掃除機をかけているだけで。それも主な理由はアレルギー対策。とにかく「家事」と名のつくモノは大嫌いなので、必要最小限のことをしぶしぶやっているだけではある。

正確には、必要最小限とさえ言えない状態で。たぶん(というか絶対に)必要なのだとは思うが、見えないところや面倒な部分はだいたい放置している。

それでも、今家の中は、表面上だけはスッキリと片付いているように見える。親から受け継いだ外面のよさ、というやつ。中身はどうあれ上辺だけを上手に繕う、私の得意技とも言える。

「ズボラ」と自称しながら、小まめにお掃除している方々ののYouTubeなどを見ると「すごいな」と感心する。と同時に「こんなことまでするのが世の中的には当たり前なのか」と、若干ブルーになる。

ブルーになるので、なるべく考えないようにして過ごそうとは思う。

最近は、掃除がしやすいように、物を床に置かないことを徹底している。棚の上にもなるべく何も置きたくないのだが。家族と折り合いがつかない部分は、今のところ我慢するしかない。

近頃、家の中が(見た目だけ)スッキリしているのは、時々実行しているプチ断捨離の成果と言える。そして何よりも、片付けるだけの時間の余裕があることが大きい。

働いていた頃は、家に帰ると疲労困憊で何もできない、何もしたくない状態だった。寝室に入ると、もうぐったりで、ベッドに倒れ込む毎日。だからと言って、ぐっすり眠れるわけでもないのだが。とにかく、脱いだ洋服を片付ける気力がない。

よって、週末。今日は、ようやく休みだ!と目覚めると、1週間分の洋服が折り重なって地層を形成していた。特に重ね着をする冬場は酷い。

もう、それを見ただけで、うんざりしてやる気が失せる。基本寝室には、寝る以外足を踏み入れないので、散らかっているものは洋服しかない。だから、それさえ片付ければすむ話なのだ。けれども。当時は、たったそれだけのことが、どうにもしんどかった。

典型的なワーカーホリックだった私は、常にキャパオーバーの仕事を抱え込んでいた。その上、人並みの体力すらなく。結果、慢性疲労の状態だったと思う。

休日の朝、一番に片付けをするべきであったのに。乱雑に積み重ねられた洋服の山のせいで、荒れ果てて見える部屋の中を見るだけでうんざりして。いつまでもグズグズして片付けない。

週休2日であったとしても、そのうちの1日はたいていぐったりとして、何もできないまま過ぎていった。「もうこれ以上は限界」という休日終わりの午後遅くになって、ようやく服を片付け掃除機をかける。

その頃には、翌日の仕事に向けて心もブルーどころかブラックになっているので。ほんの少しマシになった部屋を見ても、もはやため息しか出ない。

服すら片付けられない状態だから、普段の掃除も本当に適当だった。今だって、やりたくない掃除は、見て見ぬふりをして過ごしているけれど。あの頃はそもそも見る余裕がなかった。

退職して、ようやく少しは人間らしい生活に戻って。そこで初めて現実を見ることになる。知らない間に、家のあちこちが傷んだり老朽化していることに驚愕!!

家って、お手入れしないと簡単に朽ち果てていくものなのです。退職後「働かない」道を選んだ私は、時間はあってもお金はないので。知り合いの工務店さんや大工さんに「お金がないんです〜」と泣きつきながら、できるだけお金のかからない方法で、最低限の修理やリフォームをしてもらいながら、今に至る。

今は、洋服が地層のように積み重ねられることもなく。その日のうちにあるべき場所に片付けられている。まだまだ問題は多いとは言え、ぱっと見だけは、すっきりと片付いた家で毎日を過ごしている。それもこれも、私に「無限の時間」という最強の味方がついているおかげだ。

あの頃みたいに異常な働き方はしないとしても。週5フルで働きながら、家を今のような状態に保つなんて、とうていできるわけもない。仕事も家事もどちらもきちんとこなせている方には、尊敬の念しかない。

昔と違っておうち時間が長いので、できるだけ気持ちよく過ごせるように。無印や3coinsの便利グッズを駆使しながら、少しずつリビングやキッチンを使いやすく、見た目も気持ちよく整えている。

もちろん節約もしないといけない身の上なので。そうそう簡単にすべてを買い揃えることはできないのだが。スッキリとした空間は見ていて気持ちがいいし、お気に入りのものに囲まれた生活はやっぱり楽しい。

あんな部屋で、ろくに掃除もせずに過ごした毎日には、もう二度と戻りたくはないけれど。ああやって働いた日々があったからこそ、今何とか生活していけているのだと思うと。どう考えても間違った働き方ではあったけれど。それでも。あの頃の自分を褒めて、労ってやらなきゃいけないのだろうな。

あの頃、服さえ毎日ちゃんと片付けていたなら。せめてとりあえずハンガーにかけてさえいたなら。休日がずいぶん楽に過ごせただろうに。たぶんそれ自体は、1分もあればできたことなんだろうけれど。わかっていながらできないのが、人間なんだよね。というか、それさえできない壮絶な毎日だったし。

そんなことを考えながら、今日も「めんどくさいなあ」とブツブツ言いながら、掃除をする私。家事って、本当に無限ループ。今日いくら頑張っても、その状態が永遠に続くわけではない。

そこに、むなしさを感じてしまう私は、そもそも決定的に家事というものに向いてないのだと思う。向いてはいないし、好きでもないけれど。時間と体力に余裕がある今は、せめて最低限のことはきちんとやらないと!そう。自分の快適なおうち時間と健康のために!!

いやいや、その前に。これが、今現在、私の唯一の「やらなければならない」仕事なわけで。そのくらいがんばれよ!と自分に喝を入れつつ。面倒なものはやっぱり面倒だし。

こうなったら、私に合った「掃除時間を楽しくする方法」とやらを、ヒマに任せてなんとか生み出すしかないな。

いつの日か・・・
楽しくお掃除ができる日が・・・
本当にやってくるのでしょうか???

いいなと思ったら応援しよう!