江之浦測候所 (1)
旅好きですよと言える程では無いけれど、時々何らかの理由で少し出掛けることがある。そんなレベル。
せっかくの旅先では一期一会の機会を逃して再訪を誓うも2度目がなかなかやって来ない場所が多いが、一方で何故だか何度も訪れる場所もある。
小田原にある相模の海を望む高台にある「江之浦測候所」は2017年10 月にオープンして以来、毎年1度は訪れている何故だかの方の場所。(今までのところ)
え、毎年ですか、好きですね、と呆れられたりもする。
東京からほど近く交通が便利という理由もあるけれど、オープン以来敷地内が少しずつ整備され続け、改良も施したりして変化している様子を見つけられることが楽しいから、という理由もある。
とはいえ最大の理由は設計者である現代美術作家の杉本博司ファンだからだけども。
変化といえば、開業当初は路地先に止め石や結界が置かれていない場所があり、また入場時の受付導線や手順の緩さには好感があった。
しかしどうやらその後いろいろあったようで、止め石は増え、案内書きには「止め石の先には立ち入らないように」と念入りに説明書きに明記されるようになった。何だか残念。
敷地内に点在する貴重な礎石などが実は追加配置されたり、さり気なく石が違うものに入れ替わっていたりしていた。
遊歩道はずいぶんと歩きやすく整備され、道の途中には藤棚が追加されて強い日差しを和らげてくれるようにもなった。
2019年には春日社が勧進され、完成直後の白木造りから奈良の春日大社から御霊分けされるタイミングで本家と同じく朱色に塗られた艶やかな姿となった。
2025年完成予定で、白井晟一設計の個人住宅「桂花の舎」移築が進み、また「柑橘山美術館」オープンが予定されている。ただし美術館は2025年秋予定から2026年春予定へ変更になった様子である。
杉本さんファンとしては、当地でご本人をお見かけするとやはり嬉しくなる。ただそのような場合はほぼ取材中かV I Pゲストに御自らご案内中で、なかなかお声がけしづらい。というかなるべき静かに温かく見守ることにしている。
そのような事をしていると、午前か午後の入れ替え制で、約3時間弱の時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。
何しろ元は蜜柑畑だった広い敷地の中にある山の斜面を降り登りする必要もあるのだから。でも楽しい。
江之浦測候所へのアクセス方法はJ R根府川駅から送迎バスチケットを事前に購入して、行くことが多い。
帰りの送迎バスは利用せず、一時間くらいかかるが、ゆっくり駅まで歩いた事もある。近くにある天正庵跡(案内看板だけ)を見たりもする。
観光シーズンの週末には、少ない道路が渋滞することもあり車よりも電車の方が、時間が読めるという理由もあるのだけれども、何より晴天時の根府川駅越しの相模湾の海がキラキラして美しいのである。
小田原文化財団 江之浦測候所
入場には有料チケットが必要で事前日時予約制です