会社選びのポイント「制度があっても、”やってない”」のは、よくあること
アレックスです。
これまでのブログで、何度か
『制度があるだけでは、やっているかわからない』という話をしました。
ただ、これちょっと「抽象的」に理解されていると、それはそれでリスクかなと思うので、具体例を上げますね。
例えば
「自己申告制度」っていうのが、あります。
だいたい12月くらいに提出を求める会社が多いかもしれません。
社内システムで申請します。
目的は、
「あなたの将来像をうかがって、キャリア支援の参考にする」
というもの。
「へえぇ、会社って、自分の希望をちゃんといえるのか。とはいえ、会社だから希望が通るとは限らないけど、制度があるのはいいね。」と。
ここすごく大事です。
【会社だから希望が通るとは限らない】
それはその通りです。
でも、以下の事例をみて
【限らない】と多少諦めながら、許容できるでしょうか?
この会社には、自己申告制度があります。
まだ上司との面談(評価以外の、なんでも話しましょう的なもの)も、隔月1回くらいあります。
自己申告の内容は、結構きめ細かいです。
・自分の強み、弱み
・今後伸ばしていきたい強み
・会社に支援してほしいこと
・具体的な希望部署
恐らく、この会社の人事は、会社説明会などでこういうでしょう。
「会社なので、もちろんすべて希望がかなうわけではありませんが、自己申告していただいたものを人事としても把握し、異動などの参考にしています。」とか、ですね。
で、以下、【実態】いきます。
「申告内容を部長や課長がみることはほとんどない。人事も全員目を通せるはずもないので、体調不良や人事相談があったときなど、何か”訳”があったときに、特定してみている程度」
え?と思うかも、ですが、本当の話です。
会社によっては、自己申告シートに、部長コメントをつけたりしますが、それっきりです。人事異動検討のときには、ほとんど顧みないこともよくあります。
これでは「書いているだけ」「言っているだけ」ですが、本当にこういう会社ありますし、残念ながら「珍しくない」です。
一方、ちゃんと活用している会社の例です。
自己申告シートに以下の項目があります。
・他の事業部(部署ではなく)に異動希望があるかどうか
・その異動希望は、2年以上続いているか?
などです。
その会社では、
「他の事業部異動希望」がついた社員のシートは、事業部長、部長、そして人事、人事部長が、読まなくてはいけません。会社の方針で決まっているからです。
「2年以上」もそうですね。
そして、人事が「その人の希望余地があるか?または妥当かどうか?」を第三者的観点で判断し、現場に考慮するように指示します。
あるいは「2年以上、同じ業務・同じ部署を希望している場合、部署の意向にかかわらず、配属先部署の合意があれば、原則として異動させる」とルール化している企業もあります。
いかがでしょうか?
最初の「なんちゃって自己申告制度」とは、全然違いますね?
そして、ここまでのことは「会社説明会」「面談」、OB訪問でも、こちらがしっかりとした認識をしていないと、引き出せない情報です。
OB訪問も、「かん口令」をしいている会社もあります。
「余計なこというなよ」と。
ちなみに「なんちゃって自己申告制度」の会社は、人事異動は誰が決めるかというと、「部長と役員、または事業部長」が、「密談」で決めます。
「密談」自体は、珍しくありませんが、最大の問題は、そこに「人事の介入がほぼない」ことです。
完全な密談ということは、「好き勝手」ということです。
もっといえば、「自分たちにとって都合がよく、かつスキルが高い社員」ほど優遇されます。
「なんだかなー」と思うかもしれませんが、特に「日本の、古くある、名前の通った会社」には、こういう「ドロドロ系」が残っていることがあります。
この「ドロドロ系」にメスをいれない限り、自己申告制度だろうが、キャリア支援だろうが、どんな制度をいれても「実態は変わりません。」
なんで「ドロドロ系」、つまり情実的要素が残っているのか?
個人的には、日本人特有かなと思ったりします。
「義理と人情」じゃないですけど、しっかりした定義やルールで物事を進めるよりは、「飲みにケーション」とかなんかわけのわからない「非公式でのコミュニケーション」が有効になったりします。
「契約書あるけど、実態は適当」っていうのもザラですね。
外資系なら考えられませんが、日本の古くからの企業って、そんな感じです。
いかがでしょうか?
人事が「ナントカ制度もあり、ご希望を考慮しています」といっても、嘘ではないですね。でも、実態をみたら「嘘」です。
これが「制度があっても、実態を伴っていない」という具体例です。
ここを見分けるには、まず「一般的にどんな制度があるのか?」をおさえる必要があります。時短勤務制度や法定を上回る育児制度または介護休業制度など、いわゆるワークライフバランス系の一般的制度については、おさえておきましょう。
で、「その制度自体がない」という会社は、まず除外ですね。
「検討中」といおうがいうまいが、一般的にある制度がない時点でアウトでしょう。
次に、その「制度実態に迫る」
嫌味にならない感じで、さらっと聞いてみるとよいです。
「自己申告制度があると思うのですが、例えば2年3年と希望して、配属先も好意的な場合は、どう扱われますか?」と。
恐らく、人事担当は、いろいろいいますが、ポロっと重要な言葉を漏らすでしょう。
「まぁ、、、そうはいっても会社ですから、現実は・・・」なんて。
あるいは、いつも紹介していますが、「働き方」「ワークライフバランス」といったキーワードで、
①まず業界ニュースを調べる=トレンドを知る
②企業HPのニュース欄をみる=トレンドとのギャップをみる
「自己申告制度がどうのこうの」という具体的なことはわかりませんが、少なくとも、人事のいう「ひとりひとりが輝ける職場作り」の本気度はわかります。
本気じゃないことがわかれば、あとは「推して図るべし」ですね。
それにしても、こういう生々しい話って、あんまり表に出ないですね。
ひとつは「会社の悪口は、飲み会で留まる」ことが多いです。
ふたつは、日本人特有ですが「会社から、万が一にらまれるようなことはしたくない」という、”引きこもり思考”とでもいうのでしょうか。
会社の口コミサイトはありますが、多くは「なんだか激烈に文句をいっていたり」「ポイントが欲しいだけで、ざっくりしか書いてなかったり」します。
個人的には、こうした「日本の古くからある会社」の在り方に、ちゃんと学問的というか理論的なメスを入れないと、いくら「挑戦」「イノベーション」と経営者がいっていたとしても、世界からはどんどん乗り遅れます。
デフレは少子高齢化のせいだと、なんとなく「少子高齢化だから仕方がない」的な空気を感じますが、少子高齢化でも成長している国はある。
真実は「本当の改革、高度経済成長期の成功体験をしっかり見直して、新たな価値へ変革できていない」
これが真実なんじゃないかと、日々痛感します。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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