カラダのむくみについて①

さて、今日は、体のむくみについてお話しさせていただきます。
カラダのむくみで来院される方が多くいらっしゃいます。むくみと言っても色々な場所のむくみがあります。顔、手、足など。特に足のむくみを訴えられる方が多いです。よく利尿剤を処方されてそのまま様子を見られている方が多くいらっしゃいます。中には、ほっておくと知らないうちに病気が進行してしまい、気が付くとすぐ入院ってことになりかねない場合もあります。

まず、むくみについてどのような現象か説明させていただきます。
むくみとは、体液の循環が障害された状態です。
どういうことかというと、まず体の組織には動脈により血液(酸素や栄養)が運ばれ、老廃物、二酸化炭素が静脈とリンパ管により回収されます。その過程(回収のメカニズム)が障害されるとむくみが生じます。

主な4つの原因
① 静脈が障害される場合:静脈を通って心臓に戻っていく過程で、うっ血したり(心不全)、閉塞していたり(静脈血栓症)、逆流(下肢静脈瘤)(心臓に行くはずの血液がまた戻ってきてしまう)してしまう場合です。

また、心臓に戻る際に重要な役割を果たすのが手足の筋肉です。手足の筋肉は第2の心臓とも呼ばれています。つまり、手足の筋力をつけることで静脈の流れを良くして血の巡りをよくすることができます。逆に、デスクワークの多い人が、夕方になると脚がパンパンになるのは、下肢の筋肉を動かさなかったために、足の血の巡りが低下してしまうからです。

② リンパ管が障害される場合:リンパ管が障害されるもっとも代表的なものは癌です。あるいは癌の術後にリンパ節郭清という手術が行われている場合です。例えば、乳がん術後の方は手術中に腋窩リンパ節郭清という処置も併せて行われることが多く、手術した側の腕が腫れやすくなります。
リンパ液の流れが妨げられた場合行き場を失った組織液が漏れ出てむくみとなります。かなり重篤な場合もあり、形成外科で手術をされる場合もあります。

③ 血液が血管外に漏れやすい状況その①(血管透過性の亢進)
 何のことかわからないと思いますが、要は、血管から血液成分が漏れ出やすい状況です。病態としては、炎症(膿んだり、打撲など傷害が起こったとき)やアナフィラキシーなどのアレルギー反応が起こったとき。特にこのアナフィラキシーは、手足がむくむくらいならいいのですが、むくむところが、喉頭(喉の奥)や気道(息の通るところ)に生じると即命にかかわるので緊急の対応が必要です。

④ 血液が外に漏れやすい状況その②(血漿膠質浸透圧低下)
 これも何のこと?って感じでしょう。簡単に言えば、血液を血管の中にとどめておく力が弱い状況です。それには、アルブミンというものが強くかかわっています。アルブミンは肝臓で作られます。なので、肝臓が悪いと✖。あと、ネフローゼという腎臓の病気がある場合には、アルブミンがどんどん尿から出てしまうので、結果としてアルブミンが低下してむくむ原因となります。

他に、

・塩分の摂りすぎ
体には、体内の塩分濃度を一定に保つという機能があります。そのため、塩分をたくさん摂取すると、体の塩分濃度を薄めようと、体内に水分を溜め込むようになります。

・アルコール
アルコールもむくみの原因に。血中のアルコール濃度が高くなると血管が拡張して、血管から水分が漏れ出すためです。

以上、むくみの一般的な考え方を説明しました。年齢に応じて、むくみへの対応は異なってきます。元気な若い方にはまず心不全は考えません。しかし、ご高齢の方であれば、心不全も頭に入れて診療に当たらせていただきます。

次回は、ほっておいていいむくみと、そうでないむくみについて説明させていただきます。




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