【広島商人】知られざる戦後復興の立役者(7)船長の協力
マガジンで全話読めます!(売上は一部平和記念資料館に寄付します)
7 船長の協力 この谷にも久しぶりにおとずれた朝陽が、虹を逆にしたように、樹木の間から幾筋も射しこんで、親子の進路を照らしている。
「お父さんも利雄も気をつけてね」
房子の顔には涙が流れている。宇品へむけて己斐からいくには、いつもなら電車に乗って約一時間。
とにもかくにも、徒歩で宇品へ着いたのが正午すぎである。
うそのようなほんとの話である。
豪雨に洗われた空は澄み透っている。
途中、栄養失調