【育児の思い出】はじめての忖度
3人目がお腹にいる時。
長女は3歳半くらい、長男は1歳8ヶ月くらいの頃だったと思うが、私は初めての里帰り出産(長女長男は里帰りなし)のために自宅からは飛行機の距離の実家に帰っていた。
実家と言っても、私が生まれ育った家は古くなって新築して引越をしたため、家の周りの地理には全く明るくないという状態で、産科医院に行くにも父の車で連れて行ってもらわないとわからないという少し心許ない妊婦生活であった。
それでも幸運な事に徒歩2〜3分の近所の市民センター内に児童館があり、小さな子供を遊ばせるのにとてもいい環境だったし、近所のママさん達も仲良くしてくれて色んな話が出来て楽しく過ごすことができた。
ある日のこと。
一緒にいた子と我が家の姉弟が丸くなって別々のおもちゃで穏やかに遊んでいたのだが、おもむろにうちの娘が自分の弟からスーッとおもちゃを取り上げてお友達に『どうぞ』と渡したのだ。
お友達が欲しがったわけでもない。
お友達はきょとんとしておもちゃを受け取って、また3人で静かにそれぞれに遊びはじめていてそれはそれはなんとも不思議な雰囲気で、とてもシュールな感じがした。
自分の娘のことで恐縮だが、普段から弟に対してはとても優しくしていて意地悪をすることは皆無で、いいお姉ちゃんである。赤ちゃん返りも全くなかった。
もっとも本人もまだ赤ちゃんだった1歳の時に弟が生まれたのでこれ以上戻る部分もないのかとは思うが、自分のオムツと弟のオムツを両手に抱え小さい方のを弟に渡すなど、赤ちゃんながらにもさらに小さい赤ちゃんの弟を可愛がっていて大変微笑ましかったものである。
その児童館の時も弟から無理矢理におもちゃを取り上げたということはなく、弟も泣くこともなく。
思うにこれは人生最初の『忖度』ってやつか?誰に教わったわけでもない身内と他人を認識して身内を下げて他所の人に気を遣うということを人間は本能的にやり始めるのか?
と思い至り、すごいものを見た気持ちになり、ニヤニヤが止まらなかった。
保育園に行っていたり、お友達に囲まれて育ったり、ママ友さん同士で気を遣いあったりした環境で育った幼児さんならもっと小さい年齢からあることなのかもしれない。
しかしうちはほとんどの時間を姉弟で遊んでいて、公園に行ってよその子供さんと少し遊ぶことはあっても特定のお友達と家族ぐるみで遊ぶということがなかったので、これがおそらく初めての『他人に気を使う』出来事。しかも自分で自然にやっている。
人類の進化の過程を目の前で見たみたいな感じで、これだから育児はやめられないんだよねぇと益々面白くなっちゃった思い出です。
ちなみに娘は現在30歳。
可愛い盛りである(笑)