『タイプ別 中小企業診断士のリアル』の感想
明けましておめでとうございます。
日沖健先生が書かれた『タイプ別 中小企診断士のリアル』を読んだ感想をまとめてみました。
【著書の概要】
〇 中小企業診断士を以下の5タイプに分類し、それぞれの特徴、活動実態、メリットと問題点、活動のポイントを解説
① 資格取得が最終ゴール型
② 企業内診断士・自己啓発型
③ 企業内診断士・副業型
④ プロコンC型(コネ・人間関係で受注し、中小・零細企業にサービスを提供)
⑤ プロコンⅮ型(直接受注し、大企業・中堅企業にサービスを提供)
〇 診断士制度やコンサルティング市場の変遷と診断士の本当の魅力のついて考察
【感 想】
特に、印象に残った点は、❶著者の経歴、❷求められる専門性、❸診断士の真の価値です。
❶ 著者の経歴
5つのタイプのそれぞれでメリットと問題点があることに加えて、読者の属性が異なることから、著者はどのタイプが最善であるとは断定していません。他方で、タイプの中で、著者自身は②、③、④、⑤の順で変化されてきました。それぞれのタイプの問題点について改善を図られた結果が、変化つまり経歴に反映されています。経験に基づく変化なので説得力があり、実力や実績が許すのであれば⑤を目指すべきであることを読者は読み取れると思います。
また、②、③、④を飛ばして、最初から⑤を目指すべきとの主張は本書の中にはありません。「それぞれのステージで色々な人と出会い、色々な経験をさせてもらいました」(165頁)とあることから、むしろ、実力を蓄え、実績を積むために②、③、④の段階は必要だったと著者は考えていると推察できます。実力や実績が伴わない場合、長く活躍することが難しいのは自明なので、著者の経歴は非常に参考になります。
他方で、私の職場は副業に制約があるので、③について実施できる事項と実施できない事項を整理することが必要であると認識しています。今後の課題です。
❷ 求められる専門性
専門性については著書の中で数か所で言及しています。④のタイプでは、⑤との比較で求めらえる専門性は低いと説明しています。他方で、「専門性が要らないからといって手を抜くのではなく、しっかりベストを尽くして取り組むこと、さらに、よい仕事をするために専門性を高めること、これらを継続的に実施する必要がある」(108頁)と補足しています。
タイプ⑤の場合、相当の専門性が求めれることが予想されますが、「独立開業当初は大して専門性がなく、色々な業務を経験する過程で専門性を身に付けていったというパターン」が圧倒的に多い(147頁)と説明しています。また、著者自身の経験から、「自分の強みは意外とわからないものです。強みを知るには、食わず嫌いにならず色々な経験をする、経験したことを振り返る、クライアントからフィードバックを受ける、ということを実践すると良い」(148頁)と読者にアドバイスをしています。
さらに、「実績を上げたらクライアントに次のクライアントを紹介してもらう、実績をまとめてビジネス書を出版するなど、事業ドメインを広げる何らかのアクションが必要です」(149頁)と自己の専門性に固執すること対して注意喚起しています。
私は公安系の総合職・管理職なので自分の強み・専門性を見つけることに苦戦しています。そのため、経験を通じたフィードバックという著者のアドバイスは大変参考になります。また、段階的に自分の強み・専門性を磨くという観点から、②、③、④、⑤という経歴の必要性を改めて認識できました。他方で、「実績をまとめてビジネス書を出版するなど、事業ドメインを広げる何らかのアクション」はハードルが高いと考えています。今後の課題です。
❸ 診断士の真の価値
「診断士という資格そのものに価値があるわけではなく、資格を持つことで新しい知識を吸収し、新しい業務を経験し、新しい人と巡り合うことができる。資格をきっかけに世界が広がるというのが、診断士の真の価値なのです」(16頁)という著者の言葉に出会えて幸運でした。
中小企業診断士に関心をもった時点で、中小企業診断士に関する書籍を数冊読みましたが、その中の1冊が本書です。受験勉強を開始する前の時期だったと思います。現在、2次試験の結果を待っていますが、改めて読み返してみました。採点サービスの結果が非常に厳しい状況で、来年度の再受験が濃厚なので、受験する意義を再確認したかったからです。
資格取得を目指す社会人の方は、仕事や家庭と受験勉強の両立で苦労されていると思います。私の場合、今年度の2次試験当時の部署から異動となり、慣れるまでは忙しくなります。一層、両立が難しくなることが予想される中で、2度目の2次試験に向けて覚悟の確立が必要です。2度目の不合格の場合、1次試験からやり直しになることから、尚更です。
そのような状況にあっても、「診断士の真の価値」に対してワクワク感をもっています。著者が述べているように、本書には診断士のネガティブな側面も記載されています。それでも、「診断士の真の価値」に魅力を感じています。魅力を感じている間は、中小企業診断士を目指して受験を継続することができそうです。
【さいごに】
本書のお陰で、中小企業診断士になる上での課題を確認できました。また、中小企業診断士のネガティブな側面を理解しつつ中小企業診断士の本当の魅力も確認できました。
コメントやアドバイスを頂ければ助かります。