青山美智子著 「月の立つ林で」レビュー

どの登場人物も今の自分を一生懸命生きているが少し歯車が噛み合わずもがいている。でもふと、あるPodcastから流れてくるタケトリオキナの「ツキない話」の物腰やわらかい口調に心落ち着く。そう物語全体に流れてくるこの温かさは何だろう?あらためて繋がりの大切さに気づかされたとき自然に涙がこぼれ落ちる。
順風満帆な人も、なんかうまくいかずにもがいている人も、少し立ち止まって夜空の月を見上げたくなる1冊。

青山美智子という作家の大切な芯の部分を描きつつ、この3年間のパンデミックで人が学んできた対面でなくても繋がれるということ。それを夜空の月をキーワードに優しく私達の心に問いかけてくる。

ああ、今宵はぼんやり月を眺めたくなった。

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