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脳のしくみ
どうしようもなく美化したくなる思い出があって。
でもあるときは全てなかったことにしたくって。
俯瞰してみると、あぁ人間だなぁって感じる。
髪の毛に絡まったタバコのニオイ。
トマトは嫌いなのに、タバコは好きとか、
辛いの苦手なのにキムチは食べるとか、
鳥を見ると避けるのに、ペンギンは好きとか、変なの。
人間ってよくわからない。
冷たいシーツ。
桜は散るのを待ってはくれず、
ただ次の春を待つことしかできない。
部屋から見おろす駐車場。
澄ました顔は崩れていって、
本当に見てるのは窓にうつっている姿。
脳のしくみ。
美化してしまうのは、
嫌なことを消すのは、
人間だから。
人はみな、自分に対して良い思い出しか脳に残さなく、そしてそれら思い出すべてを好きに替えてしまう。
私はこの留学生活でさまざまなことを経験していって、いろんなスキルが成長した。
だからなのか、日本での生活が全く思い出せない。
コンビニもなく、安くて美味しいご飯屋さんもなく、日本語に囲まれている生活のことが、思い出せない。
一つ覚えているのは、良い別れ方ができなかったこと。
顔を合わせると、気まずい関係の人とはできるだけ会わないようにしてきたから、帰国しても顔を合わせる可能性があるって、考えるだけで、あぁ体力消耗。
はやくこの思い出消えないかなぁ。