理論構築のための基礎
瀧本哲史氏の『読書は格闘技』を捉えなおした、新たな理論を構築するための枠組み
知識の結合
異分野間の知識の結合は、新たなものを生み出す基礎になる。明確な概念体系、具体的に検証できる内容をもつ様々な理論や体系から、具体的なものを捨象し抽象化することで普遍性を抽出し、他の主張との対比と批判的検討を経て、それを元に、思考や行動に変化を起こすための理論を構築する。
自分と著者の考えの総合
主張と根拠が伴い、明確な概念体系を持ち、検証に耐える理論から、そこに書かれた背景と問題意識を念頭に文脈を捨象、自らの事例等にに当てはめ理解する。科学的実証性、体系性、抽象度の統一性、着眼点。思い込みでない事実からの判断。善意の解釈で読むことも重要。
古典理論の重要性
古典理論の、その時代性や地域性を超えた普遍性を抽出することによって、現状にも適用する事が出来る。世相の反映、思想の実証、そして新しい理論での解釈、そこからの主張が求められる。
正しさと前提
すべての人にとっての正義は見出しがたく、価値観の議論は信仰に等しい。さまざまな社会科学も、価値観の問題から遠ざかり、科学に歩み寄ったり、問題の範囲を制限する。重要なのは、ある主張を仮定し、その元で考えを進め、根拠を示し、結論を導くこと。初期段階や前提条件からの構築。
堅実な基盤
身にして覚えておいたことはすぐには生かされなかったとしても、その後の新しい刺激により、新しい変化が起こりえる。多様な概念体系の有機的な結合は革新のための基礎。そのための、各分野の古典的理論についての体系的インプットによる「幅広い教養」。
教養
すべてを受け入れた上での、自己の選好に基づいた意思決定、そのためのものとしての教養。「教養とは必要なものすべて」の内実。しらないこと、しりえないものといった限界を認識した上でなお必要となる、仮説や理想といった超越したポイント、未知の領域への、未知の存在への畏敬の念からの、目指すべきところを示すものとしての「神としか言い得ぬもの」への終わりなき営み。
対立にみえるものを捉えなおし、相違点を認めつつ共存させ、有機的に結び付けて新たな価値や働きを生み出すための試みの一例として。